見出し画像

健在だった「有事のドル買い」の解釈

戦争は終わらせる方が難しい
米国とイスラエルによるイラン攻撃から丸1週間が経過しました。当初懸念された通り、原油を筆頭とする資源価格の騰勢が耳目を引いており、原油価格は文字通り1バレル80ドルから120ドルの間で乱高下しました。

3月9日はトランプ大統領がイラン攻撃の早期終了を示唆したこと、G7財務相がエネルギー供給にまつわる対応策を準備する方針を示したことなどが好感され、3月10日時点の市況はにわかに安定を示しています:

これに合わせ、原油価格上昇と共に貿易収支赤字拡大への思惑から加速してきたドル/円相場も158円台後半から157円台後半へ下落しています。原油価格上昇だけに限れば米国を潤すものの、あらゆる経済活動が寸断される中、中間選挙を控えた米国経済も甚大なダメージを被ります。トランプ大統領が口にした早期終了への希望は一定の本音なのだと思います。

もっとも、これまでのトランプ大統領の言動を踏まえる限り、攻撃の早期終了がどれほど信用できる話なのか。定かではありません。そもそも、これほどの攻撃を仕掛けておきながら、米国だけの都合で終結できるのでしょうか。戦争は始めるよりも終わらせる方が遥かに難しいという事実はウクライナ戦争の継続が良く示しています。丹羽前会長の直近の著作でもこの辺りは強調されていましたが、誠に真理だと思います:

また、原油価格の水準はイラン攻撃前の水準には程遠いため、円の需給環境にとっては非常に重たい状況は変わっていません:

上記noteで議論したように、このままの原油価格で推移した場合、日本の輸入金額は前年比で+7兆円以上増えるというのが筆者試算です。ようやく「歪み」が修正され、需給に駆動された円安の憂いが収まっていたところ、また22-23年型の円安に追い込まれるのか。予断を許さない状況と言えます。

鮮明だった「有事のドル買い」
ところで、イラン攻撃後1週間の為替市場はドル一強が鮮明でした。下記の図表を通じて、過去1年間と過去1週間で為替市場の力学が一変した様子が分かって頂けるかと思います:

ここから先は

1,771字 / 3画像

為替市場を中心とした経済・金融分析を提供します(※投資情報ではないのでご注意ください)。私が書籍を筆…

スタンダードプラン

¥500 / 月
1ヶ月無料

マスタープラン

¥1,000 / 月
1ヶ月無料

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?