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顧問料は、何に払われているのか。── 10年、社長の隣にいて気づいたこと

経営者のお客さんと顧問契約の話になると、ほぼ必ず聞かれる質問があります。

「神山さん、顧問料って、何に払ってるんですか?」

最初はこの質問に、うまく答えられませんでした。「時間をいただいているので」と言えば、時間売りに聞こえて安っぽい。「専門知識ですね」と言えば、本で読める情報との違いが曖昧になる。

でも、この問いに正直に答えられない限り、顧問という関係は長続きしません。

10年、いろんな社長の隣にいて、ようやく分かってきたことがあります。

■ 顧問料は「時間」に払われているわけじゃない

顧問の仕事を、時給で考えると、無理が出ます。

1時間のミーティングで、こちらの給料と移動時間と資料作成を含めたら、それだけで顧問料を食い尽くしてしまう。かと言って、頻繁に訪問するほど、社長が頼り切ってしまって、逆に社長自身の判断が鈍くなることもあります。

時間を売るという発想は、実は顧問という仕事と相性が悪い。

では、顧問料は何に払われているのか。

■ 社長が求めているのは「判断の質」

ある製造業の社長が、こう言ってくれたことがありました。

「神山さん、私が払っているのは、神山さんの時間じゃない。私の判断が、1回でも大きく外れないように、斜め後ろから見ていてくれることに払っている」

この言葉で、すっと腹に落ちました。

社長は、毎日、数えきれないほどの判断をしています。人事、投資、事業撤退、取引先との条件交渉。小さな判断が重なって、会社の方向が決まる。そのどれか1つでも大きく外すと、取り返しがつかないことがある。

顧問に求められているのは、「一緒に考える人」でも「答えを出す人」でもなくて、社長が判断を外さないように、視点をひとつ足す人。それだけです。

■ 「3つの問い」

具体的には、社長との会話のときに、私はいつも3つの問いを持ち歩いています。

① この判断で、何を諦めていますか?
何かを選ぶということは、別の何かを選ばないということ。諦めているものを言語化できていれば、判断は迷いません。言語化できていないときは、まだ熟していない。

② その判断で、最悪、何が起きますか?
楽観シナリオは誰でも描ける。でも最悪のシナリオを冷静に描けている社長は、意外と少ない。最悪を先に見ておくことで、判断は、かえって軽くなります。

③ 1年後、自分で見て「よくやった」と言えますか?
1年後の自分から見て、今日の判断を肯定できるか。短期の数字だけでなく、ストーリーとして筋が通っているか。

この3つの問いを、会話の中に自然に差し込む。それが、顧問の仕事の中身です。

■ 残るのは「判断の型」

顧問契約が終わっても、社長の中にこの3つの問いが残っていれば、仕事は成功だと思っています。

私がいなくなっても、社長が自分で判断できるようになる。それが、本当の意味での「顧問料の元取り」。

「時間」を売っているつもりだと、顧問契約が終わったときに、何も残らない。でも「判断の型」を残すつもりで関わっていれば、社長の中に、私が抜けた後もずっと使える道具が残ります。

■ 顧問料は、道具への対価

だから、顧問料は時間じゃなくて、「社長の道具箱に、問いを3つ足しておくこと」への対価です。

頻繁に会う必要もないし、毎回膨大な資料を作る必要もない。月に1回、1時間、深く問いを投げ合う時間があれば、それで十分なことも多い。

もし、顧問料を払っているのに「時間分だけ来てもらっている」感覚の社長がいたら、一度、顧問の方にこう聞いてみてください。

「私の判断の質を、どう底上げしてくれていますか?」

その答えに、双方が納得できる言葉があれば、その顧問料は、高くありません。

(著者:神山 健 / 地盤調査27年、9,000件近く / 株式会社BCPJAPAN)

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