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一発逆転のない世界だからこそおもしろい。自身の人生で体現する“飲食”とは

「飲食と、ともに。」は飲食店経営者、従業員など "飲食"とともに生きる人の人生にフォーカスするnote連載です。過去の経験から生まれた考え方、経営や仕事へのこだわり、外食産業へのメッセージを届けることで、外食産業をともに盛り上げていくことを目的としています。今回は、株式会社LIBERTY 代表取締役 辻夏輝さまに話を伺いました。

辻 夏輝|大阪府堺市出身。同志社大学卒業後、新卒でリクルートに入社し、住まいカンパニー「SUUMO」にて3年9カ月営業を勤める傍ら、バーを開業。目の前の人を笑顔にする仕事である飲食に魅了され、飲食の世界で生きていくことを決意し独立。現在は関西を中心に、ビストロや焼肉など9業態13店舗を運営する。

高校生で芽生えた「経営者」への想い

小学1年生からサッカーに没頭し、文武両道を掲げる進学校でもサッカー部のキャプテンを務めるなど、常に輪の中心的存在にいた辻さん。高校3年時、顧問との衝突により試合への出場機会を一切剥奪されるという不条理な現実に直面した。誰かの下で動いている限り、自分の信念を貫くことは叶わないと感じ、この原体験が後に「経営者」という生き方を選択する決定的な動機となった。大学進学後は「人が集まる場所」を作る喜びに目覚め、イベント運営などを積極的に実施。また大学3年次に始めたバーのアルバイトで、人が集まる場所であり、それがお金に変わる瞬間を目の当たりにしたことで、飲食店を開きたいという事業の軸も決まった瞬間であった。

“個”の限界を知って気づく、組織に必要な「チームワーク」

大学卒業後に独立するのではなく、まずはビジネスを構造から理解すべきと考えた辻さんは、新卒でリクルートに入社。SUUMOの営業として働き数字と向き合う傍ら、3年目に副業として念願のバーをオープンさせた。目の前のお客さまが喜んでくれる姿を見た瞬間に、「自分はこの世界で生きていきたい」と腹を括り、1年後には会社を退職することを宣言。在職中に店舗を増やし、サラリーマンを辞める直前には飲食店の出店もかなえるなど着実にステップアップしていた辻さん。
こうして順風満帆に見えた矢先、退職2カ月前にして顔面神経麻痺による入院という悲劇が起こった。辻さんは人に任せることが苦手で、自身の頭の中で物事をすべて進めていたことから身体が悲鳴を上げたのだ。このやり方を続けていては、これ以上は会社は伸びないと痛感し、細部は現場に任せるスタイルへと舵を切った。主体的に判断できる人間を育て、自分がコントロールするのは大きな方向性だけ。その変化が、現在の13店舗を運営するまでの成長の支えとなっている。

一発逆転がないからこそ「コツコツ」が導く勝ち筋

辻さんの経営理念に掲げているのが「コツコツが勝つコツ」。
飲食業界に一発逆転はなく、雨が降れば売上が下がり、スタッフが欠勤すれば現場が回らなくなる。そんな泥臭い日々と向き合い続けるしかない中でも、コツコツを積み重ねた先に、巨大なマーケットを動かすおもしろさがある。地道な努力を血肉にこなした人が一番強い。幼少期から培われた「この場所なら人が集まる」という直感と、老若男女さまざまな人との出会いから得た人間洞察力。そこにロジカルな分析を掛け合わせることで、辻さんは独自の勝ち筋を追求し続けているのだ。

一気通貫で手がけられる“飲食”のおもしろさ

辻さんが考える飲食の魅力は、メニューの構成からお客さまの手元に届けるまでを、すべて自分たちの手で完結できる一気通貫のおもしろさ。自らの想いを直接形にし、ダイレクトに反応を受け取ることができる。自分の生き方や大切にしたい価値観を、そのまま体現できる場所が“飲食”だからこそ、辻さんの人生そのものになっているのかもしれない。
そして何よりも大切にしているのが、自分自身がご機嫌でいること。共鳴する仲間とともに、時代を読み、時代に流されず、自分自身の人生を体現する。
将来的には日本国内に留らず、日本食で外貨を稼ぐ世界を見据える辻さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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