見出し画像

やはりヴァンクリーフは富裕層のためのブランドなのだと再認識した話

2026年、ヴァンクリーフ&アーペル(以下、VCA)から新作のピンクエナメルのジュエリーが発売された。

このアイテムは発売前からかなり話題なっていたけれど、クリアなピンクがかわいいという意見の一方で、少し批判的な声があったのも事実。

「エナメルが安っぽい」「気泡が見えていて雑」
「天然石でもないものがモチーフ?」

などなど…

私も内心、たしかに少し安っぽい雰囲気はあるなと思っていたけれど、あえて言葉にはしていなかった。

というのも、私はVCAのジュエリーは公式画像よりも、実物のほうが何倍も素敵なことを身をもって知っているから。

だから、いざ発売されたら手のひらを返したように称賛されるんだろうなぁくらいに思っていた。


そして9/1。

日本だけでなく海外からも素敵な購入品の写真が続々と投稿され、どれも想像以上に透明感があって美しかった。

「やっぱ実物は違うね」となぜか誇らしげに思っていた(買ってないが←)

ところが、9/2。
発売翌日に新たな情報を知り、私は改めてヴァンクリーフというブランドの底力を思い知らされたのである。

それが、HPにもさらっと書かれていたこの説明。

「ピンクエナメルは顔料を使用せず、微細なゴールド粒子によって色を作り出している」




ファッ!?



私はてっきり、ガラスや樹脂に絵の具みたいなものを混ぜてピンク色を出していると思っていた。

甘かった。

気になってチャッピーに聞いてすぐに調べてみると、フランス語で「Rouge à l'Or」という技法とのこと。

ガラスの中にごく微細な金の粒子を分散させることで、鮮やかな色を生み出す、17世紀に生まれた伝統的な技法。

身近なところでは、ステンドグラス(有名な教会とか)などにも使われているらしい。

科学的に説明すると小難しくなるので割愛させていただくが、これは「表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)」という現象によるもの。

まさか、

「ただのピンクのガラスだと思っていたものが、金の微粒子によって発色していた」

とは……!!

さらに驚いたのが、通常はルビーのような赤色になる技法なのに、今回は鮮やかなクリアピンク色だということ。

VCAはこのピンクエナメルの開発に数年をかけたとか。
おそらく、この独特の色味を出すために、金の含有量やその他の成分との割合など、徹底的に試作を重ねたのでは?と推測できる。

幼女向けのようなかわいいピンクエナメル。

そう見えていたものが、実は17世紀から続く伝統技法と、最新の材料科学を駆使して生み出されたものだった…ってコト!?

驚きである…。

そして今回の件で、私は改めて「VCAって富裕層向けのブランドなんだな」と感じた。

単に「高いから富裕層向け」という意味ではなく
VCAの顧客になるようなお方は、すでに世の中にある美しい宝石やジュエリーを一通り知っていて、その先にある「まだ世の中にないようなレアモノ」を求めているのではないかと思う。

今回のピンクエナメルは、ダイヤモンドでもルビーでもピンクサファイアでもない。

宝石としての希少性で勝負しているわけではない。

「VCAだからこそ生み出せるもの」に価値を持たせている。

しかも、その過程には話題性もあり…

「このピンク、実は顔料を使ってなくて、金がピンクに見えてるんだよ」

なんて話し始めたら

「エエッー!?、コレ金なの!?」

と、なるはず。

そこから技法の話、ナノ粒子の話、ステンドグラスの話……と、会話がどんどん広がっていく。

そして、その面白さを理解するには、材料科学やフランスの伝統技法、宝飾や建築など、ある程度の教養も必要になるもの。

つまり今回の新作は、可愛らしい見た目だけではなく

「分かる人にしか分からない」こと自体が価値になっているジュエリー。

一般の人からすれば、

「何だー、ピンクのガラスかー」

で終わるかもしれない。
彼らは表面上の価値しか見えていない、見いだせない

でも、このピンク色が生まれるまでの技術や歴史を知れば、「なんだかよく分からないけど高いもの」ではなく、もっと深いその価値が見えてくるはず。

希少な宝石ではない

そうではないからこそ、VCAにしか生み出せないものを新たに世に放ったのだと私は思う。カ◯ティエもハ◯ーもティ◯ァニーも扱えないVCAだけの唯一無二の宝石。
その姿に、私は老舗ブランドの自信と挑戦を感じた。

万人に分かってもらおうとしない。
「刺さる人に刺さればいい」という姿勢。
さらに自国の伝統技法を絡めることで、クラシカルな雰囲気は失わない

やっぱりヴァンクリーフは、富裕層向けのブランドなんだな。って改めて思い知らされたのです

……ちなみに、ここまで富裕層心理を豪語している私は富裕層ではありません。

おわり。

いいなと思ったら応援しよう!