#5⚠️STOP‼️笑顔の死 ″Smiling Death″~クラッシュ症候群を「知識」ではなく「判断力」で理解する~
第5回 🍋コンパートメント症候群~すべては、ここから始まる~
お疲れさまです🍵
あおぞらです😊
前回は、
クラッシュ症候群が、
一つの病気ではなく、
いくつもの病態が連鎖して進行する
「症候群」であることについて、
一緒に整理しました。
では、
その「連鎖」は、
どこから始まるのでしょうか?
実は、
その最初の変化は、
傷病者を救出した瞬間でも、
高カリウム血症でも、
急性腎障害でもありません。
もっと早い段階から、
圧迫された身体の中では、異変が始まっています。
だからこそ、
クラッシュ症候群を理解するうえで、
まず知っておきたい病態があります。
それが、
コンパートメント症候群
です。
🧩 「コンパートメント」とは何でしょう?
名前だけ聞くと、
ちょっと難しそうですよね😅
「また横文字か……。」
そんなふうに感じる方も、
いらっしゃるかもしれません。
でも、
言葉の意味を知ってみると、
意外とシンプルです。
「コンパートメント」は、
日本語にすると、
「区画」や「仕切り」
という意味です。
🍋 レモンの輪切りを思い浮かべてみてください
レモンの輪切りを見ると、
中はいくつかの部屋(区画)に分かれていますよね。

コンパートメント症候群の発生頻度が高い下腿も、
少し似ています。
下腿には、
4つの区画があり、
それぞれが、
筋膜といった膜によって仕切られています。

その仕切られた区画の中に、
筋肉や神経、血管などが存在しています。

💥 では、ここが圧迫されたら?
ここからが、
コンパートメント症候群の話です。
下腿が圧挫されると、
筋肉などの組織が傷つきます。
すると、
区画の中では、
少しずつ変化が始まります。
筋肉の損傷や出血、組織の浮腫などによって、
区画内の圧が上昇していきます。
ところが、
筋膜に囲まれた区画は、
自由に外へ膨らむことができません。
そのため、
圧力が逃げにくくなります。
すると、
区画内の圧が上昇する
↓
神経や血管が圧迫される
↓
血流が障害される
ということが起こります。

🧬 ここで「細胞」に注目してみます
血流が悪くなると、
その先にある組織の細胞へ、
十分な酸素が届かなくなります。
すると、
細胞が虚血状態となり、やがて壊死へと進んでいきます。
さらに、
組織の障害が進むことで、
循環不全も悪化していきます。
つまり、
筋区画の組織内圧が上昇し、循環障害を起こす病態です。

細胞そのものが傷ついていく
という変化が起きています。
🧩 身体の中では、こう進んでいる
圧挫
↓
筋肉などの組織が損傷
↓
区画内の圧が上昇
↓
神経や血管が圧迫される
↓
血流が障害される
↓
細胞に酸素が届かなくなる
↓
細胞が虚血・壊死する
↓
さらに循環不全が進行する
この流れが見えてくると、
「なぜ圧迫されることが危険なのか」
が、
少しイメージしやすくなるのではないでしょうか。
そして、
この状態が長く続けば、
障害された部位より末梢の神経や筋肉などに、
恒久的な障害を残す可能性があります。
🔎 では、どんな変化が出てくるのでしょう?
病態が分かっても、
目の前の傷病者に、
どんな変化が現れるのか分からなければ、
なかなか結びつきません。
そこで、
ここからは、
コンパートメント症候群でみられる所見
について見ていきましょう。
😅 「みそとうんち」です。

……?🫥
「急に何の話?」
と思われたかもしれません(笑)
これは、
コンパートメント症候群を考えるときに登場する、
「急性虚血の5P」
を思い出すための、
ちょっと変わったゴロです😊
その名も、
「みそとうんちは」
です。
こういうゴロって、
ちょっと変なくらいのほうが、
意外と頭に残りますよね(笑)
今回は、
一般的な5Pに加えて、
「腫脹」
についても一緒に見ていきます。
ただし、
この「腫脹」は、
5Pと同じものとして単純に並べるのではなく、
圧迫から解放された後の変化
として考えていきます。
🩸 急性虚血の「5P」
5Pは、
それぞれ英語の頭文字からきています。
今回は、
この順番で見ていきましょう。
① Pulselessness
脈拍消失
② Pallor
蒼白
③ Pain
疼痛
④ Paralysis
麻痺
⑤ Paresthesia
異常感覚
ただし、
ここで一つ大切なことがあります。
この順番は、
「症状が必ずこの順番で出てくる」
という意味ではありません。
特にコンパートメント症候群では、
知覚異常や疼痛などが早期から現れる一方、脈拍消失は晩期の所見となることがあります。
では、
一つずつ見ていきましょう🔎
① Pulselessness
~脈拍消失~
区画内の圧が高くなり、
血管への圧迫が強くなっていくと、
その先へ流れる血液にも影響が出てきます。
さらに進行すると、
損傷部より遠位側の脈が触れなくなる
ことがあります。
でも、
ここには、
少し意外なところがあります。
コンパートメント症候群では、
かなり病態が進行するまで、末梢の脈が触れることがあります。
つまり、
「脈が触れるから大丈夫」ではありません。
むしろ、
脈拍消失は晩期の所見
と考えることが重要です。
② Pallor
~蒼白~
次は、
Pallor(蒼白)です。
血流が悪くなると、
その先の組織に十分な血液が届かなくなります。
すると、
皮膚が白っぽくなる
ことがあります。
左右を見比べて、
「なんとなく色が違う」
と感じることもあるかもしれません。
ただし、
これも血流障害が進行した段階で現れることがあります。
③ Pain
~疼痛~
3つ目は、
Pain(疼痛)です。
圧挫や骨折をしていれば、
当然、
痛みはあります。
だからこそ、
「痛い」というだけでは、
なかなか区別できません。
そこで、
少し気になるのが、
「その痛み、どうなっていますか?」
というところです。
例えば、
強い痛みが続く。
時間とともに痛みが強くなる。
骨折部を固定しても痛みが軽くならない。
こうした変化があれば、
「単なる外傷の痛みだけなのかな?」
と、
少し立ち止まって考えてみたくなります。
痛みがあるかどうかだけではなく、
痛みの強さや、その変化を見る。
そこが大切になってきます。
④ Paralysis
~麻痺~
区画内の圧がさらに上昇し、
神経への障害が進んでいくと、
今度は、
「動かす」
という機能にも影響が出てきます。
「力が入りにくい」
「動かしにくい」
「思うように動かせない」
そんな変化です。
さらに進行すると、
麻痺
が現れることがあります。
つまり、
感覚だけではなく、運動にも影響が出てきた。
そう考えると、
病態が進んでいることが、
少しイメージしやすくなります。
⑤ Paresthesia
~異常感覚~
最後は、
Paresthesia(異常感覚)
です。
「ビリビリする」
「ジンジンする」
「触っている感じが鈍い」
「なんとなく感覚がおかしい」
そんな訴えです。
長時間正座をしたあと、
足がビリビリすることがありますよね。
あの感覚をイメージしていただくと、
分かりやすいと思います。
そして、
ここは、
ぜひ覚えておきたいところです。
5Pの最後に出てきましたが、
知覚異常は、コンパートメント症候群では早期から現れやすい所見です。
特に下腿では、
第1趾と第2趾の間
つまり、
足の親指と人差し指の間の感覚が、
鈍くなることがあります。
脈は触れる。
でも、
「感覚がおかしい」
そんな変化があれば、
コンパートメント症候群を疑う、
一つのきっかけになります。
🟠 そして、解放された後に見えてくる「腫脹」
ここまで、
5Pを見てきました。
もう一つ、
コンパートメント症候群を考えるうえで、
気になる所見があります。
それが、
「腫脹」
です。
ただ、
ここは5Pとは少し分けて考えてみましょう。
重量物などに長時間圧迫されている最中は、
圧迫そのものによって、
外から「腫れている」と分かりにくいことがあります。
ところが、
救出され、
圧迫から解放された後、
時間の経過とともに、
腫れが目立ってくることがあります。
「さっきまで圧迫されていたから、
腫れが分からなかったのかもしれない。」
そんなことも考えられます。
そして、
ここで気になるのが、
「救出できたから、もう大丈夫」ではない
ということです。
圧迫によってすでに傷ついていた組織では、
解放された後も、
出血や浮腫などによって、
腫脹が進行することがあります。
すると、
腫れる
↓
区画内の圧がさらに上昇する
↓
神経や血管への圧迫が強くなる
という悪循環につながることがあります。
だからこそ、
救出後に現れてくる
「腫脹の変化」
も、
その後の病態を考えるうえで、
気になる所見になります🚑
🧠 「みそとうんちは」で思い出してみましょう

では、
もう一度いきます。
「みそとうんちは」

ちょっと変なゴロですが(笑)、
一度聞いたら、
なんとなく頭に残りませんか?😊
み → 脈拍消失
そ → 蒼白
と → 疼痛
う → 運動障害・麻痺
ん → 知覚異常
は → 腫脹
こうやって並べてみると、
コンパートメント症候群で、
どんな変化を観察すればよいのか、
少し整理しやすくなります。
ただし、
ここで忘れてはいけないのは、
この順番が、症状の出現順ではない
ということです。
特に、
知覚異常や疼痛は早期から現れることがある一方、脈拍消失や麻痺などは晩期の所見となります。
ここまでが、
コンパートメント症候群を理解するうえで、
まず押さえておきたいところです。
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