見出し画像

おにぎりには八百万の神様が宿る




あなたは、
誰に握ってもらったおにぎりが一番好きですか。

そのおにぎりには、
八百万の神様が宿っていたのかもしれません。



おにぎりは、素手で握った方が美味しい。
炊きたては、間違いなく美味しい。

手のひらに水をつけ、塩を少し伸ばす。

濡れた手に塩をつけることで、
塩が水に溶けて
ご飯の表面にムラなく広がり、
どこから食べてもちょうど良い塩加減に
なります。

さらに、手のひらの水分によって
おにぎりの表面がなめらかになり、
舌に触れたときの食感が心地よくなります。

最初に塩味を感じることで、
お米本来の甘みがより引き立ちますよね。

お茶碗で食べるよりも、
おにぎりの方がたくさん食べられると
思いませんか。

その理由のひとつは、
食べやすい形になっていることです。

さらに、箸やスプーンを使わず
手でそのまま食べるというシンプルな動作は、
脳への負担が少なく、食べるという行為への
心理的ハードルを下げます。

また、形が整えられたおにぎりは
ひとつの食べ物として認識しやすく、
食事への意欲を引き出します。

小さく握れば
「これだけなら食べられる」という
安心感にもつながります。

映画『千と千尋の神隠し』でも、
千尋がおにぎりを食べることで、
少しずつ元気を取り戻していく場面が
印象的ですね。

一方で、素手で握ることで、
黄色ブドウ球菌などの常在菌が
付着する可能性があります。

手を洗っても、
完全な無菌状態にすることはできません。
条件が揃えば菌が増殖するリスクもあります。

素手で握ると美味しい。
でも、菌が付くリスクもある。

これは、どちらも事実です。
だから、迷うんです。

人の握ったおにぎりは、
どうしても食べられない…

それも、とても自然な感覚だと思います。


では、「八百万の神様がおにぎりに宿る」という考え方に焦点をあててみましょう。

おにぎりは、
「おむすび」とも呼ばれますが、
この言葉は、古事記に登場する
産霊(むすひ)、すなわち目に見えない
生命の力に由来するとされています。

素手で握るという行為には、
作る人の思いや体温が加わります。

つまり、
素手で握ったおにぎりが美味しいのは、
目に見えない「 愛 」と、
手にいる「 菌 」が合わさっているから、
と、言えるのかもしれません。

看護には「タッチング」というケアがあります。手で、そっと患者さんに触れる。

そこに言葉はなくても、
伝わるものがあるんです。


実際、私が担当している利用者さんの中にも、
食べたいけれど食べられない方がおられます。

嚥下に問題があるわけではない。
でも、食欲がない。

そういう時、
私は、小さいおにぎりを提案しています。

お寿司のシャリの半分くらいの大きさで、
丸でも三角でもない、楕円形。
舌の上にちょこんと乗るくらいのサイズです。

これなら「ひと口だけ」と思って食べられる。
そして気づけば、いくつか食べている。

ご飯好きの方には、ちょっと危険ですが、
今度ご飯を炊いたとき、
小さいおにぎりを作ってみてください。

スナック菓子のように、
気づけばパクパク食べているかもしれません。


おにぎりには、
人を元気にする力があると感じています。


あなたは、誰のおにぎりを思い出しましたか。

素手で握ったおにぎりは、
あなたや大切な人に、
生きる力をそっと手渡してくれます。

もしかすると、
その思い出したおにぎりには、
ちゃんと、何かが宿っていたのかもしれません。





いいなと思ったら応援しよう!