覇権国の避けられない運命とは
覇権国は米国
であることは間違いありません。
しかし問題は、多くの人が「100年間、覇権国として続いている
米国が、今後もそのまま続いて
いくんだ」と思っている点です。
紀元前から覇権国というものは確かに世界を支配してきましたが、誕生しては衰退し、誕生しては衰退することを繰り返してきました。
果たして米国だけは例外なのでしょうか?
今後も覇権国として居続けられるのでしょうか?
歴史上、最も有名な覇権国の一つが
ローマ帝国
です。
ローマ
帝国の滅亡
について考える時、帝国は外部勢力による襲撃や物理的な攻撃も受けてきました。
しかし、帝国は外部からの攻撃だけで崩壊するわけではありません。
帝国滅亡の最も大きな
要因は、内部からの腐敗
です。
そして、その腐敗を引き起こす
最大の要因は、常に貨幣
です。
過去の覇権国と同様に、ローマ帝国も通貨の崩壊によって滅びたんです。
我々が歴史から学ばなければいけない
教訓は
、財政政策や金融政策をいかにうまく実行したとしても、来るべきタイミングは来るということです。
いかなる時代でも、「こうやっておけば問題ない」という金融政策は五万と出てきました。
しかし、いずれも
やってはいけないこと
をやれば、必ずその報いを受けるんです。
MMTもその一つです。
「自国通貨建ての紙幣であれば、いくら
増刷してもインフレの範囲内
であれば
問題ない
」
そんな理論は、これまで何千回、何万回と繰り返され、実行しては失敗し、実行しては
失敗することを繰り返し
てきたんです。
ローマ帝国の滅亡は、現代社会の我々に大きな教訓を与えてくれます。
ま
ず背景
を振り返りましょう。
何世紀にもわたり、ローマ経済の基軸通貨
はデナリウス銀貨で
した。
紀元前211年頃に初めて鋳造されたデナリウス銀貨は、帝国内だけでなく、広い地域で信頼されていた通貨でした。
ローマ兵はデナリウス銀貨で給料を支払われ、商人は販売時にデナリウス銀貨を要求し、一般の人々はデナリウス銀貨で財産を保管していました。
デナリウス銀貨は単なる貨幣ではなく、金属の形をした信用そのものでした。
次第にその
信用は拡大して
いきます。
デナリウス銀貨の価値こそが帝国の権力となり、1世紀には帝国の領土が地中海沿岸全域に加え、ヨーロッパ、そして現在の北アフリカにまで拡大していくにつれ、その領土全体にデナリウス銀貨も普及し、同時に価値も拡大していきました。
人々がローマ帝国を信じる限り、その貨幣価値への信用も上昇していきました。
当時のデナリウス銀貨は、ローマ帝国の権力そのものとなっていき、
帝国も莫大なデナリウス銀貨を保有
するようになりました。
しかし、帝国を運営するには
費用がかかり
ます。
軍隊に
食事を提供し、道路や水道
を建設
し、
戦争の資金
を調達する必要がありました。
帝国が拡大するにつれ、
統治に必要な費用
も増え、それぞれの皇帝や支配層も裕福な生活を送り、
さらなるデナリウス
銀貨を欲しがるようになっていきました。
紀元後2世紀にはローマ
帝国外からの軍事的圧力
も強まり、敵対国から
国境を守るため
には、
税収だけでは高い軍事費を賄うことができなくなって
いきました。
そこで皇帝は、
昔からよくある手段
を使ったんです。
そうです。
貨幣価値の切り下げ
です。
市民への増税を要求しつつ、帝国はデナリウス銀貨の
銀含有量を大幅に減
らしていったんです。
別に貨幣価値の切り下げなんて紀元前からよく用いられていたことなので、特別なことをしたという認識はありませんでした。
それでも帝国維持のために、これまで以上に銀貨の
品質を落として大量
発行していったんです。
帝国の黎明期には、デナリウス銀貨の
銀含有量は約95%
でした。
ところが帝国が限界を迎えた3世紀初頭では、なんと
50%程度
にまで低下していきました。
それでも経済は厳しい状況が続き、3世紀半ばには銀の含有量はさらに大幅に低下していきました。
まるで現代の国債を大量発行する国
のようです。
かつては貴金属でできていた貨幣が、いつの間にか銀で表面を覆っただけの金属の円盤に変わっていきました。
当時の人々にとっても、その違いは明白でした。
物価が上昇し始め
たのは、貨幣がもはや実質的な価値を失い始めていたからです。
かつて1デナリウスだった小麦が、突如として
数十デナリウスに値上
がりするようになりました。
これは一般のローマ庶民の生活を完全に破壊したんです。
兵士たちは
物価上昇を補うため、より高い賃金を要求し始めました。
商人たちは
価値の下落した貨幣の受け取りを嫌い、
物々交換やゴールドでの支払い
を要求し始めました。
通貨は、もはや誰にも信頼されなくなっていました。
そして銀貨の価値が低下すればするほど、
皇帝たちは
自分たちの財産と権力を維持するため、さらなる安価な銀貨を鋳造していったんです。
つまり、マネーを大量発行していきました。
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顚どうの日本の未来作戦会議室
このマガジンは、筆名「顚どう」が主宰する、日本の未来を静かに、そして大胆に構想する“作戦会議室”です。 政治、通貨、制度、教育、医療、科…
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