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キセノンCTって検査知ってますか?  ~過去検査の回顧録~

キセノンCT(Xe-CT)は、安定キセノンガスを吸入しながらCT撮影を行い、局所脳血流(rCBF)を定量的かつ高分解能に測定する検査法です。

​SPECTやPETと異なり、放射性同位元素を使用せず、一般的なCT装置とキセノンガス吸入装置を組み合わせて実施できるのが特徴です。

​その原理と詳細について解説します。

​1. 検査の基本原理

​キセノンCTの原理は、「Fickの原理」に基づいた不活性ガス拡散法(Kety-Schmidt法)を応用したものです。

​トレーサーとしてのキセノン

  • 物理的性質: 安定キセノン(^{131}Xe)は原子番号54と大きく、X線を吸収しやすい性質(高吸収域)を持ちます。

  • 生理的性質: 脂溶性が非常に高く、血液脳関門(BBB)を自由に通過して脳組織に速やかに拡散します。また、生体内で代謝されず、肺から排泄されるため、脳血流の理想的なトレーサーとなります。

​濃度の数値化

​キセノンを吸入すると、脳組織内のキセノン濃度に応じてCT値(HU)が上昇します。

「CT値の上昇分 = 脳組織中のキセノン濃度」とみなすことができるため、経時的なCT値の変化を解析することで、血流量を算出します。

​2. 検査のプロセス:Wash-in と Wash-out

​通常、以下のステップで進められます。

  1. Baseline Scan: キセノン吸入前の通常のCTを撮影します。

  2. Wash-in phase (吸入期): 低濃度(25〜30%程度)の安定キセノンガスを数分間吸入しながら、同一断面を間欠的にスキャンします。脳組織にキセノンが蓄積していく過程を追います。

  3. Wash-out phase (排泄期): キセノン吸入を停止し、酸素または空気の吸入に切り替えます。組織からキセノンが抜けていく過程をスキャンします(施設により省略されることもあります)。


キセノンを4分吸入して酸素を5分吸入していたと思います。その後患者によってはダイアモックスを静脈注射して時間をおき再度同条件、吸入して検査を行っておりました。

​これらのデータから得られた「時間―CT値曲線」を解析ソフトで計算し、ml/100g/min という絶対値で血流マップ(脳血流マップ)を作成します。

​3. キセノンCTのメリットとデメリット

​メリット

  • 定量性: 脳血流を数値で評価できるため、虚血の程度や治療前後の比較が客観的に行えます。

  • 高分解能: CT画像がベースのため、SPECTよりも空間分解能が高く、解剖学的な部位との対比が容易です。

  • 簡便な繰り返し: 半減期を気にする必要がないため、アセタゾラミド(ダイアモックス)負荷試験などを同日中に続けて行い、脳血管予備能を評価することが可能です。

​デメリット・注意点

  • 副作用(麻酔作用): キセノンには麻酔作用があるため、吸入中にしびれ、多幸感、あるいは傾眠状態になることがあります。

  • 動きに弱い: 血流算出のために同一部位を何度もスキャンするため、検査中の体動がデータに大きく影響します。

  • 被曝: 同じスライスを連続して撮影するため、局所的な被曝線量に注意が必要です。

​4. 他の検査(SPECT・造影CT)との違い


各検査の比較


侵襲の低い検査でしたがコロナの影響を受けて検査が禁止となりました(ガスを吸入してもらう検査でマスクの交換が大変なため)。

現在はCTP(パーフュージョン)の方が簡便で主流になっているのではないでしょうか?

個人的にはMRIでのASLの精度向上でエビデンスが多くなるとより簡単に脳血流評価できるのではないかと思う今日この頃です。

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