『海賊と海軍――自由を選ぶか、安心を選ぶか』
おいおいおいおい!!
世間の「仲間は宝だ!」
「夢に向かって突き進め!」
なんていう、ジャンプの表紙みたいな綺麗事を、目を輝かせながら信じている連中よ。
よく聞け。
「海賊」をナメるな!!
あいつらはな、キラキラした冒険家じゃねぇ。
本来の海賊ってのは、略奪や暴力で海を荒らした、正真正銘の無法者だ。
つまり、社会のルールから飛び出した連中なんだよ!!
まずは、その辺の海を自由気ままに走り回る「ルフィ海賊団」を見てみろ。
船長は腹が減れば飯を要求し、直感だけで進路を決める。
船医は食べ物に釣られる。
剣士は方向音痴で目的地にたどり着けない。
コックは女性を見ると理性を失う。
……おい!!
現実の会社だったらどうなる?
入社三日目。
人事部から呼び出し。
「君たち、チームワーク以前に社会人として問題があります」
で、即終了だ!!
なのに何だ?
「海賊王に、おれはなる!!」
って、あの満面の笑顔だ。
普通なら不安になる。
計画はない。
保証もない。
安定もない。
でも、あいつらは進む。
そこが恐ろしいんだよ!!
あいつらがやっていることは、ただの冒険じゃねぇ。
嵐の海へ飛び込み。
強敵に向かっていき。
時には世界の巨大な権力とまでぶつかる。
普通の人間なら、
「いや、ちょっと話し合いませんか?」
と言うところを、
「ぶっ飛ばす!!」
で突き進む。
無茶苦茶だ。
迷惑だ。
でもな。
その無茶苦茶さの中に、自分の人生を自分で選ぶ覚悟があるんだよ!!
――一方で、海軍や世界政府はどうだ。
「正義」
「秩序」
「平和」
そんな大きな旗を掲げて、世界を管理する。
確かに、秩序は必要だ。
ルールがなければ、人間社会はすぐに壊れる。
だがな。
正義という言葉も、使う人間によって形が変わる。
組織の命令に従う。
決められた役割を果たす。
大きな仕組みの中で生きる。
それは安心でもある。
でも時には、自分の心の声を押し殺すことにもなる。
自由に飛び出せば、不安になる。
組織に従えば、窮屈になる。
結局、人間はいつだって、その間で迷っている。
――で、だ。
そんな自由と秩序の間に立つ俺たちは、自分の人生をどう生きるのか。
もし俺が、あの海へ飛び出したら。
ルフィみたいに、自分の信念のために命を張れるのか。
ゾロみたいに、自分の道を貫けるのか。
答えは決まっている。
……無理だ!!
港を出て三分後。
「すみません……船酔いしました」
と言って、船底で寝込む。
強敵が現れたら、
「ゴムゴムの……」
と言った瞬間に、
「いや、ちょっと待ってください! 話し合いましょう!」
と土下座する。
俺には、ルフィみたいな底抜けの自由を貫く強さもない。
ゾロみたいに、自分の体を削ってでも夢を追う覚悟もない。
人間って生き物は、本当に面倒くさい。
自由になりたいと言いながら、失敗は怖い。
夢を追いたいと言いながら、安定も欲しい。
変わりたいと言いながら、今の場所にも執着する。
そんな矛盾だらけの生き物だ。
でもな。
それでいいじゃねぇか。
俺たちは海賊王にはなれない。
世界一の剣豪にもなれない。
巨大な組織に立ち向かう英雄にもなれない。
それでも、自分の人生の船長だけは、自分でいられる。
船は立派じゃなくていい。
帆が破れていてもいい。
羅針盤が狂う日だってある。
大事なのは、誰かの船に乗せられることじゃねぇ。
ボロ船でも、自分の舵だけは離さないことだ。
人生という大海原で、
「俺の航路は俺が決める」
その気持ちだけは、誰にも奪わせない。
時代の波が何だ。
周りの声が何だ。
完璧な船じゃなくていい。
傷だらけの小舟でもいい。
今日という海を、自分なりに進んでいけばいい。
俺たちの航海は、まだ終わっちゃいねぇ!!
――以上だ!!
