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お茶飲んでいきな

実家へ行くと、
お母さんはいつも、
急須でお茶を入れてくれる。

忙しくて、
少しだけ実家へ寄った日も、

「お茶飲んでいきな」

そう言って、
湯呑みにお茶を注いでくれた。

農作業で、
外へ出ていても、

私が来ると、
家へ上がって、
お茶を入れてくれた。

お母さんは、
いつも畑や田んぼに出ていた。

長靴を履いて、
畑仕事をする。

手は、
土で真っ黒だった。

そんなお母さんに、
母の日には、
毎年花をプレゼントしていた。

「何か欲しいものある?」

そう聞いても、
お母さんはいつも、

「お母さんは、
何もいらないよ」

と言っていた。

ある年、
母の日に花を買っていく話をすると、

お母さんは、

「紫陽花がいいな」

そう言った。

私は、
青と紫の紫陽花を買った。

次の年、
お母さんは、
去年あげた紫陽花を、
植え替えしていた。

「去年もらった紫陽花が、
花を咲かせたよ」

お母さんは、
嬉しそうにそう言った。

「せっかくもらったんだから、
1年で枯らすのもったいないから」

お母さんは、
大事そうに、
毎年紫陽花を咲かせていた。

母の日に、
実家へ行くと、

今年も、
紫陽花が花を咲かせていた。

お母さんは、

「お茶飲んでいきな」

そう言って、
玄関で長靴を脱いだ。




#創作大賞2026             #エッセイ部門

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