孤高のフーデリ戦士 風土『配達員が足りない』

孤高のフーデリ戦士 風土『配達員が足りない』
クソっ!!
ピコン。
ピコン。
ピコン。
まただ。
大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大爆鳴り。
なのに。
クソ単価。
上げろ。
単価を上げろよ!!
こんなんじゃ配達員が集まるわけねぇだろ!!
だから俺ばっかり鳴る。
誰も分かってない。
「稼げない」
「オワコン」
「もう終わった」
そんなことばっかり言う。
だから新人が来ない。
新人が来ないから俺が走る。
俺が走るから新人が来ない。
悪循環だ。
前から言ってる。
もっと稼げるって言え。
配達員を増やせ。
そうすれば俺も少しは休める。
……誰も聞かない。
クソが。
受けるしかないか。
俺しかいないんだから。
アクセルを開ける。
街が流れていく。
信号を一つ。
二つ。
あと四百メートル。
二つ先の信号を右。
分かってる。
毎日走ってる道だ。
ピコン。
オーダー画面が地図を塞ぐ。
「あっ……!」
曲がるところ間違えたじゃねぇか!!
クソっ!!
なんで今鳴らす!!
ドロップ直前だぞ!!
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大・大爆鳴り。
気が狂いそうだ。
いや……
もう狂ってるのか。
違う。
狂ってるのは俺じゃない。
この街だ。
配達中くらい鳴らすな。
俺以外に配達員いないのか?
いない。
だから鳴る。
鳴るから走る。
走るから鳴る。
終わらない。
ようやく最後の一件を届ける。
インターホンを押す。
ドアが開く。
「ありがとうございました!」
商品を受け取った客が、ほっとしたように笑う。
「今日は全然マッチしなくて。本当に助かりました」
……
ほら見ろ。
やっぱり足りないじゃないか。
俺は間違ってなかった。
ヘルメットを被る。
今日はもう帰るか。
そう思った、その瞬間。
ピコン。
風土は小さく笑った。
「……分かった。今行く。」
アクセルを開ける。
東京は今日も、俺を呼んでいる。
あとがき
『孤高のフーデリ戦士 風土「配達員が足りない」』いかがだったでしょうか。
実を言うと、この作品、7月にはできていたんです(笑)。
書き上がったあとに文芸部のお題でやぎちゃんネタを数本書いたり、新シリーズ『空想配達読本』が始まったりして、なかなか投稿するタイミングがなく、ズルズルと9月になってしまいました(笑)。
さて、本作の主人公・風土も、実在の配達員「風土さん」がモデルになっています。
風土さんとは、僕が大阪にいた頃から相互フォローしていたはずなんですが、実際にたまに交流するようになったのは東京に来てから。
なので実は、そんなに風土さんのことを知らなかったんですよね(笑)。
ただ――
なんかいつもXで怒ってるなあと(笑)。
本作に出てくる「大・大・大爆鳴り」も風土さんがよく使っている表現で、前から「なんか面白いな」と見ていました。
そんな“怒れる配達員・風土さん”を主人公にしたら面白いんじゃないか。
そう思って、ある日つい、
「風土さん小説にしたいなあ」
と引用リプしてしまったんです(笑)。
まあ、無理やろ(笑)。
そう思っていたら、あっさり、
「いいですよ」
との返信。
まじで!?
そこから勢いで書き上げたのが、この作品です(笑)。
とはいえ、作中の「大・大・大爆鳴り」については、あながち誇張でもありません。
今の東京のフーデリ、本当にこんな感じで鳴るんですよね(笑)。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
あーもう、うっせーなって(笑)。
あまりにもうるさすぎて、僕はよくオーダーを切っています。
なので、風土の
「俺以外に配達員いないのか?」
という狂気じみた思考も、ずっと鳴らされ続けていると一瞬だけ分からなくもない(笑)。
もちろん、そこから「東京は俺が支えている」まで行ってしまうのが本作の風土なんですが。
一応、本作は『配達員ろること2号』シリーズのスピンオフという位置づけです。
なので今後、本編にも風土が登場することはあると思います。
ただ――
2号、ろるこ、豚野郎たちと風土がどんな絡みをするのか。
今のところ、僕にもまったく想像がつきません(笑)。
というか、風土が誰かと普通に会話している姿すら、まだあまり想像できないんですよね(笑)。
果たして風土は、ろるにご世界でも孤高の戦士であり続けるのか。
それとも誰かと出会って、さらに面倒くさいことになるのか。
そのへんは、僕もちょっと楽しみにしています(笑)。
※本作はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。
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