喪主になるその日までに、読んでほしい話。|若僧の教訓話*32
友人から一本の電話がかかってきました。
「おじいちゃんが亡くなった。」
私は僧侶です。
でも、その瞬間。
私は、友人が本当に困っていたことに気づけませんでした。
今日は、その後悔を書きます。
これは、今まさに喪主を務めている方へ向けた記事ではありません。
いつか喪主になるあなたへ。
未来のあなたに向けて、この教訓を残します。
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🌱 初めて頼られた日
お世話になっております。
記録と闘う修行僧です。
先日、高校時代の友人A君から連絡がありました。
「おじいちゃんが亡くなった。」
A君の家には菩提寺がなく、お寺との付き合いもほとんどありませんでした。
だから、
「お願いできないかな。」
そう頼ってくれたのです。
友人からお葬式の相談を受けたのは初めてでした。
私は、
戒名のこと。
お葬式までの流れ。
火葬場の日程。
お布施。
法要。
思いつく限り、一つひとつ説明しました。
少しでも安心してもらいたかったからです。
私は、
「まず葬儀会社さんに連絡して、火葬場の日程を確認してもらおう。その日がお寺でも大丈夫か確認しよう。」
そう伝えました。
日程は無事に決まり、
お葬式も滞りなく終わりました。
私は、
「ちゃんと力になれた。」
そう思っていました。
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🌱 父の一言
数日後。
葬儀会社さんから、お寺へFAXが届きました。
それを見た父が、
ぽつりと一言。
「なんでこの葬儀会社に頼んだ?」
私は意味が分かりませんでした。
父が言いたかったのは、
「その葬儀会社が悪い。」
ということではありません。
「いつもお願いしている葬儀会社さんを紹介してあげればよかったのに。」
そういう意味でした。
地域のお寺と長く付き合っている葬儀会社さんなら、
お寺との連携も慣れています。
地域の風習も知っています。
何かあれば相談もしやすい。
もちろん、
大手だから悪い。
地域だから良い。
そんな話ではありません。
どちらにも、それぞれの良さがあります。
でも、
相談できる選択肢を一つ増やしてあげられたかもしれない。
父は、そう言いたかったのです。
その瞬間。
私は、自分の失敗に気づきました。
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🌱 私は、一番大切な一言を伝えていませんでした
私は、
戒名を説明しました。
お布施も説明しました。
法要も説明しました。
お葬式の流れも説明しました。
でも、
一番大切なことだけ、
伝えていませんでした。
「もしよければ、信頼できる葬儀会社さんも紹介できますよ。」
その一言です。
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🌱 喪主は、考える時間がありません
お葬式の日。
火葬を待つ間、
精進落としの席でA君と話しました。
私は聞いてみました。
「一番大変だったことって何?」
A君は少し考えてから、
こう話してくれました。
「何もかもがどうすればいいか分からなくて。
仕事を休んだこの一週間は、ずっと気が気じゃなかった。
何が普通なのかも分からない状態だった。それが一番大変だった。」
その言葉を聞いて、
私は初めて気づきました。
喪主は、
悲しんでいる暇もないのです。
病院への迎え。
安置場所。
親族への連絡。
火葬場。
死亡届。
役所。
遺影。
食事。
返礼品。
お寺。
短い時間で、
次々と決断を迫られます。
冷静に考えられる状態ではありません。
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🌱 「〇万円から」の難しさ
最近は、
インターネットで葬儀会社を探す方も増えました。
「家族葬〇万円から。」
そんな広告を目にしたことがある方も多いと思います。
もちろん、
分かりやすい料金表示を心掛けている会社もたくさんあります。
一方で、
実際には搬送費や安置費、ドライアイス、祭壇、生花、返礼品、飲食などが加わり、最終的な金額が当初のイメージより高くなるケースもあります。
そのため、国民生活センターにも、葬儀費用や契約内容についての相談が毎年寄せられています。
だからといって、
「大手はだめ。」
そんな話をしたいわけではありません。
地域の葬儀会社さんでも、
契約内容を確認することは大切です。
私が伝えたいのは、
悲しみの中では、比較することが本当に難しい。
ということです。
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🌱 お金よりも、安心が欲しかった
私はA君に、
もう一つ聞きました。
「今振り返って、こうしておけば良かったって思うことはある?」
するとA君は笑って、
こう言いました。
「終わってみれば、たらればだけど。
おじいちゃんを安心して見送れたから、結果として良かったと思う。」
その言葉を聞いて、
私は少し救われました。
きっと、
葬儀とは、
完璧な段取りを目指すものではありません。
大切な人を、
安心して送り出せたと思えること。
それが一番大切なのだと思います。
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🌱 一番助かったこと
最後に私は聞きました。
「何が一番助かった?」
するとA君は、
少し照れながら笑って、
こう言いました。
「お坊さんを友達に持ってて良かった。
なかなか相談できる人もいない中で、こうして頼れる人がいてくれたのが、本当に助かった。」
私は嬉しかった。
でも同時に、
胸が痛くなりました。
私は頼られたのに、
一番大切な一言を伝えられなかったからです。
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🌱 若僧の教訓
私は、
友人を助けたつもりでした。
でも、
助け切れてはいませんでした。
説明した。
そう思っていたのは、
私だけだったのです。
もし、
あの時。
「葬儀会社さんも紹介できますよ。」
その一言を添えていたら、
A君には、
もう一つの選択肢があったかもしれません。
これから先、
同じ相談を受けたら、
私は一番最初に、
この一言を伝えようと思います。
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🌸 未来のあなたへ
もし、
この記事を読んでくださっているあなたが、
いつか喪主になった時。
どうか、
一人で抱え込まないでください。
菩提寺があるなら、
まずお寺へ相談してください。
菩提寺がない方でも、
地域の方、
親戚、
友人。
誰でも構いません。
一人に相談するだけで、
見える景色は大きく変わります。
そして、
もし今、ご家族が元気でいらっしゃるなら。
「もしもの時は、どこへ相談すればいい?」
その話だけでも、一度してみてください。
縁起でもない話だと思われるかもしれません。
でも、
その準備は、
未来のあなたを助けます。
私は今回、
その一言を伝えられませんでした。
だからこそ、
この教訓だけは、
未来の誰かへ残しておきたいと思います。
