大相撲五月場所をマス席で観る
いつかは生で観戦したいと思っていた、大相撲。
昨今の相撲ブームやインバウンド需要を背景に、大相撲のチケットは年々取るのが難しくなっています。
特に、週末のマス席ともなると、容易には取ることのできないプラチナチケット化しています。
2026年5月16日、私の誕生日でもあるこの日、
幸運にも一人用のマス席が当選しました。
人生初の大相撲!
今年の五月場所は、横綱大の里、大関安青錦に続き、初日の取組で右太もも裏を痛めてしまった、横綱豊昇龍も休場。
さらには知名度も人気も高い小結・高安も休場となり、残念ではありましたが、むしろ多くの力士にとって優勝のチャンスが巡ると前向きに捉え、ワクワクしながら両国へ足を運びました。
今回のnoteは我ながら力作です。
実際に国技館に行った気分で、最後まで読んでいただければ幸いです。
大相撲 -1日の流れ-
大相撲というと、夕方頃にNHKをつけたらなんとなく流れているイメージがあるのではないでしょうか。
実は、大相撲の朝は早い。
朝9時台には、序ノ口の取組が始まります。
そこから序二段、三段目、幕下と続き、
いわゆる"関取"に含まれる十両の土俵入りが行われるのが14時過ぎ。
さらに関取の中でも最高峰の幕内の取組が、「中入後」と呼ばれる16時過ぎからというのが一日のスケジュールです。

結びの一番を終えると、最後の勝者に代わり力士が土俵上で華麗に弓を振るう「弓取式」が行われ、お開きとなります。
どこよりも詳しい(?)現地観戦リポート
序ノ口〜幕下取組
9時15分、両国駅の目の前にある国技館に到着。
さすがに場内は空席がほとんどですが、それでも割とお客さんが入っているな、というのが最初の印象でした。

自分の席を探し、靴を脱いで上がります。
今日は一日、この座布団とパイプで囲まれた一角が自分だけの占有スペースになります。

序ノ口、序二段の取組は場内も比較的静かなので、呼出や行司の声がよく通ります。
呼出は他にも土俵をほうきで掃いたり、場内アナウンスをしたりといった仕事もあります。
独特のイントネーションのアナウンスは西花道の脇で行われているのかと、現地に行かないとわからない学びもたくさん。

序ノ口〜幕下の場所あたりの人数はおよそ400〜500人。
幕下以下は2分以内に立ち合いに移らなければならないため、ハイペースで取組が進みます。
あらかじめ見たい力士を決めておいて、その合間に買い物や食事に出ることをおすすめします。
ちなみに場内は飲食自由、飲酒もOKです(ただし土俵に最も近い"溜席"は、飲食・撮影NG)。
時折、土俵下の勝負審判から「物言い」がつくことがあります。
テレビだとたまにしか見ない印象ですが、前相撲から見ていると実は結構あるんですね。
日本相撲協会の審判部に所属するのは往年の名横綱も多く、この日も二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)や音羽山親方(元横綱・鶴竜)などが黒の紋付袴姿で見られました。

現地で印象に残った力士を2名、紹介します。
一人目は、西三段目・出羽ノ城(出羽海部屋)。
角界最重量で、体重なんと252キロ!
しかし貴大将(湊川部屋)にあっけなく押され、敗れました。
身体がデカければ勝てるというわけではないのが、相撲の面白いところですね。

もう一人は、この五月場所でデビューした幕下付出・大森(追手風部屋)。
初土俵ながら、この日も長い取組の末、下手投げで勝ち越しを決めました。
筋骨隆々の肉体美と、端正なマスクで早くも女性ファンから大人気!
この日も大きな歓声が上がっていました。

国技館グルメを味わう
11時を過ぎると場内の売店が続々と開店します。
お昼どきでお腹も空いてきたので、スタグルならぬ国技館グルメを楽しむことにしましょう。
まずは国技館名物の焼き鳥。
これがなくては始まりません。

鳥は2本足で立ち、手をつかない(=負けない)ことから、相撲にとって縁起が良いとされます。
国産の鶏肉は冷凍せず、その日に仕入れたもの。
冷めても美味しく食べられるよう、独自の製法で作られています。
さらには、マス席で座って食べても服を汚さないよう、タレの量を抑えて味を染み込ませているのが特徴です。

場所中には、相撲部屋の味を再現した「ちゃんこ」も体験できます。
この日は大関・霧島も所属する音羽山部屋の醤油ちゃんこでした。

12時前に地下の食堂に続く階段へ向かうと、すでに長い列が。
20分ほど並んで、念願のちゃんこにありつきました。
熱々の醤油だしに、鶏肉と野菜、油揚げがたっぷり入った一杯は本当に美味しい!
これは並んででも食べる価値ありです。

テレビでは見られない国技館探訪
せっかく国技館に来たので、現地でしか味わうことのできない国技館の内部を掘り下げてみます。
午前中から人気だったのは国技館限定ガチャ。
1回500円で、力士のアクリススタンドやキーホルダー、四股名の座布団にヘアピン、さらには行司のアクスタなど、様々な商品が並んでいます。

2階に上がると、人気の力士が壁や柱の陰からひょっこり顔を出している、その名も「ひょっこ力士」というフォトスポットがあります。
先ほどのガチャコーナーでGETした、熱海富士のアクスタと記念撮影♪

12時30分からは、相撲博物館がオープンします。
江戸時代の貴重な錦絵や、史上最強の力士と呼ばれる雷電の羽織などを見ることができます。
また、相撲の神様を祀る野見宿禰神社の御朱印も授与されます。
数に限りがあり、12時40分の時点で既に残り20枚と大変な人気でした。

西2出口の売店の横には、外に出られるスペースがあります。
ここは力士の入り待ち・出待ちをするファンで賑わっていました。
付け人を従え、集中した表情で支度部屋に向かう関取を生で見られるのも現地ならでは。
なお、このスペースは日差しが直撃する上、日傘の利用は後ろの人の迷惑になるのでご注意を。

十両〜幕内土俵入り
さて、相撲観戦に戻ります。
14時45分、十両の取組が始まりました。
ここからは「関取」同士の一番となり、午前中に空いていた席も次第にお客さんで埋め尽くされていきます。
この辺りから、行司の掛け声も聞こえづらくなってきました。

十両は色鮮やかなまわしを締め、土俵に清めの塩を撒くことができます。
どの力士にも熱心なファンがおり、四股名タオルを掲げる姿が至る所で見られました。

15時50分、幕内土俵入り。
約600人近い力士の中でも、幕内はトップオブトップ。
人気・実力とも最高峰のスターが土俵に勢揃いします。
化粧まわしを締めた関取の、まさに晴れ姿。
呼出の度に大きな歓声が上がりました。

幕内土俵入りの後、「中入り」という休憩に入ります。この間はトイレも大混雑します。
中入後〜結びの一番
16時5分、幕内取組が始まります。
天井からは「満員御礼」の垂れ幕。
ここからは、もう一番も見逃せません。

中入後は、懸賞がかかる取組も多くなります。
一つひとつが読み上げられ、懸賞旗を持って土俵を一周します。
個人的に楽しみにしていたちいかわ(うさぎ)の
「ウラ.」も見ることができました。笑


初日から5連勝と勢いに乗る琴栄峰は、「四股だけでもお金が取れる」(元大関・琴風)ほど美しい四股が持ち味。
この日も180度の角度まで足を上げると、場内から大歓声が起こりました。

ちなみに私も時々四股を踏むのですが、90度がやっと。
相撲の基本は四股・すり足と言いますが、
四股って簡単そうで難しいんですよね。

朝から進んできたこの日の相撲も残り三番、
行司は式守伊之助が合わせます。
行司の最高位である「立行司」は、腰に脇差を差しており、「行事差し違えは切腹」の覚悟を示しているとされます。
(ちなみにこの脇差は真剣だそうです)

ここまでただ一人全勝を守ってきた大関・霧島。
場内の緊張感もピークに達します。
大栄翔を正面に追い詰めて見事押し出し。
危なげなく7勝目をキープしました。

結びの一番は大関・琴桜と王鵬。
琴桜は王鵬の猛攻に耐えきれず、痛い5敗目を喫してしまいました。

弓取式と跳ね太鼓
この日の大相撲がようやく終わりを迎えました。
十両から結びの一番までは、あっという間に終わってしまったというのが率直な感想です。
最後は横綱に代わり、同部屋の力士による弓取式が披露されます。
勝った力士に褒美として弓が授けられた伝統に由来するもので、空中の邪気を取り払うという意味も込められているそうです。

弓取式の時間は、テレビだと解説者の総括や結びの一番のVTRが流れることが多いため、現地観戦の特権といえます。
美しい舞を披露した後は、四股にあわせて
「よいしょー!」の掛け声。
これでお開きとなり、お客さんも一斉に国技館を後にします。

国技館を出ると、軽やかな太鼓の調べが聞こえてきます。
これは跳ね太鼓といって、興行がはねる(本日の相撲がすべて終わる)ことを知らせるとともに、「お客様が無事に家路につけますように」という無事の祈願、さらには「また明日もお越しください」という意味が込められているのだそうです。
最後まで読んでいただいて、
本当にありがとうございます。
かなり長くなってしまいましたが、大相撲は他のスポーツ以上に、現地で観る楽しみがたくさんあります。
全ての取組を真剣に見るもよし、
グルメに舌鼓を打つもよし、
入り待ちや出待ちを楽しむのもよし、
推し活にのめり込むのもよし、
それぞれの楽しみ方を通じて、日本の伝統的な国技である相撲をもっと身近に楽しんでみてはいかがでしょうか。
