【感想】熱源
小説というより『社会の教科書』を読んでいる感覚だった。
面白い。が、かなり難しい。
第162回『直木賞』を受賞した本書。
樺太(サハリン)で産まれたアイヌのヤヲマネクフと、リトアニアで産まれたポーランド人のブロニスワフが物語の主人公。
日本人になりたくないマンのヤヲマネクフと
ロシア人になりたくないマンのブロニスワフ。
運命に抗いながら壮絶な人生を生きる二人の場面が交互に描かれ、やがて邂逅する。「おぉ!ここで2人は繋がるのか!」と読んでいて熱くなった。まさに「熱源」だ。
主な舞台は無論、樺太である。中学時代によく聞いた名前。よく分からずに聞き流していた名前だ。日露戦争の果てに勝利した日本が樺太の南半分を得り、北半分はロシアの領土とした事で樺太やらサハリンと呼ばれていたのだ。

こうして見るとかなりデカい事が分かる。北海道よりもデッカいではないか。
樺太の領土をロシアと日本で奪い合ってはいたのだが、そもそも樺太には先住民がいた。それがアイヌである。
他にもギリヤークやオロッコといった民族も暮らしており、彼らにしてみると突然自分たちの居場所を乗っ取ってはロシア人になれだの日本人になれだのと、心底迷惑な話なのである。
そんな樺太でアイヌの文化を無くしてたまるかと奮闘するヤヲマネクフとブロニスワフ。
アイヌ語やアイヌ文化を後世に残す為、作中にも登場する金田一京助という男がヤヲマネクフの口述のもとに記した「あいぬ物語」がこの熱源の元ネタなのだという。なるほど。
ちなみに山辺安之助=ヤヲマネクフである。
歴史フィクションとは言え元ネタがあるという事はあの南極を目指すくだりも実話という事なのだろう。機会があればこちらも読んでみたい。

アイヌといえば・・・
やはり頭に浮かぶのは『ゴールデンカムイ』のアシㇼパさんだ。どうしてもあの子が先入観として流れ込んでくる。
ゴールデンカムイを先に読んでいたおかげでアイヌ民族に対する前提知識が多少なりともあったと思う。アシㇼパさんのイメージが強すぎるが。熱源の方が実在する人物も多くよりリアルに描かれているように感じた。
ゆえに教科書なのだ。
教養のない私は小説を読む事でまたひとつ知識を得る。忘れないように娘にアウトプットしていこう。まだ「熱」は残っている。
