19年暮らした家の“さようなら”三連発
我が家は2007年に建てた。昨年の12月で引き渡しから丸18年。現在19年目だ。無垢材・塗り壁・むき出しの梁、自然味あふれる造りだけに、経年変化も著しい。
しかしとても空気がよく快適なのだ。外で疲れて帰ってきても、家で過ごしているとそれだけで元気になる。私だけでなく、家族も皆そんなふうに感じているようだ。
19年で初の出現
先日、19年目にして初めてのGが出現した。G、そう、ゴキブリだ。
風呂場の前を通り過ぎた時、ふと気配を感じた。誰かがこちらを見ている気がした。振り返ると、風呂場の床にヤツがいた。しかもデカい。ギエエエーーーー。むこうもやばい、見つかったという緊張感を醸し出している。
初めてのG出現はショックだった。しかも風呂場というのがよくない。リビングなら迷い込んだのかなと思えても、風呂場は棲息地感がすごい。家には私一人、誰にも助けを求められない。ヤツを逃してどこに行ったのか分からなくなってしまったら、たちまち我が家は恐怖の館と化す。
大学生の頃、居酒屋でアルバイトをしていたことがあった。チェーン店だったが、建物が古くて営業中でもよくGが出た。お客さんが飲食しているカウンターの上を堂々と渡り歩く。当然お客さんは大騒ぎになる。女子大生とはいえ私は店員、逃げ回るわけにもいかないので、わさわさとペーパータオルをつかんでお客さんの間に分け入り、ひとおもいに成敗するという作業を毎日のようにしていた。お客さんによく「すげー…」とつぶやかれたものだ。
そんな武勇伝を思い出し、あんたはできる子!と自分に言い聞かせ、ティッシュペーパーを大量につかんで自分のリーチの短さを悔やみながらGに突撃し捕獲。つかんだティッシュペーパーごとビニール袋に入れ、口をぎゅっとしばって蓋付きのゴミ箱に葬った。あなたに罪はないけど…さようなら。
19年でただの給湯器と化す
我が家の給湯システムは「エコウィル」だ。ガスで発電し、余った電気でお湯を沸かして貯湯するというもの。暖房でガスをふんだんに使う冬期間は発電しまくるので、ウソでしょと思うくらい電気代が安かった。まあ、良かったのはそれくらい。蓄電も売電もできないので、夏はほとんど恩恵に与れないし、そもそも発電機を動かすのに電気が必要で、停電の時は結局電気もガスも何も使えない。あまり評判がよくなかったのか、今やエコウィルそのものが提供終了となっている。
そして昨冬ついに発電機が壊れた。まったく発電をしない、ただのガス給湯器に成り下がった。しかし給湯器としては全く問題ない。それどころか発電にガスを使わないので、ガス代が安い。もちろん電気代は上がっているが、プラスマイナス、ほとんど差がないどころかむしろ光熱費マイナスかもしれない。うむ、提供終了となるのも頷ける。
しかしこの19年物の元エコウィル給湯器も寿命が近いだろう。知ってか知らずか新しい給湯システムのチラシがやたらポストインされる今日この頃だ。
19年間ありがとう
19年前の入居時に買ったソファ。無印良品の2.5シーターのソファがもう限界だ。現在のソファとは若干大きさが違うようで、新しいカバーももう買えない。10年ほど前に一度特注で作ってもらったが、さすがにもうできないようだ。というかそもそも座面のウレタンがへたり込んでいてカバーどころの話ではない。
1年前にソファを捨てることを検討したが、家族の猛反対にあって保留になっていた。皆、病める時も健やかなる時も、このソファに包んでもらって18年間暮らしてきたのだ。私はあまり物に思い入れがないが、夫と息子は思い入れしかない。
しかし先日、我が家の老犬レオがソファの上で盛大に粗相をした。そこから慌ててトイレに行こうとしてソファの上にお小水の道ができた。レオの聖水はあっという間にソファに染み込み、ソファはついに屍となった。
考えてみたらいろいろなものが染み込んでいる。汗、涙、よだれ、お小水、ファブリーズ、飲み物、19年分。レオがとどめを刺した形となり、ソファとお別れすることに家族全員が同意した。
家族の一員のようだったソファ。ありがとう、さようなら。

2013年
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