【情熱の漂流】画面を埋め尽くす謎の暗号。失われた熱きメッセージ
こんばんは、船長のrinrinです。
皆様、今日も一日の過酷な航海、本当にお疲れ様です。
海賊船の船長というものは、時に言葉一つで荒くれ者たちの士気を高め、進むべき道を示さねばなりません。
声高らかに甲板で演説をするのも良いですが、静かな夜に一人、キーボードを通して仲間や読者の皆様への熱い想いを綴る時間もまた、私にとっては大切な航海の一部でございます。
しかし、私はその神聖なる執筆の海で目に見えない恐ろしい暗礁に激突し、船ごと深い虚無の底へと沈没させられてしまいました。
本日は、あふれんばかりの情熱が一瞬にして塵と化す「タイピングの悲劇」についてお話しさせてください。
溢れ出る情熱と、キーボードへの熱視線

夜も更け、船室にカンテラの灯りだけが揺れる静寂の中。私の頭の中に、突如として素晴らしい文章のインスピレーションが舞い降りてきました。
海を生きる我々の絆、幾多の嵐を乗り越えてきた誇り、そして明日への希望。伝えたい言葉が、次から次へと泉のように湧き上がってくるのです。
私はすぐさまデスクに向かい、指を動かし始めました。
私は画面を見ずに打つ「ブラインドタッチ」という器用な航海術を持ち合わせておりません。そのため、一文字一文字を確実に打ち込むべく、視線は手元のキーボードに完全に固定されております。
「カタカタカタ……ッ! ターン!」
画面の様子を確認する余裕などありません。ただひたすらに、脳内に溢れる情熱的な言葉を取りこぼさぬよう、必死にアルファベットの配列を目で追いかけておりました。
小気味よい打鍵音は、まるで順風満帆な船が進む波音のよう。感情の高ぶりに合わせてタイピングの速度は増し、我ながら涙が出るほど完璧で、心を打つ名文が紡がれている。そう確信しながら、手元だけを睨みつけて一心不乱にキーを叩き続けたのです。
見上げた先に広がる、謎の古代暗号

「……よし、完璧だ!」
深い満足感とともにひときわ大きな力でエンターキーを叩き、私はようやく手元から視線を外し、誇らしげに画面を見上げました。熱き想いが込められたその長文を、送信前に一度噛み締めようと思ったのです。
しかし、私の目に飛び込んできたのは、美しい日本語の調べでも、心を揺さぶる名言でもありませんでした。
『oretatinokizunaha...』
『tomoniumiwokoeteikou...』
画面を埋め尽くしていたのは、意味を成さないアルファベットの羅列。そう、入力モードが「半角英数」のままになっていたのです。手元のキーボードに全集中するあまり、画面の異変に全く気が付いておりませんでした。
そこには、私が身を削って紡ぎ出した情熱的なメッセージの代わりに、まるでどこかの未開の島で発見された古代の暗号か、あるいは何かの呪いのような文字列が、画面の端から端までびっしりと、しかも長々と並んでおりました。
それはまるで、羅針盤(キーボード)だけを頼りに激しく舵を取り続け、いざ前を向いたら全く見当違いの無人島に漂着していたかのような光景でございました。
虚無の海に沈む心と、静かなる全消去

その瞬間に訪れたのは、怒りでも焦りでもありません。ただ果てしなく深く、冷たい「虚無感」でございました。
先ほどまで私の中を駆け巡っていたあの熱い情熱は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。手元と睨み合いながら一文字ずつ懸命に打ち込んだ努力の結晶が、この「ローマ字の海」へと姿を変えているのを前にして、私の心は凪のようにスッと冷え切ってしまいました。
この長大な文字列を一つ一つ日本語に変換し直すことなど、途方もない作業すぎて不可能です。
何より、あのキーボードを睨みつけていた瞬間の「神がかった言葉の言い回し」や感情の高ぶりは、すでに私の記憶からもこぼれ落ちてしまっているのです。同じ熱量で書き直すことは、二度とできません。
私はただ無表情のまま、「BackSpace」キーを長押ししました。
ダダダダダダッ……と、意味を持たないアルファベットたちが勢いよく消えていく無機質な光景を見つめながら、私は海賊船長としての大きな敗北を悟りました。
皆様も、情熱の赴くままに長文を打ち込む際は、どうか最初の数文字だけでも画面を確認してから、手元への集中という大海原へ漕ぎ出してくださいませ。
それでは、明日も皆様にとっていい航海でありますように。....乾杯!🥃✨
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