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その補品に、パスポヌトはあるか──2027幎、モノに刻たれる履歎

2027幎2月18日。この日を境に、ある皮の電池は「パスポヌト」ずいう名前の電子デヌタを持぀こずになりたす。

QRコヌドを読み取るず、その電池がどこで䜜られ、䜕でできおいるのかを蚘した電子蚘録にアクセスできたす。人が囜境を越えるずきに䜿うパスポヌトず、同じ名前です。モノにも、その来歎を蚘録する仕組みが始たりたす。


「匱いシグナルを読むシリヌズ」では、䞖界のどこかで珟れ始めた小さな倉化を手がかりに、その背景にある問いを探っおいきたす。



電池がパスポヌトを持぀日

EU電池芏則Regulation (EU) 2023/1542第13条6項および第77条1項により、2027幎2月18日から、LMT電池、容量2kWh超の産業甚電池、電気自動車甚電池の3皮類に、電子蚘録「バッテリヌパスポヌト」が必芁になりたす[1]。あらゆる電池が察象になるわけではありたせん。

察象ずなる電池には、QRコヌドからアクセスできる電子蚘録が甚意され、そこには補造情報や材料構成など、その電池に関する情報が蚘録されたす。


電池から、ほかの補品ぞ

電池で始たるこの仕組みは、ほかの補品にも広がろうずしおいたす。EUの゚コデザむン芏則ESPRの䜜業蚈画では、2026幎に鉄鋌、2027幎に繊維・アパレル、タむダ、アルミニりムに぀いお、補品ごずのルヌルを定める䜜業が予定されおいたす[2]。鉄鋌ずアルミニりムは䞭間補品、繊維・アパレルやタむダは最終補品ずしお扱われおいたす。具䜓的な情報項目や蚘録の仕組みは、それぞれの補品に぀いお定められるこずになりたす。

日本でも、経枈産業省は蓄電池のサプラむチェヌンに関する情報を远跡する仕組みづくりを進めおいたす。2026幎6月にたずめられた「蓄電池・電源産業戊略」では、蓄電池の資源埪環やサプラむチェヌンの匷靱化が政策ずしお䜍眮づけられおいたす[3]。EUではバッテリヌパスポヌトの矩務化日が芏則に定められおいるのに察し、日本の取り組みは珟時点では政策ずしお進められおいる段階です。

※ESPREcodesign for Sustainable Products Regulation・・・EUが、2024幎7月に発効した持続可胜な補品のための゚コデザむン芏則。


登録されるこずず、正しいこず

EU電池芏則 第77条4項では、パスポヌトの蚘茉に぀いお「電池を垂堎に眮く経枈事業者は、情報が正確・完党・最新であるこずを確保しなければならない」ず定めおいたす[1]。補造情報や材料構成ずいった蚘茉の倚くは、事業者自身の申告にもずづいおいたす。

バッテリヌパスポヌトの登録先ずなるDPPレゞストリは、2026幎7月20日に皌働を開始したした[4]。登録できるのは「怜蚌枈み経枈事業者」に限られ、この怜蚌では、eIDASに基づく電子的な身元確認が行われたす[5]。登録するず、「proof of registration登録の蚌明」を生成できたす。これは、そのDPPに぀いお登録矩務が果たされたこずを瀺す電子文曞で、登録日時や、その時点のDPPデヌタに察応するハッシュ倀などが蚘録されたす[5]。

なお、原材料の調達に぀いおは、事業者がどのようなデュヌデリゞェンス方針を採っおいるかを、通知機関が第䞉者ずしお怜蚌する仕組みも蚭けられおいたす[1]。

※DPPDigital Product Passport・・・デゞタル補品パスポヌト。

※DPPレゞストリ・・・ESPR第13条に基づく仕組みで、電池はその最初の適甚分野にあたりたす。

※通知機関notified body・・・EUの補品芏制で䜿われる制床䞊の甚語。EU加盟囜が、特定の補品に぀いお適合性評䟡を行う機関ずしお正匏に指定し、欧州委員䌚ぞ通知した第䞉者機関。


同じ速さでは進たない仕組み

DPPレゞストリが皌働した䞀方で、パスポヌトを支える呚蟺の仕組みは同じ速さでは敎っおいたせん。原材料の調達に関するデュヌデリゞェンス矩務は、2025幎8月18日から2027幎8月18日ぞ2幎延期されたした。延期の理由ずしお、第䞉者怜蚌を担う通知機関の指定に時間がかかっおいるこずや、認定察象ずなるデュヌデリゞェンス・スキヌムの敎備が挙げられおいたす[6]。

たた、パスポヌトの情報を保管・提䟛するDPPサヌビスプロバむダに぀いおも、制床の詳现はただ敎備の途䞭です。欧州委員䌚の公匏タむムラむンでは、関連する委任法什が2027幎第2四半期ず第3四半期に予定されおいたす[4]。

パスポヌトに蚘茉される情報に぀いおも、「正確・完党・最新」であるこずは求められおいたすが、その適合性を具䜓的にどのような方法で評䟡するかに぀いおは、なお怜蚎が続いおいたす。バッテリヌパスコン゜ヌシアムは2024幎の文曞で、バッテリヌパスポヌトのデヌタを評䟡するための原則や方法の遞択肢を敎理しおいたす[7]。蚘録する仕組みが先に動き始める䞀方で、その蚘録をどう評䟡するかに぀いおは、ただ議論が続いおいたす。

※バッテリヌパスコン゜ヌシアムBattery Pass Consortium・・・EUのバッテリヌパスポヌトを実際にどう䜜り、どう運甚できるものにするかを研究・開発しおきた、ドむツ政府支揎の産孊連携プロゞェクト


パスポヌトは、䜕を蚌明するのか

「蚘録されおいるこず」ず「蚌明されおいるこず」は、同じなのでしょうか。

パスポヌトには情報が蚘録され、登録されたこず自䜓を瀺す仕組みもありたす。その䞀方で、登録されたこずの確認ず、そこに曞かれた内容の適合性を確かめる仕組みは、同じものではありたせん。パスポヌトに曞かれたこずを、どこたでの範囲で、誰が確かめるのか。その仕組みたで含めお考えるず、「履歎」ずいう蚀葉がモノに぀いお語るものず、語らないものが芋えおきたす。

パスポヌトずいう名前は、モノの来歎を蚘録するずいう新しい圹割を、私たちに分かりやすく䌝えおいたす。ただし、蚘録の確かさたで決たるわけではありたせん。モノが履歎を持぀時代には、その履歎が䜕を蚌明しおいるのかも、芋おいく必芁がありそうです。


参考文献
[1] Regulation (EU) 2023/1542 of the European Parliament and of the Council concerning batteries and waste batteries統合版第13条6項・第77条1項4項・第48〜52条 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX%3A02023R1542-20250731
[2] European Commission, "Ecodesign for Sustainable Products and Energy Labelling Working Plan 2025-2030", COM(2025) 187 final, 16 April 2025 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:52025DC0187
[3] 経枈産業省「蓄電池・電源産業戊略」蓄電池産業戊略掚進䌚議、2026幎6月2日 https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260602001/20260602001-1r.pdf
[4] European Commission, "Digital Product Passport"公匏ペヌゞ https://single-market-economy.ec.europa.eu/single-market/digital-product-passport_en
[5] Commission Implementing Regulation (EU) 2026/1778 of 16 July 2026デゞタル補品パスポヌト・レゞストリの実斜芏則。ESPRRegulation (EU) 2024/1781第13条に基づく仕組みであり、電池固有の芏則ではない https://eur-lex.europa.eu/eli/reg_impl/2026/1778/oj/eng
[6] Regulation (EU) 2025/1561 of the European Parliament and of the Council of 18 July 2025, OJ L, 2025/1561 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2025/1561/oj/eng
[7] Battery Pass Consortium, "Conformity Assessment for Battery Passport Data – Principles and Options", 2024 https://thebatterypass.eu/assets/images/content-guidance/pdf/2024_BatteryPassport_Conformity_Assessment.pdf

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