格闘技ファンが知るべきドーピングの基本知識──フェアとは何かを考える
いつの時代でも話題にあがる「ステロイド」。
ステロイドって筋肉モリモリになるって印象はあっても具体的にどういうものか知らないって方が多いと思います。
いちおう趣味でボディビルを見ていたり、ボディメイクや筋トレをしてるとドーピングに関する知識を拾う機会が多かったので、
わかりやすく説明出来ればなと思い記事を書いてみました。
①そもそもステロイドって何?
そもそもステロイドとは何なのか?
意外と勘違いとして多いのが「サプリメントの一種」や「プロテイン」と一緒だと思ってるパターン。
でも実はそうではなくステロイド(アナボリックステロイド)は、男性ホルモン(テストステロン)に似た作用を人工的に強めた薬です。
簡単に言うと、体に「筋肉を作れ!」っていう信号を強烈に送るもの。
つまり
プロテイン=栄養補給、
ステロイド=ホルモンをいじって筋肉を無理やり作らせる
という大きな違いがあります。
ステロイドの利点
・筋肉の合成を促進する
・回復力を異常に高める(練習の疲労からすぐ立ち直れる)
・攻撃性が増す(戦闘スポーツでは特に有利)
だから短期間で体をデカくできたり、追い込みの練習を異常な量こなせたりします。
ただステロイドはメリットばかりじゃありません。
大きなデメリットもありヤバいんです。
ステロイドの副作用
・肝臓・腎臓・心臓に大ダメージ
・男性ホルモンのバランス崩壊(睾丸の萎縮・不妊リスク)
・精神的に攻撃的になりやすい「ロイドレイジ」
・女性が使うと声が低くなる、体毛増えるなど
ステロイドによって内臓にダメージがいくと肝不全や腎不全になる事も。
そうなると人工透析が必要になったり、命を落とす恐れもあります。
あとは性欲もかなり減退する事もあり、男性だとホルモンのバランスが崩れる事からEDになる場合もあります。
ただトレーニング界隈では、こういうリスクを重く考えずにステロイドを気軽に使う人がいるようで、
ボディビルのレジェンド「ジュラシック木澤」さんも警笛を鳴らしています
②禁止薬物にはどんな物があるか
ドーピング検査はステロイドの使用を探す為だけのものではありません。
大まかにどんな物があるかを挙げていきたいと思います。
1.継続投与で筋肉増強タイプ
筋肉の合成を促進して、回復力も爆上がり。短期間で身体を大きくできる。
副作用リスクも大きい。
いわゆるステロイド等はこのタイプ。
2.減量補助タイプ
脂肪燃焼を加速させたり、利尿作用で水分を抜きやすくする。
減量を楽にするけど体へのダメージも深刻。
ステロイドとは違う禁止薬物です。
減量をするとどうしても筋肉も落ちてしまうのですが、筋肉を維持したまま減量をしやすくなります。
計量時の水抜きにも使えますね。
3.即効性ブースタータイプ
試合直前や数時間前に摂取してパワーや集中力を一気に高める。
検査のタイミング次第で見抜けないケースもある。
速攻型のステロイドや興奮剤などが含まれます。
みなさんは禁止薬物といえば「1.継続投与で筋肉増強タイプ」の印象が強いと思うのですが、
それ以外にもパフォーマンスを上げるものが存在するのです。
③検査方法の重要性
ステロイドや禁止薬物にはいろんな種類や使用タイミングがあります。だからこそ「検査方法」がめちゃくちゃ重要になってきます。正直、検査のタイミングを事前に知らせて行っても、ほとんど意味がありません。では、どんな検査が必要なのでしょうか。
・定期的検査
ステロイドは「サイクル」を組んで使われます。つまり、使用期間と休止期間を繰り返すんです。もし検査がたまたま休止期間に当たれば、違反が見抜けません。だから定期的な検査が必須になります。
・抜き打ち検査
事前に通達してしまうと、薬を抜いたり、誤魔化すための薬(マスキング剤等)を飲んだりできてしまいます。抜き打ちで行うからこそ効果があります。
・試合直後の検査
即効性ブースタータイプの禁止薬物やステロイドも存在します。試合前の検査だけでは、試合直前に使われるリスクを防げません。そのため「試合直後に隔離して検査」が行われるのです。
このようにドーピング検査をするタイミングが重要になってきます。
④ステロイドを使った時点でフェアではなくなる
よく「検査で陰性なら問題ない」と思っている方がいますが、実はそうではありません。
筋肉には「筋肉メモリー」と呼ばれる性質があり、一度ステロイドで急速に発達させた筋肉は、薬をやめても細胞核が残り、
トレーニングを続ける限り成長しやすい状態が維持されます。
そのため、一度でもステロイドを使った選手は、使用歴のない選手と完全に同じ条件で戦うことはできないのです。
ボディメイク界隈では「駆け出しドーピング」という造語もあり、ステロイドで筋力を十分につけた後に薬を抜き、アンチドーピングの大会に出場する選手を批判する際に使われます。
こうした手法が現実に存在することを考えても、ドーピングをした時点でフェアではなくなるのです。
⑤終わりに
よくドーピングについて「薬を抜けば問題ない」とか「昔はそれでも堂々としていた」とか、あるいは「結局は体がしぼんでしまう人もいる」といった声を耳にします。
しかし、格闘技はコンタクトスポーツであり、相手にダメージを与えることを前提とした競技です。
ドーピングによって得た筋力で攻撃すれば、通常なら起こらなかった怪我や事故を引き起こす可能性が確実に高まります。
言い換えれば、ドーピング選手をリングに上げることは、未然に防げたはずの事故を容認してしまうことと同じです。
これはオリンピック競技を含めた他のスポーツにおいても同様で、相手の身体や選手としての寿命を削る行為につながるのです。
したがって、ドーピングを防ぐことは「フェアな試合」を守るためだけでなく、相手の人生やキャリアを守るためにも欠かせない取り組みだと考えます。
そして同時に、格闘技ファン自身が「アンフェアな試合は見たくない」と声を上げることも、競技を健全に守る大きな力になるのではないでしょうか。
