『 迎え火 MEGAMAX 』
国内有数の高層ビルで、
大規模な火災が発生した。
幸いなことに迅速な避難対応により、
死者も怪我人も発生しなかった。
だが、お盆の真っ最中だった。
火の勢いは一向に収まらず、
霊が迎え火と勘違いして集まってしまった。
例年ならもう帰ってこない大昔の霊たちまで、
ビルが見える全ての土地から。
そしてあまりに炎が強く、
霊たちは家庭の小さな迎え火を見つけられない。
帰る家がわからないのだ。
やがて異変に気づいた家族たちも、
先祖を求めてビルの周囲へ集まり始めた。
本来なら交わることのない、
何世代もの死者と生者が一堂に会した。
「あんた、隠し子がいたのかい!」
「しかもあの時の浮気相手!」
「こんなところで再会できるなんて!」
「ああ、なんてことだ!!会いたかった」
「子孫が家も土地も売っただと!!?」
「何年守ってきたと思ってるんだ!!」
「あなた、この女は誰!」
「お前こそオレが死ぬ前から浮気してたのか!?」
「ワシの財産がなぜアイツに!」
「長男にしか相続させんと言っただろうが!!」
墓場まで持っていった秘密が暴かれ、
再会を喜ぶ者がいる一方で、
生前と死後の不義理が露呈する者もいた。
怒鳴り声、泣き声、愛の告白。
何万もの声が、夜の街に響き渡った。
火災は三日三晩続いた。
大都会の過去の人間関係が全て集まって起きた
この未曾有の愛憎劇は、後にこう呼ばれた。
「迎え火オペラ」
完
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