『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』
今年は午年。まさに塞翁が馬だ。
価値観は変わる、いや変えられる。効率を求めず、余白や無駄を大事にしたい。
本や音楽、映画や舞台などとの出会いひとつひとつに感謝を込め、例年より多く記録してみることから始めよう。
小津安二郎やジブリ作品の大ファンで韓国系アメリカ人監督、コゴナダは前作の坂本龍一に続き、ついに久石譲のハリウッド・デビューを実現。
『バービー』(観ていないw)のマーゴット・ロビーとコリン・ファレルの意外な組み合わせが、どんな演技を見せてくれるのか。
いろいろと観に行ってみるかと思わせる要素があるのに、どれも中途半端というか、詰め込みすぎの典型では、という声も聞こえてくるが。
それはソニー・ピクチャーズがへたっぴなんだと思えてくる。
久石譲らしさが活かされているようには思えない。本人はどう思っているだろう。
人生をやり直したいわけじゃない。ただあの頃の自分には見えなくて当然なんだ。それが今だからわかるし、だから今の自分がいる。今の自分を、本当の自分を肯定していい。
そんなメッセージだろうか。時空の扉を開けることで、今の自分が違って見えるようになる。
原題は『A Big Bold Beautiful Journey』。
この“Bold”に込められた思いが、現代の社会課題の縮図のような気がしてくる。脚本を手掛けたセス・ライスは、社会風刺を得意にしている。コゴナダも、ファンタジーラブコメ風の新しい境地を切り拓いたのではなかろうか。
アイルランド特有の、保守的な社会的背景が“Bold”の対極として根差しているからこそ、コリン・ファレルのアイルランド訛りが大事なのだ。
僕はマーゴット・ロビーより断然、コリン・ファレルに注目している。なぜかアイルランドやスコットランドを舞台にした映画に惹かれてしまうのだ。
『イニシェリン島の精霊』(2022年)はマーティン・マクドナー監督らしさを怪演、いや快演していた。ヨルゴス・ランティモス監督作品にもよく出ている。ちょっと社会風刺的な作品に向いているのかもしれない。
ちょっぴり“Bold”で、世界を見る目が変わる。
それも、自由への一歩。
2026.1
