『小さな春の場所』第11話 洋子さんは男前
「藤原さん、ちょっといい?」
放課後、洋子が小春を呼び止めたのは昇降口だった。
いつもの笑顔だけど、今日は少し違う。
計算じゃない顔だ、と小春は思った。
「ケインのこと、好きなの?」
小春は靴を持ったまま固まった。
「好き?うーん」
「恋愛的な意味で」
洋子は真剣だった。 小春はゆっくり靴を履きながら、考えた。
考えたけど、答えが出なかった。
「・・・わからないの」
「わからないって言える時点で、答え出ていると思うけど」
小春は顔を上げた。洋子は笑っていた。
今度は本物の笑顔だった。
「私、ちゃんと好きだったんだよね。ケイン先輩のこと。
でも、最初から全然違うとこ見てたから」
「ごめ・・・」
「謝らないで」洋子は鞄を肩にかけた。
「ただ、はっきりさせてほしかっただけ」
昇降口を出ながら、洋子は振り返った。
「先輩は、不器用だけど真剣だよ。あなたなら、ちゃんと向き合えるでしょ」
小春はその背中をしばらく見送った。
靴音が聞こえなくなるまで。
(洋子さん、かっこいい~)
次回へ続く
✥≁:.。.≁:.。....。....。.≁.。.:≁✥
🌿最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
✥≁:.。.≁:.。....。....。.≁.。.:≁✥
