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お坊さんは、私を見なかった|義実家の墓じまいで言われたこと

義実家の空き家を売る前に、片づけておかなければならないことがあった。お墓のことだ。

お骨は、いま、ごきょうだいの家にある。

私は、名字だけを継いでいる。この家に、ほとんど関わってこなかった。それでも、話を進める役は、私に回ってきた。

【挿絵:山に囲まれた盆地の町を、冬枯れの丘の上から見下ろしている】

お坊さんは、私を見なかった


相談に行ったお寺のお坊さんとは、初対面ではない。何十年も前、義親の葬儀でお会いしている。

その方が、私を見なかった。

こちらの話を聞くとき。うなずくとき。説明をするとき。視線は、ずっとごきょうだいのほうを向いていた。私がいる側には、一度も向かなかった。

気のせいかもしれない。そう思おうとした。

でも、あの部屋で、私はいないことになっていた。名字を継いでいるのは、私のほうなのに。

言われたのは、こういうことだった


こちらが望んでいたのは、単純なことだった。納骨をせずに、そのまま墓じまいにする。お金のこともあって、そう考えていた。

返ってきたのは、こうだ。

一度、納骨をする。戒名をつける。しばらく、みなさん一緒にしてさしあげる。そのうえで、墓じまいをする。

順番に、それぞれお金がかかる。

お金の話になった


言われた内容を、うちの場合として書いておく。

・墓じまいのとき、お墓に入っているご遺骨ひとつにつき5万円
・それとは別に、30万円
・戒名、納骨、お経は「お気持ちで」
・ほかに、墓石を処分する費用

「お気持ちで」と言われたぶんを足していくと、どうやら100万円を超えるらしい。 「お気持ち」がいくらなのか、勇気を出して聞いてみた。けれど、はっきりとした答えは返ってこなかった。 「みなさん、それぞれですから」 そう微笑まれるのが、一番怖い。目安さえ見えない暗闇で、手探りをするような不安に襲われる。 お坊さんは、心情の話を、とても丁寧にされた。ご先祖のこと。供養の意味。残される者の気持ち。言葉は、たしかに巧みだった。

でも、私には響かなかった。

私を見ずに、心情を説く。そのちぐはぐさが、どうしても飲み込めなかった。

お寺にも商売がある。それは分かる。分かるけれど。

もう、この土地には来ない


墓じまいをすれば、この土地に来る理由がなくなる。

帰省ということも、なくなる。

ごきょうだいは、すでに他県で暮らしている。もう未練はない、と言っていた。この土地には親戚もいて、みなさん、本当にいい方たちだった。それでも、そういうことになる。

ただ、あの日から、ごきょうだいは迷っているように見える。お坊さんの言葉が、効いているのだと思う。

そして、お金は誰が出すのか。その話は、まだしていない。

私は、冷たいのだろうか


納骨をせずに墓じまいにしたい。そう考えた自分のことを、冷たいと思う人はいるだろう。

私自身、思わなかったわけではない。

でも、行かなくなるお墓に、100万円を超えるお金を払う。そのお金は、誰が出すのか。誰も来なくなったあと、そのお墓は、どうなるのか。

考えているのは、そういうことだ。

田舎では、役所に駆け込めば済む、とはいかない


これは、あとから分かったことだ。

あの土地は、商店も会社も、絶妙に絡み合っていた。何かをするならここ、これはここでなければ買えない。そういう、地域に密着した田舎だった。

だから私は、面倒なやり取りをしなくても、ここの行政に直接言えば、なんとかなるだろうと思っていた。

そうはいかないらしい。まずは、お寺さんとしっかり向き合ってからになりそうだ。正直、心が折れそうになる。

田舎では、仕方のないことなのだと思う。誰かに悪意があるわけではない。ただ、ひとつ、手間が増える。同じように悩んでいる方には、そこを知っておいてほしい。

ここから先、ブログでは——

・家に帰ってから調べたこと(離檀料に法律上の支払い義務はないこと、戒名がなくても納骨できること)
・お寺が証明書を出してくれないとき、それでも手は止まらないということ
・手元にあるお骨と、お墓に入っているお骨とでは、手続きがまったく違うこと
・お寺との交渉を頼めるのは弁護士で、行政書士ではないということ
・火葬許可証と埋葬許可証が、じつは同じ一枚の紙だということ
・役所が「まずは、お寺さんと話してみてください」と言うことがある。その順番と、そのときに残しておくとよい記録のこと

まで、書きました。この手のことは、知っているかどうかで、ずいぶん違います。それでも一歩づつ進めていく。

▼ ブログでも読めます
https://ohitorisama-blog.com/blog/hakajimai-hiyou-ridanryou


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検査技師のひとり時間 ひとりで働いて、ひとりで暮らして、ひとりで愚痴ってます(笑) そんな日記を読んでくれて感謝です。 もしよかったら、応援というかたちで背中を押してもらえたらうれしいです。😄