ゲームレビュー『クロノ・トリガー(DS)』
『クロノ・トリガー』DS版は、スーパーファミコンの名作RPGをニンテンドーDS向けに移植した作品。既にPS版なども存在していたが、本作は単なる携帯移植ではなく、追加要素や操作調整、『クロノ・クロス』への補完要素なども盛り込まれたバージョンとなっている。
内容のベースは概ねPS版準拠。アニメムービーや追加エンディングも収録されており、SFC版以降に加えられた要素も一通り引き継がれている。
一方でPS版で見られた細かな読み込みによるテンポの悪化はかなり改善されており、原作の持つ軽快さは比較的保たれている印象。携帯機で遊ぶ版としての出来は良好で、後発移植の中でも遊びやすい部類と言ってよい。
DSならではの変更点としては二画面対応が挙げられる。
マップの常時表示やタッチ操作への対応など、ハードに合わせた調整が加えられており、戦闘・探索・メニュー確認を並行して行いやすくなっている。もっとも、操作体系そのものを大きく変えるような作りではなく、基本的な遊び心地自体はかなり原作寄り。無理にDSらしさを押し付けるような移植ではない。
追加要素としては、「次元のゆがみ」「竜の聖域」などの新規ダンジョンが実装されている。
「次元のゆがみ」は本編クリア後向けの高難度寄りコンテンツ。各時代に生じた異変を辿りながら強敵と戦っていく構成で、既存エリアを利用しつつも新規ボスや追加展開が用意されている。やり込み要素としての色合いが強く、本編クリア後の遊び場といった位置付け。
一方の「竜の聖域」は恐竜人を中心とした追加シナリオ色の濃いコンテンツ。新しい土地やイベントも存在するが、お使いや往復移動が比較的多めで、本編のテンポ感とはやや異なる部分もある。短くまとまったイベントが連続する原作に対し、こちらは寄り道要素やサブクエスト的な空気が強く、この辺りは好みが分かれそうなところ。
また、モンスターを使った対戦要素「次元の闘技場」も追加。
本編とはかなり方向性の異なるおまけ要素であり、存在感としてはメインコンテンツというよりミニゲーム寄り。とはいえ、単純な追加ダンジョンだけで終わらせず、移植版として独自の遊びを増やそうとした姿勢は感じられる。
そして本作最大の特徴は、やはり『クロノ・クロス』への補完だろう。
『クロノ・クロス』は以前から『トリガー』との繋がりが分かりにくい、あるいは作風の落差が大きいと言われることも多かった作品である。
世界観としては確かに『トリガー』の延長線上にあるものの、描かれる歴史や人物の扱いはかなり複雑で、爽快な冒険活劇だった前作から一転、重たい設定や運命論的な空気が色濃くなっている。
特に、トリガーで辿り着いた結末の先に、クロス側の世界観や出来事が繋がっていることに戸惑った人も少なくなかった。
DS版では追加シナリオや新規ボス戦を通じて、その空白部分を埋めるような描写が加えられている。
「次元のゆがみ」終盤の展開や時喰いとの戦い、未来への示唆、そしてクロスへ向かう流れを感じさせる要素など、後年のシリーズ設定との接続はかなり意識的。単なる後付けファンサービスというより、二作品の間に存在していた断絶を少しでも繋ぎ直そうという意図が見える。
もちろん、これは手放しに歓迎される変更とも限らない。
『クロノ・トリガー』は元々単体で綺麗に完結していた作品でもあり、あの爽やかな終幕を好んでいた場合、後年の設定を踏まえた補完描写を蛇足と感じる見方も十分あり得る。
一方で、『クロノ・クロス』まで含めてシリーズ全体を見るなら、このDS版の追加部分はかなり興味深い。
かつてやや曖昧だった両作品の接点に補助線を引き、「なぜあの世界へ繋がったのか」を改めて考えさせる内容になっている。
結果としてDS版『クロノ・トリガー』は、単なる携帯機移植に留まらない。
快適に遊べる後発移植版であると同時に、『クロノ・トリガー』と『クロノ・クロス』の間を改めて繋ぎ直そうとした補完版、あるいは再編集版のような側面を持った作品と言えるだろう。
評価点数
★安田 9点 (Steamで買ってしまった)
★スタッフA 10点 (追加部分に賛否はあるけど個人的には良かったのでクロノトリガーはこれが完成系かも)
みんなは何点?
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