2026ワールドカップ 日本対ブラジル 決勝トーナメント1回戦
日本代表、あと一歩届かず。世界王者候補ブラジルを最後まで追い詰めた90分【ブラジル戦寸評】
北中米ワールドカップ決勝トーナメント1回戦。日本代表は優勝候補ブラジルを相手に1-2で惜敗。90+5分に勝ち越しゴールを許し、悲願のベスト16突破とはならなかった。しかし、この試合は敗戦以上の価値を感じさせる内容だった。
グループリーグで積み上げてきた日本らしい組織力は、ブラジル相手にも十分通用した。前半は守備の集中力、球際の強さ、切り替えの速さで世界屈指のタレント軍団を封じ込み、先制点まで奪う理想的な展開。あと数分、あと一つのプレーが違えば、日本サッカーの歴史は大きく変わっていたかもしれない。
前半は日本のゲームプランが完璧だった
立ち上がりからブラジルがボールを保持する時間は長かったものの、日本は5バック気味の守備ブロックを形成し、中央への侵入を許さない。前田大然と上田綺世が前線から激しくプレッシャーを掛け、中盤では佐野海舟と鎌田大地がセカンドボールを回収。ブラジルに決定機らしい決定機を作らせなかった。
そして29分、日本に歓喜が訪れる。
中盤でボールを奪った流れから素早く攻撃へ転じると、最後は佐野海舟が冷静にゴールへ流し込み先制。世界最高峰のブラジルから奪ったこのゴールは、日本代表の組織力と切り替えの速さを象徴する見事な一撃だった。
ブラジルの底力が試合をひっくり返した
後半に入るとブラジルがギアを一段上げる。
56分、セットプレーからカゼミーロに決められ同点。日本としては集中していただけに悔やまれる失点だった。
それでも日本は下を向かなかった。堂安律を中心に攻撃のリズムを作り、伊東純也は何度も右サイドを突破。中村敬斗も積極的に仕掛け、ブラジル守備陣を押し込む時間帯も作った。
しかし試合終了間際の90+5分、ブラジルが最後の最後で実力を見せる。カウンターからガブリエル・マルティネッリが決勝ゴール。日本は目前まで迫っていた延長戦への切符を逃し、ワールドカップの戦いを終えることになった。
選手寸評
GK 鈴木彩艶
失点はどちらも責任を問うのは酷だった。至近距離からのシュートにも冷静に対応し、何度もビッグセーブを披露。世界トップクラス相手でも堂々としたプレーは今後への大きな財産となった。
DF 谷口彰悟
最終ラインのリーダーとして統率力を発揮。ブラジルの巧みな動きにも冷静に対応し、読みの良い守備で危険な場面を何度も防いだ。
DF 冨安健洋
世界トップレベルのストライカー相手にも一歩も引かない対人守備を披露。空中戦、カバーリングともに安定感は抜群で、日本守備陣を最後まで支えた。
DF 伊藤洋輝
左足からの展開力はこの日も健在。守備でも身体を張り、ブラジルの攻撃を何度も食い止めた。ビルドアップでも存在感を示した。
MF 佐野海舟
この試合の日本を象徴する存在だった。開始早々に警告を受けながらも球際で一歩も引かず、中盤でブラジル相手に互角以上の戦いを展開。そして先制ゴール。攻守両面で最高のパフォーマンスだった。
MF 鎌田大地
攻守のバランスを取りながらゲームをコントロール。守備への献身性も高く、日本の中盤を支えた。警告を受けながらも最後まで戦う姿勢は頼もしかった。
MF 堂安律(キャプテン)
キャプテンとして最後までチームを牽引。ボールを持てば積極的に仕掛け、守備でも献身的に走り続けた。敗れはしたものの、強い責任感が伝わる90分だった。
MF 伊東純也
最大の武器であるスピードで何度もブラジルDFを脅かした。カウンターでは常に相手の脅威となり、日本の攻撃を活性化させた。
MF 中村敬斗
左サイドから積極的なドリブルを披露。ブラジル相手にも臆することなく勝負を挑み続け、その姿勢は高く評価したい。
MF 前田大然
前線からのハイプレスでブラジルに自由を与えなかった。90分近く走り続ける運動量は圧巻。日本の守備は前田の献身なしでは成り立たなかった。
FW 上田綺世
前線で孤立する時間帯も多かったが、身体を張ったポストプレーと守備で奮闘。得点こそなかったものの、チームのために戦い続けた。
世界との差は確実に縮まっている
結果は1-2。ロスタイムでの失点は悔しさしか残らない。
しかし、日本はブラジルを90分近く苦しめた。組織力、守備の完成度、切り替えの速さは世界トップクラスにも十分通用した。一方で、勝敗を分けたのは最後の一瞬で違いを生み出す個の力と、勝負どころで決め切る勝負強さだった。
敗戦ではあるが、このブラジル戦は日本サッカーが世界の頂点へ近づいていることを証明した試合でもある。悔しさを糧に、この経験を次の4年へつなげられれば、日本代表はさらに大きな景色を見ることができるはずだ。ベスト16の壁は破れなかった。しかし、日本代表が示した戦いぶりは、多くのサポーターの心に深く刻まれる90分となった。
