仕事は、お金を稼ぐことではない
多くの人が、無意識にこう思っている。仕事とは、お金を稼ぐことだ、と。
けれど、お金は「結果」であって、「行為」ではない。
仕事は行為だ。
お金は、その行為に対して社会が付けた数値にすぎない。
数値を仕事の定義にしてしまうと、行為の意味が消えてしまう。
評価のために動くようになり、点数がつかない行為は「無価値」に見えてしまう。けれど本当は、行為の中にこそ、その人らしさが宿っている。
──
仕事と、お金を稼ぐことは、実は別の領域にある。
お金を稼ぐことは「ファイナンス」だ。生活を成り立たせるための技術であり、戦略だ。限られた資源をどう使い、どう増やすかという設計の話だ。
それは大事だ。軽視してはいけない。
けれど、それを「仕事の定義」にしてしまうと、少しだけ人生が窮屈になる。
なぜなら、「お金になるかどうか」でしか、自分の行動を評価できなくなるからだ。
お金にならない努力は無駄なのか。
数字に換算できない情熱は価値がないのか。
そう問い始めた瞬間、世界は急に狭くなる。
──
僕の持論は、もっと単純だ。
仕事とは、自分の好きなことをやることだ。
好きというのは、楽しいだけではない。
気づけば考えてしまうこと。時間を忘れて没頭できること。誰に頼まれなくても続けてしまうこと。失敗しても、もう一度やり直したくなること。
それが、仕事の核だと思っている。
好きなことをしている時間は、誰かに与えられた役割ではなく、自分の内側から湧いてくる行為だ。そこには、評価よりも先に「生きている実感」がある。
──
「でも、好きなことでは稼げない」と言う人がいる。
確かにそうかもしれない。
けれど、それは「好きなこと」と「稼ぐこと」を同じ方法でやろうとしているからではないだろうか。
お金を稼ぐことは、得意なことでやればいい。
得意とは、再現性があることだ。需要があることだ。価値を提供できることだ。仕組みとして回せることだ。
そこに好きである必要はない。好きなことは、好きなままでいい。
無理に収益化しようとしなくてもいい。
まずは、それを続けられる自分でいることのほうが大切だ。
──
もし、好きなことと得意なことが重なり、それでお金まで稼げるようになったなら。それはもう、奇跡に近い。
たぶん人は、それを「天職」と呼ぶのだろう。
でも、そこを無理に目指さなくてもいい。
まずは、好きなことを、好きなまま続ける。そして、得意なことで、生活を支える。
仕事とファイナンスを切り分けるだけで、心はずいぶん軽くなる。
お金の心配をすべて仕事に背負わせなくていいと気づいた瞬間、行動はもう少し自由になる。
──
僕たちは、お金のために生きているわけではない。
お金は、生きるための道具だ。
仕事は、生きている実感そのものだ。
もし今、仕事に違和感を抱いているなら、一度だけ問い直してみてほしい。
それは「お金の問題」なのか、それとも「好きなことをしていない問題」なのか。
答えは、案外シンプルかもしれない。
仕事は、お金を稼ぐことではない。
あなたが、あなたでいる時間のことだ。
いいなと思ったら応援しよう!
読んでいただきありがとうございました。いただいたサポートは、今後の執筆活動のために使わせていただきます。