Day 48 セビージャ/マドリード/チュニス:プラド美術館90分一本勝負からのチュニス到着
2026/08/23(日) セビージャ/マドリード/チュニス 快晴 30℃(セビージャ最高気温)
7時半起床。昨日の頭痛もすっかり治り、万事快調だ。
どうやら昨日少し熱中症になっていたらしい。宿でもらった吸収の良いドリンクがとても助けになった。
朝8時から、セビージャの観光名所を巡るジョギングに出かけた。大聖堂(カテドラル)、黄金の塔(Torre del Oro)、そしてスペイン広場までを往復すると、ちょうど5キロの距離になる。大聖堂の周辺にはまだほとんど人がいなかった。ゴシック様式の細やかな装飾が素晴らしい建物の周りを走っていると、どこからか鈴虫のきれいな鳴き声が聞こえてきた。



黄金の塔を右手に見ながらグアダルキビル川沿いを南下し、マリア・ルイサ公園内にあるスペイン広場へ向かう。スペインの公園は、植物の配置もデザインも本当に美しい。緑の中を走り抜けると、左手に巨大なスペイン広場が広がった。
この広場は、1929年にかつての植民地である中南米諸国との絆を深めるために開催された「イベロ・アメリカ博覧会」の会場として建設されたそうだ。映画『ローマの休日』で有名なイタリアのスペイン広場とは、名前は同じでも全く関係がない。


セビージャのサンタ・フスタ駅(Estación de Santa Justa)でAVE(スペインの高速鉄道)に乗る11時半まで時間があったので、サラダとフルーツで軽く朝食を済ませ、パッキングをして余裕を持って宿を出発した。駅から徒歩30分ほどの距離だ。
駅へ向かう途中、一軒の帽子屋(Sombrerería)を見つけた。渋い店内には、スペインで作られた手作りの帽子が所狭しと並んでいる。これから日差しの厳しいチュニジアへ向かうので、一つ購入することにした。旅の頼もしいお供がまた一つ増えた。

サンタ・フスタ駅は非常に大きな駅で、AVEに乗車する前の荷物のX線検査を通るために、100人以上の長い行列ができていた。さらにその後、プラットフォームへ降りる前にもチケットチェックの行列ができるため、15分以上余裕を持って到着しておいて正解だった。



マドリードに到着後、空港へ向かうまでに90分ほどの空き時間があったので、AVEの車内で計画していた通り「プラド美術館」へ行くことにした。
プラド美術館には大型のザックは持ち込めず、クロークでも預かってもらえないため、マドリードの駅周辺で荷物を預けられるサービス「Radical Storage」を6ユーロで利用した。駅周辺に複数箇所あるのでとても便利だ。美術館のチケットはオンラインでも取れるが、時間指定の画面で「30分後に入場」と出てしまったため、直接窓口で購入することにした。日曜の14時半過ぎだったが窓口は混んでおらず、スムーズに入場できた。15ユーロで90分一本勝負だ。
以前にも訪れたことがあるので、今回はどうしてももう一度目に焼き付けたい作品に絞って回る。パンフレットにメジャーな作品の展示場所が記載されていて非常に助かった。ベラスケスの『ラス・メニーナス』、ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』、フラ・アンジェリコの『受胎告知』、そしてルーベンスやエル・グレコ。何より、『裸のマハ』をはじめとする圧倒的な数のゴヤの作品群は圧巻だった。90分という短い時間だったが、至宝に囲まれた濃密な時間を過ごすことができた。
16時にプラド美術館を出て、荷物預かり所まで走る。17時にはマドリード空港に着きたかったので少し急いでいた。ザックをピックアップした後、駅で空港行きのバスに乗り、無事に到着できた。予定を詰め込みすぎたせいで昼食のタイミングを逃してしまったが、こういう時は常備しているビスケットでやり過ごす。旅の途中、意外とこのビスケットの出番が多い。
空港での待ち時間に、チュニジアの情報を収集する。通貨はチュニジア・ディナール(TND)。チュニスの空港から市内への移動には「inDrive」という配車アプリを利用する予定なので、初期設定と使い方をYouTubeで予習しておく。次から次へと調べることがあり、休む暇がない。あっという間に搭乗時間になった。チュニジアの首都チュニスは、スペインやポルトガルよりもさらに暑いようだ。
3時間ほどのフライトで、ついにアフリカ大陸・チュニスに到着した。
入国審査と荷物のピックアップは無事に完了したものの、事前に購入していたeSIMの有効化設定がうまくできず、ネット環境が不安定で配車アプリのinDriveがまともに使えない。ドライバーと合流できない問題と格闘し、いざタクシーを捕まえても今度は相場の3倍近い金額をふっかけてくる輩だったりと1時間以上も格闘しながら、なんとかホテルに到着した。
ホテル内のバーでビールを飲み、煙草の煙がモクモクと漂う中でようやく一息ついてリフレッシュする。今日はもう寝てしまおう。
街の看板や人々の言葉など、アラビア語が全く理解できないため、肌がヒリヒリするような孤独が押し寄せてくる。だけどこの圧倒的な無力感とアウェイ感こそが、異国を旅しているという実感を強烈に呼び覚ましてくれる。そういえば、以前訪れたエジプトの初日もこんな感覚だった。
明日はチュニスの街を歩き、自分の行動範囲を広げ、合意形成を重ねて少しづつこの新しい空気に慣れていく過程を楽しみたい。


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