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「つわりは病気じゃない」と父に言われて

「つわりは病気じゃない」と父に言われた話。

安定期に入って、つわりも少し落ち着いたGW。
久しぶりに父とごはんを食べに行った。

妊娠してから会うのは初めてだった。

安産のお守りまで買ってくれていて、なんだかそれだけで嬉しかった。

父はこれまでに3回結婚していて、
私は父が18歳の時、最初の結婚で生まれた子どもだ。

そして、私が入籍した年に、
父も3回目の結婚をした。

なかなか複雑な家族だけど、
父との関係は、幼い頃から何ひとつ変わらない。

嫌いになったことも、一度もない。

きっとそれは、母が父の悪口を一切言わなかったからなのかもしれない。

離婚していても、ずっと友達みたいな2人だった。
小さい頃からそれを見て育ってきた私は、
「こういう関係もあるんだな」と、どこか不思議に思っていた。

だからこの日を、私はすごく楽しみにしていた。

ごはんを食べながら、

「つわり大変だった〜」
「最近やっと少し落ち着いてきた!」

なんて話していたら、父がふと、

「でもさ、つわりは病気じゃないからね。
その先には、子どもっていう幸せな未来が待ってるでしょ。
もっと妊婦生活を楽しまなきゃ」

と言った。

その瞬間、正直、

“いやいや、何言ってるの!?”

って思った。

父だからまだ笑って聞けたけど、
もし全くの他人に言われていたら、たぶん私はブチギレていたと思う。

つわりで何も食べられなくて、
起き上がるのもしんどくて、
毎日「今日は少しマシかな」を繰り返して。

やっとつわりが終わったと思ったら、
今度は息切れ、動悸、疲労感、肌荒れ。

妊娠って、想像以上に“身体を使うこと”だった。

だから最初は、父の言葉に少し反発した。

でも、父がこう言った理由を考えた時、
私ははっとした。

父は2年前、ステージ4の癌を宣告された。

そこからずっと抗がん剤治療を続けてきた。

「完治するのか」
「このまま悪化するのか」

未来なんて、誰にも分からない状態だったと思う。

それでも父は、いつ会っても明るかった。

会社を人に任せるようになってからできた時間で、YouTubeを始めたり、趣味を楽しんだり。

むしろ病気になる前より、少し肩の力が抜けて、人生を楽しんでいるようにも見えた。

そんな父だからこそ、
妊娠してから少し元気のない私を見て、

「辛い時期の先に幸せが待ってるなら、もっと楽しんでほしい」

って、本気で思ったんだろうなと思った。

その時、父の言葉の意味が、やっとわかった。

もちろん、つわりは辛かった。
今も身体は思うように動かない。

だけどこれは、

“我が子に会うための時間”

なんだ。

幸せになるための過程なんだ。

そう思ったら、少しだけ見える景色が変わった。

人生の中で、妊娠期間って長いようで本当に一瞬なのかもしれない。

こんな経験、あと一度できるかどうかもわからない。

だから残りの妊婦生活は、
しんどさばかりに目を向けるんじゃなくて、

「今しかない時間」

として、大切に過ごしてみたいと思う。

最初に「つわりは病気じゃない」と言われた時は、怒りそうになった。

でも今は、

「教えてくれてありがとう」

って、素直に思っている。

妊婦生活、残り5ヶ月。

めいっぱい楽しむぞ。

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