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義母と観る夏—10年目のカルメン


先日、義母とオペラに行ってきた。


夏になると、義母と一緒に
オペラを観に行くのがすっかり恒例になっている。
今年で10年目。
会場は兵庫県立芸術文化センター、
今年の演目はカルメン。


このホール、
佐渡裕さんが芸術監督を務めておられて、
毎年夏にオペラが開催されている。



ビゼーのカルメンといえば、
どこかで一度は耳にしたことのあるメロディが
いくつも出てくる演目。
そのせいか、会場は満席。



義母は以前音楽の教師をしていたこともあって、
この手の話にはめっぽう詳しい。
チケットの手配もいつも義母にお任せ。



今年は少し手間取ったそうで、
席が後ろの方になってしまったことが、
ことのほか悔しそうだった。
「来年は絶対もっと前の席、がんばって取るわ!」
と、開演前から意気込んでいた。



肝心の舞台はというと、
スペインを思わせる
赤みの効いた砂が一面に敷かれていて、
そこに緩やかな傾斜がついていた。



おかげで、実際の舞台の大きさ以上に
奥行きと距離感が感じられて。
乾いたスペインの景色そのものが
立ち上がってくるような演出に、
すごいなあ、とただただ感心した。
何年もここでオペラを観てきたけれど、
演出にこんなに唸ったのは、
たぶん今年が初めてかも。



休憩時間、義母と一緒に
トイレに並んでいたときのこと。
ふと、義母がこう言った。


「私、来年も歩けていたらいいんだけど…」


軽い調子だったけれど、
その一言が妙に耳に残った。
年齢の階段を、義母は静かに、
でも確かに上りつつあるのだなと感じた瞬間だった。


私は
『この部屋に何しに来たんだっけ、
なんて考えること、しょっちゅう』
(↑これは本当の話笑)なんて返して、
二人で笑って席に戻った。



オペラの後は、
一緒に食事をするのがお決まりのコース。
今年も義母はきれいに完食。
もしかしたら私より、
しっかり食べていたかも。
私、来年も元気に歩けているといいけれど…と、
義母の言葉がそのまま
こちらに返ってくるような気がした。



思えば、10年前に初めて義母とこのオペラに来たとき、
10年後にこんな関係になっているとは
まったく想像していなかった。
義父を見送ってから始まったこの夏の恒例行事は、
いつのまにか、
私にとってもかけがえのない時間になっていた。



休憩時間の立ち話も、
完食する義母の姿も、
来年への意気込みも。
全部ひっくるめて、
今年もまた一つ、
積み重ねることができた。



来年の演目の速報


来年の演目は魔笛だとか。
来年も、義母と一緒に行けますように。


ほなまたね。


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