芋出し画像

【短歌連䜜】 カタツムリのなみだ

“涙”を共通のテヌマにした短歌の連䜜5篇。
ほんのささやかな涙ですが、お楜しみいただけたら嬉しいです。






『 溜息 』  〜冬から春ぞ〜


アクセント蚘号は非垞勀の非ぞ 匷くなりゆく玙飛行機

もぎたおの林檎のように党身のなみだを燃やしきみも生きおる

右耳を胞に抌し圓お脈の音に眠る睫毛はただ濡れおおり

ハむタヌに浞す五分の静けさよ停物のような癜が冷たい

雚の日のい぀もより濃いクレペンのむせぶ匂いず䞉密の霧

玛れ蟌む蛟もちょうちょさんず呌ばれおはば぀悪そうにカヌテンのかげ

飛行機は浞透圧でのがりゆくグラデヌションに埓いながら

空は柄み青空だけどアクリルの境界線をくもらす湿床

巊だけ脱げおは履かせたた脱げお子どもの足のミリの倧きさ

がむしゃらなスコップの砂はざらざらず吟の笑窪たで埋めようずする

床を這い壁を這い底冷えの朝 次亜塩玠酞をなすり぀けゆく

違和ばかり真冬の気枩十九床 枊を巻く退職クラスタヌ

愛鳥の飛べずに猫に喰われたり散らばる青矜思い出したり

倕空よ溜息に䌌た深呌吞ふた぀  ã®ãŒã‚‹æœˆã¯ãŸã ç™œã„

春はゆく早すぎるよず぀ぶやけば溜息にさえ舞う花吹雪







『 迷い 』  〜春から倏ぞ〜


人の声、肩のぶ぀かる懐かしさ、草花の名に聞こゆシガラミ

片方の口角が五ミリ切れおいお集たる芖線が熱くお痛い

䞀生を添い遂げるなど䞀本の口玅すらも䜿い切れずに

無抵抗ずいう抵抗をしながらシュヌクリヌムにかぶり぀きおり

母の日に母から受け継いだ真珠を着けお確かむ母であるこず

迷い子の目をした仔猫のしおりの挟たる歌集を買っおしたっお

長袖の麻のカヌディガンを矜織り仕事ぞ向かうカタツムリ日和

䞍条理な雚に抗うようにしお枊巻くカタツムリはしずかに

雚䞊がり朝䞀番の砂堎には䞀番乗りの鳥の足跡

小さき蜘蛛をゞョニヌず呌びおたたねっおお倖ぞ逃し手を振る子らよ

亡き母の奜物だったいちじくの入ったサラダを頌む初倏は぀な぀

明日からの痛みを誀魔化すようにしお匷炭酞を流し蟌む倜

カタツムリの湿床をもっお朗読す宮沢賢治の童話集より

雚宿りしおいくか濡れおいくのか迷いの䞭に玫陜花が咲く

たた倜が終わっおしたう  è‰²è€ªã›ãŠå—に浮かぶ䞊匊の月







『 軌跡 』  〜倏から秋ぞ〜


早番の朝は冷たい  æ•™å®€ã®éš…に掃き溜められおいる柱

匱虫のわたしを眮いお雚粒はたっすぐに飛び降りおゆきたり

ようやっず今を生きおいるのですが 垢ず呌ばれる個人情報

割り切れぬ分担をなんずか割り切る 仕事は仕事、私は私

せめおもの償いをする 玔癜に包たれ葬られおゆく垢

䞉回忌に花屋でもらう䞁字草チョりゞ゜りの裏に付いおた五ミリの蝞牛

わたしたちできないこずが䌌おるねず蝞牛を芗き話しかけおり

単玔でいいよ迷子のマむマむず小さいちいちゃんそんな感じで

涙腺を緩めおくれたマむマむにオヌガニックのにんじんを䞎う

音もなくい぀かカタツムリも眠る音のない肺で呌吞しながら

目芚たしを掛けず垃団ぞうずくたる カタツムリガヌルを宣蚀す

衚情をなくしおみおも感情はなくならなくお人間だった

マむマむの二本のツノがひっそりずピヌスしおいるこっちを向いお

陜を受ける蝞牛の軌跡䞉センチ透明な道は延びおゆきたり

マむマむを秩父の原ぞ攟ちやり䞁字草も秋色ずなりぬ







『 埮颚 』    ã€œç§‹ã‹ã‚‰å†¬ãžã€œ


枠をはみ出しお付けられたバッテン  æ±äº¬ã«é³Žãã‚¢ãƒ•リカの鳥

「もういいかい」これで䜕床目なんだろう  ã€ŒãŸã‚だだよ」っおもう蚀わないで

ちょっずした間違いだったはずなのに 麻婆豆腐がぐちゃぐちゃになる

残された母のノヌトに䞀片の途方に暮れたたたの数独

いる、いらない、母の遺品を分けゆきおわたしらしさも敎えおゆく

この䞖にはどれほど嘘があるのでしょう 囁くようなコットンパヌル

光幎の単䜍を知った日のように星を芋぀めお耳を塞いだ

湯に浞かる トマトのような薄皮を持぀冷え切った心たるごず

口笛を吹いおみたけど音は出ず   䞀぀、䞀぀、ず消えおゆきたり

倕刊の厩萜の文字が目に入る い぀もはしない面取りをする

リビングのパキラぞ今の二回り倧きな鉢を買いに行く  ã”めん

埅぀よりも埅っおいられる溜息に埅たせるよりも埅぀方がいい

「もういいよ」  ã‚れもこれもず詰め蟌んだ入院バッグを解くそよ颚

濃い色ず打぀はずなのに恋色ず出おきお遞びたくなる倕焌け

今日もたたおにぎり握る 米粒が朰れぬほどの手加枛をしお







『 垌望 』    ã€œå†¬ã‹ã‚‰æ˜¥ãžã€œ


底に残る皮たちはみな泣いおいた  äžå®Œå…šãªã‚‹ãƒãƒƒãƒ—コヌン

く぀したがいやだず泣いお困らせたこず浮かべ぀぀䞁寧に履く

幞せを探しお歩く 野良猫が遠くの春に転がっおいた

軜くするためですからず簡単にカットオフされた人のカロリヌ

無意識に母の口癖を真䌌しお そんな急いでどこに行くのん

窓を恋、玠数を玠敵ず芋違える 雪空のむこうに春が芋える

春颚で二本の骚が折れたした わたしの䞀郚の傘を預ける 

新しいルヌルにしよう 泣いおいる仔猫がいたら連れ垰るこず

空は空、海は海だし ネモフィラはネモフィラだからあなたはあなた

カチカチのキりむをりんごのそばに眮く 背䞭をさする友情みたい

カタツムリみたいに䌏せお寝おみたら抱きしめられた枩床になっお

雲間から幟筋も光が射しお ずなりの人が「きがう」ず蚀った

小さき手で空に向かっおパヌを出す 負けを認めた雲が逃げおく

ドラむにした花をもう䞀床束ねおたた䌚えたねず呟いおみる

東京に快晎マヌク みずいろの折り玙みたいに均䞀な空



 ヌ ちる ヌ







涙は痛みや悲しみだけのものではなくお、喜びや感動も衚珟しおくれたす。そしおわたしたちの心ず䜓を癒し、敎えお守っおくれおいたす。
生きる䞊で欠かすこずのできないもの。
目には芋えおいない涙や、圢にはなっおいない涙も実はわたしたちの身の回りにたくさんあっお、䜕かを䌝え教えおくれようずしおいるのかもしれたせん。


わたしがnoteを始めた2021幎はコロナ犍でした。
2026幎の今日たでのわずか5幎の間にもさたざたな出来事や倉化が起こりたした。䞖界にも日本にも。瀟䌚にも個人にも。動物や怍物、自然界にも。
いろんな出䌚いや別れを繰り返し、それぞれの堎所にそれぞれの涙がありたした。
この先も生きおいる限り、さたざたな涙に觊れおいくこずになるず思いたす。自分の涙にも、だれかの涙にも。


いいなず思ったら応揎しよう