127 火柱が立ち昇った後に残ったものは…
『おい、銀狐。今日の作業、高速道路の工事だが行くか?』
「あの真ん中の草の刈り取り作業ですよね」
『そうや。行くんか?行かへんのか?』
その作業ってのは名神高速道路
彦根周辺で昼間に規制を出して
道路の真ん中の伸びた雑草を刈り取る作業、そして一部重機を使って撤去する作業であった
その作業がまぁ嫌だったもんで
「いやぁ、あまり行きたくないっす」
『ほうかぁ、他にもってほどちゃうけどやってほしいことがあんねん。』
「はい、何ですかね?」
『まぁ、ええわ。車乗れや』
と、軽トラックに載せられてしばらく走った
…
『しかし寒いのぉ…ほんで今からやることやけどな。ゴミを燃やすから、それを見といてほしいんや』
「ゴミっすか?」
『せや、俺も頼まれごとやけど。とりあえず燃え終わるまで見といてほしいと言うコッチャ』
「はい、わかりました」
そして、走る事30分
これまた同じ県なのに見たことない場所に連れてこられた…
どっかの高架の下である
『ここだ、ここ。』
そして、そこそこのゴミが積まれてる。
「これを燃やすから、そして消えそうになったらこれ置いとくから掛けろ」
と。ポリタンクも置いてある
俺は16歳。
滋賀にいたときの土木の会社に少しだけいた時の話だ
そんな時の話だが、田舎あるあるで
ゴミは燃やす傾向が良くあった
ゴミ処理でも金は掛かる。
なるべくならコストもかけずに無くしたい。
だから山積みにして燃やしてしまえば
灰となり
いつかは塵となり消えるだろうから
よく田んぼとかで燃やしてるなぁっていうのと何ら変わりはないと思ってた。
野焼きってやつだな
「わかりましたぁ、また迎えに来てくれるんですかね?」
『そやなぁ、まぁ昼過ぎか夕方にくるさかいに。さっき弁当も買っといたやろ?』
「はい」
『じゃあ頼むわな
最初だけ火をつけていくから』
と、手際よく火を起こす。
そして、またたく間に広がり
高架の上に黒煙が立ち上った
『じゃあ、頼むわな』
天気も晴れていた。
周りは森。そこを切り開いて道路を渡した感じだった
周囲には誰もいない。とても静かだ
「はぁ…やることもねえ。
これだったら現場に行ったほうが良かったか?」
火はパチパチと燃えている。
黒煙だったものが白い煙に、近くで嗅ぐと蒸せるくらい
何を燃やしてるのか分からんまま
火を絶やさぬようにした。
時折ちょっと生臭いのも感じたが
さほど気にはならなかった…
全部燃やすのってどれくらい掛かるんだろう…
そんな掛かるのか?
現場で出たようなゴミ
雑に切った木くず
読んだことがあったマガジン
何が入ってるか分からないポリ袋
とりあえず時折漂う臭いだけはたまんなかった…
「くっせぇー」
そして、苦情も来るようなとこなのか気にはなったが
辺りには住居ってものがない感じだった
その高架っていうのも地上から15メートル位あったので火災に巻き込まれる心配はない
上を走る車は多分
『ちょっと黒い煙が出てるなぁ』
ってくらいしかわからなかったんじゃないかな…
しかし、こんなゴミの山…
どうするんだ?
どうすれば最後まで燃えるんだろう…
下の方までちゃんと燃えてくれるのかね?
表層が焼かれてくると火の勢いが落ちてくる
「あ、やばいやばい。消えてまう…」
慌ててポリタンクの液体を掛けようと構えた
何が入ってるかも解らず
満タン入ってるから重い。
18リットル以上はあったはずだから
「これは重い!なんか無いかなぁ…」
さっきまで飲んでたポカリスエットの容器に移し替えた
「クセぇ。これなんなんだ?」
ガソリンである。
そして並々と入れたその容器をぶん投げた
ドンッ!
火柱が起きる
5mくらい
「あっ…やばっ!」
心の中で思ったのは
ポリタンクから液体ぶっ掛けたら
多分死ぬんだろうな…寒気が一気に襲ってきた
「やべっ!おもろっ!」
そして、ガソリンは爆発力があるが燃焼率が高く。
燃やしたいものとは別に勝手に燃える。
一緒に燃やすなら軽油とかのほうがよい。
そんなことで一人遊びのように
ミサイルの容量でボコボコとガソリンを火の海に投げ込んでいた
周囲に延焼するような物はなかったから良かったけど…
「あぶねぇー誰もいないしなんかあったら死ぬとこやんけ…けど、おもろいなぁ」
そして、丁寧に足しながら綺麗に燃えていくのを昼過ぎまで掛けて見守っていた
そして、帰ってくる
『オウ、銀狐、ちゃんと出来たか?』
「一応、ちゃんと燃えたと思います。どうすかね?」
『おー、ええんちゃうけ。まぁ、後はほっといたらええわ。帰ろうか』
「はい。」
それだけで1日分の日当が貰えた。
「楽だったなぁ、こんな仕事なら毎日でもええのになぁ」
しばらくして
こんな話を耳にする
『こないだゴミ焼却頼んできた会社あったやろ?』
どうやら大きなニュースにはなってないが警察が入ったそうな。
…
「おはようございます、今日はどこの現場行くんすかね。」
『銀狐よぉ、こないだ燃やした時誰も来てないってゆってたよな』
「はい、あの周りって
森ですもんね」
『そやのぉ、いたらすぐわかりそうやしのぉ
後、変なものも見いひんかったか?
…確認なんやけどな』
「いや、無かったすよ…なんかあったんすか?」
『いや、まぁ良いんやけどな…。
何もなかったら…』
「いやいや、気になりますって!何があったんすか!
聞きますよそんな感じにされたら」
『うん?んー。
ほな言うけど、お前が燃やしたのは
ちょっとアカンやつやったみたいやわ…』
「へぇ、そうなんすか…
って…
それひどいっすわ。
俺関係ありませんやんっ」
『見つかってへんにゃろ?』
「た、多分…」
『ほな黙っとけ。誰にも言うなよ…』
「わ、わかりました…」
それから数十年…
今思い起こせば
ガソリンで燃やしてた…
途中から、なんとなく燃えてた気がする。
何とも言えない臭いが普通だと思ってたから気づかなかったんだろうな…
そして俺がおもろいおもろいと燃やしてたのは
その依頼した会社の関係者だったそうな
俺は何も知らない。覚えてない。
それで過ごせと言うことで生きてきた。
そんな事を思い出した話である。
まぁ、フィクションだけどな。
