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「小学校教師が深堀」W杯アルゼンチン対カーボベルテ戦を観て考えたこと

メッシのハットトリックを期待して、気づけばカーボベルデを応援していた

7月3日(日本時間4日)、W杯ラウンド32のアルゼンチン対カーボベルデ。正直に言うと、観る前は「前回優勝国が初出場国を蹴散らす一戦」だと思っていました。メッシのハットトリックを期待しながらテレビをつけたのを覚えています。ですが、その期待を裏切るカーボベルデの奮闘に、試合開始から目を離せなくなってしまいました。

前半29分、メッシがリサンドロ・マルティネスの縦パスを完璧なトラップで収めてゴール。W杯通算20点目という歴史的な一撃で、予想通りアルゼンチンが先制します。しかし後半14分、カーボベルデのデロイ・ドゥアルテが相手DFの股を抜くシュートを叩き込み、同点。延長前半にはリサンドロ・マルティネスが勝ち越すも、延長後半にはまたシドニー・カブラルの美しい弧を描いたシュートが同点弾に。最後は延長後半、ロメロのヘッドでアルゼンチンが3-2でようやく突き放し、王者が辛くも16強進出を決めました。

気づけば私は、画面の前でカーボベルデを応援していました。世界ランク1位に、67位の国が二度も食い下がる。これは日本対ブラジル戦を見ていた時の感覚に近いものでした。格上を相手に、粘り強く守り、隙を見て仕留める。ジャイアントキリングが起きる瞬間のサッカーには、結果が決まった試合には絶対にない熱があります。

人口60万人、滋賀県サイズの国がなぜここまで強いのか

調べてみて驚いたのは、カーボベルデが「小国の奇跡」で片づけられる話ではないということです。国内人口は約50〜60万人、面積は滋賀県とほぼ同じ。しかし国外に暮らすディアスポラ(移住者とその子孫)は150万人を超え、本国人口の2倍以上にのぼります。今大会のメンバーも過半数が国外生まれで、ポルトガル、オランダ、フランス、アメリカなど各地の育成環境で鍛えられた選手たちが代表に集結しています。つまり彼らは、国内の限られた人口だけでチームを作っているのではなく、世界に散らばった才能を「カーボベルデ代表」という一つの旗のもとに束ねているのです。

それでも選手たちの出身がバラバラなら、チームとしてまとまるのは簡単ではないはずです。そこで重視されているのが、代表活動でクレオール語を使うことだと報じられています。言語を共有することで「自分たちはカーボベルデ代表だ」という一体感を作る。これは単なる精神論ではなく、多国籍な選手をまとめるための現実的なマネジメントなのだと思います。

日本との共通点、そして違い

守備の規律、最後まで諦めない粘り強さ、そして格上との対戦でこそ輝く勝負強さ。こうした特徴は、日本代表がこれまで大会で見せてきた戦い方とよく重なります。どちらも「島国」であり、限られた人口の中から代表選手を育てなければならないという構造的な制約を抱えている点も共通しています。

一方で決定的に違うのは、カーボベルデが自国の外に広がる人的ネットワークを、選手発掘という形でそのまま強化策に転換している点です。日本にも海外にルーツを持つ選手はいますが、まだその層は薄い。この違いは、今後の日本サッカーが「ベスト8の壁」を越えるためのヒントになるかもしれません。

延長戦まで縺れた120分間、テレビに釘付けになりながら考えていたのは、サッカーの強さは人口の多さだけでは測れないということです。次にカーボベルデのような「ジャイアントキリング」が起きるのはどこの国でしょうか。皆さんは、今大会で一番驚かされた試合はどれでしたか。

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