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10-5 マヌダ、爺を「めっ」する 小説「女䞻人ず䞋僕」




女䞻人ず䞋僕 ツタ


ず、そこでザレン爺は䞀瞬の想像から醒めるず、目の前の、涙をこがす、倧切な倧切な 手に入れたばかりの矎しいチェスの駒を急いで慰めた。



「マヌダおいおいなぜ泣くそれは倉だろうどう考えおもここはお前が泣く堎面でないぞ党く」

ザレン爺は泣くマヌダを抱き寄せ、力匷くがっしりず抱きしめ、背䞭を優しくぜんぜんず叩いた。



「だ、駄目ですからもう2床ず抱きしめないでず、たったいた申し䞊げたしたのに」



マヌダは、驚いお真っ赀になっお焊っお抵抗した。が、がっしりず骚倪で倧柄なザレン爺の腕は老いさらばえおも、びくずもしない

「はは、銬鹿いうな。そこに関しおはわしは党く玍埗いかんなぁ矩理の爺いが倧事な孫を抱いお䜕が悪いか。ほうれ、自分の身䜓に耳をすたせおみろ。明らかに、前の時ず違う抱きかただろうが。んこれからはもうこういうのだけしかせんから」

どこもかしこも柔らかいマヌダが、先日の事を思い出しお小刻みにぷるぷるず震える様子を、ザレン爺は慈しむように眺めた。

「でも」

ザレン爺は、少しかがんで、おびえるマヌダを怖がらせぬように、そっずマヌダの耳元に自分の暪顔を寄せるようにしお、顔を合わせずに静かにマヌダをなだめた。

「こないだの事があるから、それを思い出しお、いたお前はちょいず身䜓がドキドキしおるかも知れん だが それだけだ。ほら、昂らんだろ萜ち着いおきたろ」

「えっ えっ でも たしかに 暖かい倧きな゜ファヌに抱きしめられおるような感じだけど でもけじめが 」

「぀たり、この䞖には『女を雌にさせる觊り方』ずいうものがあるんだよ。わしは若い男ず違っお、『女を雌にさせる觊り方』ず、『孫に觊る觊り方』を、完党に区別しおやっおおる。しかも自分の雄の身䜓はもうよがよがで死んだも同然だ。これが本物の孫を抱く抱き方でなくおなんだずいうのだ」

「で、でも 」

「今日からお前はわしの孫だ。爺いが孫を抱いお䜕が悪い」


するずマヌダは、䞀瞬考え蟌んだ顔で黙り蟌んだが、ザレン爺の腕の䞭にあった自分のしなやかな腕をするするず解いおザレンの背䞭に回し、たるで母が子にするかのように、ザレンの背䞭たでその華奢な腕で芆うようにしお、そしおザレン爺の胞板に自分の顔を抌し付けお、

ザレンを、䞀回だけ、匷く、ぎゅう、ず抱きしめた。



だが。

話はそこでは終わらなかった。

マヌダはすぐに自分の腕を解いお、ザレンの腕の䞭に捕らえられたたたで、自分より頭぀も倧柄なザレンを真っすぐに芋䞊げおこう呜什したのだ。


「ザレン様。今すぐに腕を離しおお䞋がりなさいたせ」


ザレンは、ちょっずびっくりしお、抱く腕を解いお䞀歩だけ䞋がっお、䞡の手のひらをマヌダの䞡肩に茉せた状態のたた、ほずんどポカンずしお目の前のマヌダを芋぀めた。

「え」

マヌダは真っすぐにザレンを芋䞊げお、䞀床埮笑み、優しい慈愛のこもった萜ち着いた声で、だが断固ずしお再び呜什した。

「肩の手をお攟し。そしお䞋がりなさい」

ザレン爺はぜかんずした衚情でマヌダの肩から手を攟しお二歩埌ずさった。

女の蚀倖の機埮など完党に熟知しおいるはずのザレン爺が、たさか、このように女から面ず向かっお『手を離しお䞋がれ』ず蚀われるなんお、たさに数十幎ぶりの珍事である。

「マ マヌダどうしたんだ 怒った、のか」

マヌダは優しく埮笑んでザレン爺を芋぀めお蚀った。

「もう違いたすわ。党く怒っおはおりたせんのよあの、ザレン様のご理屈もごもっずもですけれども ですから、ディミトリさんのために、固く拒吊させお頂きたすの」

ザレン爺はぜかんずマヌダを芋぀めた。

マヌダは悪戯っぜく笑っお、デュラス街区の倧劖怪ず恐れられる、あのザレン爺の額に手を䌞ばしお

「めっ」

ず冗談めかしおザレン爺の額を癜い指でそっず小突いた。

「ザレン様がお悪いのですよザレン様があんなどぎ぀いやり方でディミトリさんを虐めおしたった以䞊、いたここで私達が隠れお抱き合ったらそれはもう、䞀 皮 の 䞍 倫 ですわ ええ、ええ、ディミトリさんの目の前で、ディミトリさんの了解のうえで、祖父ず孫ずしお抱き合うならば、ちっずも構いたせんのよ。ずにかくディミトリさんの蚱可ありき、ずいう事ですわね」

「えヌず。あヌ。いや」

マヌダはザレンの蚀葉を半ば無芖しお付け加えた。

「それからですね、今、わたくしがダメず申したすのにザレン様が匷匕にわたくしを抱きしめなさった今のこの件は、あずでディミトリさんにきっちりず 党 郚 報 告 させお頂きたす」

「お、おいマヌダ」

「だっおこんな事、秘密にしおおいおあずでバレたら、それこそややこしくなるに違いないわ ふふ、ザレン様ったら、やたらずい぀も『わしはずっくに枯れた、枯れた』ず、決たり文句のように、うそぶいおいおらっしゃいたすけどね、ただただザレン様がどれほど危険な男であるか、それが先日の䞀件でわたくしが解らないほど、そこたでわたくしが救いようのないお銬鹿さんの女の子に芋えお ですからわたくしのわがたたは笑っおお蚱しになっお䞋さいたしね」

ザレン爺は、䞀瞬ぜかんずしたが、

(この小嚘 面癜い)

ず目を芋開いた。

(そうだ、わしのチェス盀の䞊で䞊手く螊らせるには、ちょっずした男の匷匕な態床に流されお自分を芋倱うような女では困るのだ。決しお男のペヌスに流されず、それでいお、どぎ぀い雌の色銙をあたり䞀面に発散させ街䞭の男達を狂わせる ただし、ただし、衚面䞊は䞊品極たるあどけない什嬢 そういう、そういう什嬢が、秘めたる毒の花が、そういうチェスの駒をわしは長幎探しおいたのだもちろん、ただ、ただ、この小嚘は野暮ったい原石でしかないが こずによるず こずによるず、この嚘、うたく磚けば )

( 気に入った、気に入ったぞマヌダ)


悪だくみを成就させるための危険な玩具を手に入れたぞくぞくする犁忌の喜びず

遠い昔に倱われた懐かしい家族を再び埗たようなしみじみずしたあたたかい喜び、ずいう、

党く違う、溶け合うはずもない、二぀の喜びが、ただらに混じり合いながら、ザレン爺の肚の䞭を巡った。



ザレン爺は、目の前の小柄な歳若い小嚘をじっず芋぀めお頷いた。


「了解した。マヌダよ。わしはお前の呜什に埓おう。

今日からわしはお前の矩理の祖父であり お前の今埌のきらびやかな恋愛遍歎のなかの、お前に匄ばれお棄おられた、名誉ある第1号ずなったようだな。

そしお、ディミトリが第2号か。

いやはや、これから可哀想な男達が䜕人増えおゆくこずやら」


ザレンの悪だくみなど知らぬ可憐な嚘は、すっかり安心した様子で、胜倩気にふくれっ面で蚀い返した。


「もうザレン様ったら、蚀い方ですからわたくしはディミトリ様ひずりに貞節を誓っおおりたす」


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