凛々しく暮らしていきたいんです私
島流しにあってから、ひと月あまり。
息抜きは自転車での島走(逃走?)と釣り。
キスがメインのちょい投げだが、たまに鯛とかマゴチとかシーバスも。秋はエギング(イカちゃんです)にトライするつもり。
そんなわたしの秘密の釣り場には、サイクリストたちが姿を見せることがある。
先日は外国の母子が先客だった。
「はろー!」
と明るく声をかけたのだが、反応がうすい。まぁいっか、と釣りの準備をしつつチラチラ見ていたら、
おお…親子ゲンカだ……
というのが見てとれた。
いや、リスニングできません。でも分かる。14歳くらいかな、金髪のそれはそれはカッコいい男の子がふてくされてご機嫌ななめでいることが。
ママはちょっと怒り気味。暑い中でのサイクリングにくたびれちゃった息子に、カツを入れているらしい。
ああ、思春期息子。覚えがありますわたしだって。さっさと先に立ち上がる母親と目が合ったので、
「わかるよ…」
と目くばせしたら、
「まったくもう……ね?」
という感じで肩をすくめてニヤリとした。
母の思いは万国共通。わかりあえた嬉しさにわたしもニヤリ。
のこされた息子はまだいじけている。
「ねえ君、釣りしたことある?」
って英語でなんて言えばいいんだっけ。
そんな気分はほら、魚釣り上げたら消えちゃうよ〜!と、釣り竿を持たせたかったのだが、なんたる不覚、こういう時に限って糸がからまってしまった。
少年は美しいハニーブロンドをなびかせてわたしの前を(仏頂面で)通りすぎ、階段を駆け上がっていった。ざんねん。
またある時には、素敵なおじさまがひとりでカメラを構えている。片手に持った何かを真剣に撮っているから、
「ぬい活?海をバックにぬいぐるみの記念撮影?」
とおもしろく思う。
30分ほどして、
「釣れますか?」
笑顔で近づいてきたおじさまの手元をよく見たら、日本酒のガラスのカップだった。
酔っ払いには見えないけどな、とよく見ると、カップにはこのあたりの風景が美しくプリントされている。
「これから発売される予定のお酒なんです。宣伝のために写真を撮っていて…」
なーるほど!ぬい活とか酔っ払いとか思ってゴメンナサイ。おわびに対岸の島に美しい虹色の彩雲がかかっていることを指差して教えてあげた。
介護の日々は実はなかなかハードなのだが、こういうやりとりがあると元気百倍だ。
人生には運命の分かれ道がたくさんあるけれど、やっぱり凛々しく前を向いて行きたい。鼻歌を歌いながらぐんぐんペダルをこいで帰った。
そう。わたしも晴れた空が好き。
