同じ事実、違う印象。 部下を責める前に、営業マネージャーが変えるべき「問題の主語」
商談を終えて戻ってきた部下に、思わず言いたくなることがあります。
「そこまで話が進んでいたなら、なぜ最後まで押さなかったんだ」
「条件を出す前に、相談できただろう」
「もっと自分で考えて動いてほしい」
マネージャーから見れば、あと一歩の商談です。
部下がもう少し勇気を出せば決まった。
報告が早ければ、助けられた。
そう見えます。
私も、何度もそう考えました。
ただ、部下の側から同じ場面を見ると、違う景色がありました。
どこまで値引きしてよいか分からない。
下取り条件をどこまで動かせるか分からない。
自分の判断で進めて、あとから怒られるのが怖い。
上司へ相談に行けば、お客様の温度が下がるかもしれない。
部下は、お客様だけを見ていたのではありません。
商談中、上司の顔色も見ていたのです。
同じ事実でも、主語が変わると対策が変わる
「部下が決められなかった」と見れば、対策は「もっと自信を持て」になります。
「上司が、決めてよい範囲を渡していなかった」と見れば、対策は商談前の権限設定になります。
起きた事実は同じです。
ただ、問題の主語を変えると、改善できる場所が増えます。
これは、部下の責任をなくす考え方ではありません。
約束を守らなかった。
報告を隠した。
決めたルールを繰り返し破った。
その事実は、曖昧にせず伝える必要があります。
一方で、上司の指示が曖昧だったり、相談の基準がなかったり、報告すると商談を全部巻き取られたりすれば、部下だけを責めても同じことが起きます。
本人の行動。
上司の関わり方。
チームの仕組み。
三つを分けて見直すための考え方が、「問題の主語を変える」です。
放置すると、報告はますます遅くなる
部下へ「もっと早く相談して」と伝えても、相談した結果いつも叱られたり、商談を奪われたりすれば、次から報告をためらいます。
自分で決めれば「勝手に決めるな」と言われる。
確認すれば「それくらい自分で考えろ」と言われる。
この状態で部下が選ぶのは、一番安全な行動です。
何も決めず、上司の指示を待つ。
問題が大きくなるまで報告しない。
商談終盤になると、上司が来るのを待つ。
するとマネージャーは、毎回すべての商談へ入ることになります。
見込み管理や育成に使う時間が減り、部下は判断経験を積めません。
忙しいのに人が育たない状態は、部下の能力だけで起きているとは限らないのです。
私自身、部下の商談を奪っていた
数字を守ろうとするほど、私は商談へ入っていました。
条件を判断し、説明を補い、最後の確認まで自分で進める。
その場では決まることがあります。
けれど、次の商談でも部下は私を呼びます。
私は「なぜ自分でできないのか」と感じ、部下は「最後は上司が決めるものだ」と学んでいました。
助けているつもりで、判断する機会を減らしていたのです。
必要だったのは、商談後に強く指導することではありませんでした。
商談前に、
「ここまでは自分で決めてよい」
「この線を超えたら、お客様が帰る前に相談する」
「相談するときは、自分の案を一つ持ってくる」
と渡すことでした。
このnoteで扱うこと
この有料記事は、営業マネージャーの部下育成と商談支援に範囲を絞っています。
事実と解釈を分ける4つの手順
商談前に渡す4つの指示
部下が自分で決めてよい範囲の作り方
権限を少しずつ広げる4段階
上司へ相談するときの30秒報告
部下の商談を奪わない上司の入り方
商談後と1on1で使える質問
そのまま使える5つの実践シート
最初の7日間で定着させる進め方
初回接客の話し方や、クロージングの切り返しを学ぶ記事ではありません。
部下が自分で考え、必要なときに相談し、商談を前へ進められる状態をつくるための記事です。
読んだあとの組織
相談がなくなるわけではありません。
相談の中身が変わります。
「どうしたらよいですか」ではなく、
「お客様はこの条件を希望されています。私はこの対応がよいと考えています」
と、自分の判断を添えて報告できるようになる。
マネージャーも、最初から最後まで商談を巻き取らず、部下の権限を超えた部分だけを補えるようになる。
部下は判断経験を積み、マネージャーは一件を処理する時間から、育成、見込み管理、店舗全体の改善へ使う時間を取り戻していきます。
目指すのは、上司がいらない組織ではありません。
上司がすべてを決めなくても、部下が安心して考え、相談し、進められる組織です。
このnoteが向いている方
部下からの報告が遅く、いつも問題が大きくなってから知る
「自分で考えて」と伝えても、部下が動かない
商談へ入ると、最後まで自分が担当してしまう
部下へ渡す権限と、相談させる境界線を決められていない
1on1が反省会や説教で終わってしまう
部下を責めずに、責任は曖昧にしない育成をしたい
このnoteが向いていない方
営業トークや即決のクロージングだけを学びたい方には向いていません。
また、部下の事情をすべて認め、責任を問わない方法ではありません。
事実を確認し、本人・上司・仕組みのそれぞれが次に変える行動を決めたい方へ向けています。
有料部分へ進む前に
ここまでで、部下が動かないという問題も、主語を変えると、上司や仕組み側の改善点が見えることをお伝えしました。
有料部分では、考え方だけで終わらせず、権限設定、30秒報告、上司の商談介入、1on1、実践シートまで現場の言葉に落とします。
明日の商談前に、部下へ「自分で決めてよい範囲」と「相談する境界線」を伝えられる状態が最初の目標です。
部下へ「もっと自分で考えろ」と言いながら、どこまで決めてよいかを渡していなかった。
そんな覚えが一度でもある方は、ここから先を読んでみてください。
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