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5年前の「やりたい」が、ちゃんと工芸作品になっていた。

昨日は福井へ。

久しぶりに「千年工芸祭」に伺ってきました。

2日目は大雨で中止だそうで、残念ですが、昨日は福井以外からもたくさんの知り合いが出展されていて、以前よりさらに盛り上がっている印象でした。

その中で、びっくりしたことがありました。

京都精華大学で6年前に教えていた学生が、今は福井の「土直漆器」に入社して頑張っています。

で、今回のイベントブースで若手職人のコーナーがあり、彼女がつくった新しい漆のアクセサリーが展示されていました。

最初は若手頑張っているなーと、、、気づかずに近づいてみたら。

「あれ? これ、どこかで見たことあるな……」という企画が。

そう思って、よく見てみたら。土直漆器さんの若手。

「え??」

なんと、大学の卒業制作で彼女が発表していた企画でした。

当時の発表風景

で、本人が立ってました!これは、本当にびっくりしました。

学生の時の面影と違ってて最初気づかなかった・・(笑)

あのときの卒業制作の展示が、ちゃんと商品になっている!

当時頑張って作っていた卒業制作。企画もデザインも、すごく面白かった。

ただ、当時は学生です。
やりたいことに対して、技術が追いついていない。

地元の先輩の漆職人さんたちにも手伝ってもらいながらつくっていて、何とか頑張ってましたが、仕上がりは「学生の卒業制作」という感じでした。

アイデアはある。

でも、それを形にする技術がまだ足りない。
そんなことは学生のものづくりでは、よくあることです。

だから僕も、その時は

「面白い企画だな」

と思いながら見ていました。

それが、5年後。
漆器の製造現場に入り、仕事をしながら技術を身につけていた。

そして、自分が学生時代につくったアイデアを、もう一度引っ張り出してきた。それも今度は、自分の技術で仕上げて、ちゃんと商品として世の中に出していた。

いやぁ、これは嬉しかった。
というより、まずはびっくりしました。

アイデアを、5年間持ち続けるということ
卒業制作って、卒業すると終わることが多いですよね。

学校を出れば、それぞれ仕事が始まる。
毎日の仕事に追われる。

新しいことを覚えなければいけない。
自分の生活もある。
色々なことが忙しくなってくる。

そうすると、学生の頃に「やりたい」と思っていたことを、
いつの間にか忘れてしまったりする。

あるいは、

「今の自分には無理だな」

と、諦めてしまう。
僕自身、そういうことはたくさん見てきました。

だからこそ、彼女が5年後にそのアイデアを商品にしていることが、
すごく嬉しかった。

最初のアイデアを捨てなかった。
その間に、仕事をして、技術を学んで、経験を積んだ。

そして、5年後にもう一度、自分のアイデアと向き合った。

先生としては、「素晴らしい!」の一言です。

「良い企画」と「良い商品」の間にあるもの

ものづくりをしていると、
「良いアイデアがあれば、良い商品ができる」

と思われることがあります。でも、実際はそんなに簡単じゃない。

アイデアを形にする技術がいる。
素材を理解する経験がいる。
つくってみて失敗する時間もいる。

現場の人に教えてもらうこともいる。そして、何度もつくり直す。
「良い企画」と「良い商品」の間には、そういう時間が必要だと思います。

今回、彼女のアクセサリーを見ていて、そのことを改めて感じました。
学生の頃には足りなかった技術を、仕事をしながら身につけた。

そして、その技術を使って、昔のアイデアを自分の手で仕上げた。
企画が5年間眠っていたのではなく、

5年間かけて、企画を実現できる自分になっていた。

そう考えると、すごく面白い。

先生として、こんなに嬉しいことはない


大学で教えていると、学生たちの卒業制作をたくさん見ます。

その時には、

「これ、面白いな」と思うものもたくさんあります。
粗削りでも面白い作品はその後も頭の片隅で覚えています。
でも、その後どうなったのかは、なかなかわからない。
どうにかなっていないことが多いと思います。

だから今回、5年ぶりに福井で、
「あの時のアイデアが、今ここにある」
というものを見つけた。

先生としては、「素晴らしい!」の一言です。

そして同時に、「大学で教えていてよかったな」とも思いました。
教えたことが、そのまま残っているわけではない。

むしろ、学校を出てから本人が現場で学んで、経験して、技術を身につけて、自分のものにしている。

それを見ることができたのが、何より嬉しい。

そして、こういう姿を見ると、
ものづくりって、やっぱり面白いなぁ。と思います。


どんな展開になるのか楽しみ。

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