地域企業との対話から見えた情報開示の現在地
本記事に先立ち、このたびの熊本地域を中心とした地震により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。地域の皆さまの安全と、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
2026年7月16日、CDPは福岡にて「CDP情報開示ワークショップ 2026」を開催しました。Global Nature Positive Summit 2026の翌日に実施された本ワークショップでは、九州地域の企業担当者を対象に、CDP回答の実務や情報開示の意義について理解を深めていただくことを目的として、実践的なセッションや意見交換を行いました。
環境情報開示への関心が高まるなか、九州地域の企業との対話を通じて、現場で求められている情報や実務上の課題に触れる貴重な機会となりました
ワークショップの内容

CDP回答の全体像や回答準備のプロセス、回答時のポイントに加え、回答に向けたロードマップや必要な準備事項について解説しました。セッションでは、環境課題の特定からガバナンス体制の構築、データ収集、目標設定、情報開示までの流れを整理しながら、企業が段階的に取り組みを進めるためのポイントを紹介しました。参加者が具体的なアクションをイメージできるよう、実務に即した内容を中心にお伝えしました
パートナー企業からは、排出量算定や情報開示への対応に加え、サプライチェーンを通じた脱炭素化の取り組みや中堅・中小企業におけるサステナビリティ推進について紹介いただきました。また、Scope3排出量の把握やサプライヤーエンゲージメント、一次データ活用の重要性など、企業が実際に直面する課題に基づいた実践的な事例も共有されました。
参加企業との対話から見えたこと
ワークショップ後の質疑応答や交流の時間では、多くの企業担当者から率直な声が寄せられました。
CDP回答に向けて何から着手すればよいか
社内体制をどのように構築すべきか
SBTNなどの新しい動向にどう対応すればよいか
次回回答サイクルへ向けた準備をどのように進めればよいか
など、実務に直結するテーマについて活発な意見交換が行われました。
参加者との対話を通じて、企業が情報開示の重要性を認識しながらも、データ収集や社内連携、サプライチェーン全体での取り組みといった実務面に課題を感じていることが改めて見えてきました。特に印象的だったのは、多くの企業が情報開示の重要性を認識しながらも、「どこから着手すべきか」「どのように社内を巻き込むべきか」「サプライヤーとの連携をどう進めるべきか」といった実務面で悩みを抱えていたことです。情報開示は単なる回答作業ではなく、社内の複数部門やサプライチェーンとの連携を必要とする取り組みであることが、改めて浮き彫りになりました。
また、他社事例や具体的な進め方に対する関心も高く、情報開示に取り組む企業同士が知見を共有する場の重要性を改めて実感しました。今回のワークショップは、そうした実務上の課題や疑問を共有し、それぞれの企業が次のアクションを考えるための機会となりました
地域開催だからこそ得られた学び
今回のワークショップでは、九州地域をはじめとする企業の皆さまと直接対話する機会を得ることができました。参加企業との意見交換を通じて、環境情報開示への高い関心や、実践に向けたさまざまな取り組みについて理解を深めることができました。
また、ワークショップを通じて、企業同士が経験や課題、知見を共有しながら学び合うことの重要性が改めて確認されました。地域での開催は、企業が最新の動向や実務的な知見に触れる機会を提供するとともに、企業間のネットワーク形成や継続的な対話を促進する場としても大きな意義があります。
地域での開催は、企業が最新の動向や実務的な知見に触れる機会を提供するとともに、企業間のネットワーク形成や継続的な対話を促進する場としても大きな意義があります。
情報開示が果たす役割
今回のワークショップを通じて改めて感じたのは、情報開示は単なる報告ではなく、企業と投資家、顧客、サプライヤー、社会との対話を支える基盤であるということです。
また、開示そのものが目的ではなく、開示を通じて自社のリスクや機会を把握し、経営の意思決定やサプライチェーンとの協働につなげていくことが重要であることも共有されました。開示の質を高めることは、企業のリスク把握や機会創出にもつながります。そしてその第一歩は、社内でデータを整理し、対話を始めることから生まれます。
CDPは、質問書やガイダンス、各種ワークショップを通じて、企業が情報開示の取り組みを進められるよう支援しています。情報開示は単なる回答作業ではなく、組織内の連携を深め、リスクと機会を把握するための重要なプロセスです。今回共有された知見や対話も、その一歩を後押しする機会となりました。
おわりに
今回のワークショップでは、CDP回答の実務や情報開示の意義について理解を深めるとともに、九州地域の企業との対話を通じて、情報開示に対する関心や課題について理解を深める機会となりました。
環境情報開示は単なる報告作業ではなく、リスクと機会を把握し、組織全体でより良い意思決定を行うための重要なプロセスです。CDPは今後も、企業間の知見共有や対話の機会を提供し、企業の環境情報開示の取り組みを支援していきます。
今回共有された知見や対話が、参加企業にとって次の一歩を考えるきっかけとなり、より透明性の高い持続可能な経営、そしてアースポジティブな未来の実現につながることを期待しています。
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