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【映画感想】「ニキータ」| 非情になれない彼女の涙

リュック・ベッソンによる初期の代表作。

スタイリッシュなガンアクションと、殺し屋として生きる女性の葛藤を描いた作品で、後のレオンにも通じる要素が見られます。
ハリウッドでのリメイクやドラマ化もされた、長く愛されている一本です。


あらすじ

ドラッグ絡みの事件で警官を射殺した少女ニキータは、終身刑を宣告される。
しかし彼女は“死んだこと”にされ、国家の秘密組織に引き取られる。

そこで与えられたのは、「暗殺者」として生きる道。
拒否すれば本当に消されるという状況の中、ニキータは過酷な訓練を受けることになる。

やがて任務をこなすようになった彼女は、新たな身分と恋人を得るが、
“人を殺す仕事”と“普通の人生”の間で、次第に追い詰められていく――。


感想

この作品の魅力は、

「殺し屋なのに、まったく非情になりきれない」
というニキータの不安定さにあります。

任務はきっちりこなす。
でもそのたびに、ちゃんと傷ついている。

この“人間らしさ”が、彼女をどんどん苦しめていくんですよね。


特に印象的なのが、初任務のシーン。

誕生日に渡されたプレゼントが拳銃で、
そのまま「今から人を殺せ」と命じられる。

最悪すぎる誕生日。

泣きそうになりながら引き金を引くあの瞬間、
彼女が“普通の人生”から完全に切り離されたことが強く伝わってきます。


そして物語が進むほどに際立つのが、

「仕事」と「感情」のズレ。

恋人マルコと過ごす穏やかな時間。
一方で、突然呼び出される命がけの任務。

この落差が、精神を削っていく。


例えるなら、かなり極端なブラック環境。

逃げ場はないし、辞めることもできない。
しかも失敗すれば命がない。

そんな状況で“普通の感情”を保てと言われても、無理がある。


ニキータが最後に姿を消す選択をしたのも、納得なんですよね。

恋人のそばにいればいるほど、
自分の“裏の顔”とのギャップに耐えられなくなる。

守りたいからこそ、離れるしかない。

この結末がすごく切ない。


キャストも見どころが多くて、

アンヌ・パリローの危うさと強さの同居した演技は圧巻。
細い体で大きな銃を扱う姿も印象的です。

さらに、後半で登場するジャン・レノ。

出番は多くないのに、とにかく強烈。
あの“仕事人感”はさすがで、一気に空気を持っていきます。

そして恋人マルコを演じるジャン=ユーグ・アングラードの包容力。
この存在があるからこそ、ニキータの苦しさがより際立つんですよね。


アクションとしても楽しめるし、
同時に“人間が壊れていく過程”もしっかり描かれている。

派手さの裏にある、静かな悲しさが印象に残る作品でした。


スタイリッシュでありながら、どこか痛々しい。
「非情になれないこと」がこんなにも辛いのか、と考えさせられる一本です。

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