2度目のヘルシンキで見つけた、私が撮りたかった景色
いつの日からだろう。「撮りたい」と思う旅写真が少しずつ変わっていった。
昔はとにかく目を引くかわいいもの、カラフルなものが好きだった。
決して嫌いになったわけではない。今もすごく好きだし、相変わらず「かわいい」にはときめいている。
けれど、用意されたスポットを目的に「撮りたい!」とエネルギーいっぱいに会いに行くことは、以前に比べて徐々に減っているように思う。

代わりに、ここ数年で「撮りたい」と強く思うようになったのは、穏やかな自然が紡ぐ、優しい景色。
ふわりと風に揺れる植物や差し込む強い光に合わせて姿を見せる影、刻々と色を変える空や輝く海。


街中か自然風景の中か、建物の中か…というのはあまり関係なく、自然と調和している佇まいがたまらなく好きで…。
どこか心が洗われるような、そんな瞬間に出会うと、夢中でシャッターを切るようになった。

そんな変化を強く感じたのは、昨年9月に訪れたフィンランド ヘルシンキ。
フィンランド旅自体は2回目なのだけど、実ははじめてのフィンランドについての印象はあまりない。
コペンハーゲン・タリンとともに巡ったヘルシンキは、たった2泊だったとはいえ、コペンハーゲンのカラフルな街並みやメルヘンチックなタリンの魅力にすっかり押されてしまい、どこか物足りなくて。
所詮「マリメッコ可愛かったな」レベルの薄い印象で終わっていた。

そんなフィンランドにもう1度行きたいと強く思うようになったのは数年前から。
具体的なきっかけは忘れてしまったが、フィンランドで撮影された写真を見る機会があり、光の美しさ、湖と森に囲まれた自然の雄大さに目が釘付けに。
それから様々な写真家さんの北欧の写真を探しては見ていくうちに、すっかり魅了されてしまい、「8年前の私はなんてもったいないことをしたんだろう」と後悔することに。

北海道や長野など、「北欧っぽい」場所をたくさん巡った。
どこもとても良かったけれど、でも、やっぱり本物の北欧の景色を撮りに行きたい。
そう強く思っていたところ、夫の休みがたまたま取れて、弾丸5日のヘルシンキ旅に急遽行けることになった。


2回目に訪れたヘルシンキは、何もかもが輝いて見えた。
比喩ではない。
北欧の光は美しいと聞いたことがあったのだけど、本当にその通りで。
緯度が高いからか、日中でも比較的太陽の位置が低く、夕方近くのようなきらめきが街全体を包み込んでいた。


自然の豊かさにも驚かされる。ヘルシンキは首都とは思えないほど自然が身近にあり、中央駅から少し足を伸ばすだけで、緑あふれる公園にたどり着ける。
圧巻の白樺並木や、きらきらと輝く湖の風景に触れると、ここが都会であることを忘れてしまうほど。街と自然との距離が、こんなにも近いことに、思わず感動してしまう。


彩り豊かなお花たちや、名前の知らない木の実など、華やかな色彩も魅力的。
私は夏の地中海側のヨーロッパに行くことが多いが、海沿いだからか、土色のベージュが基調になっている景色が多い。
緑はあっても花や実がなっていることはほとんどなく、ヘルシンキの自然が織り成す豊かな色を見るたびに、心が踊る。


街中の公園を巡り、森を歩き、湖畔沿いのホテルに泊まり、静かに昇る朝日を眺める。
一度目の旅では気づけなかった、ヘルシンキの魅力にどっぷりと浸かった旅は、写真旅としてもリトリートとしても、私の心を存分に満たしてくれた。

もちろん、1度目の旅が悪かったわけではない。
人の感性は、少しずつ変わっていく。だからこそ、同じ場所を旅しても、新たな発見があっておもしろいのだと思う。
今回撮った写真と、前回の旅で撮った写真は大きく違っていたけれど、その違いもまた愛おしい。
また数年経った頃、私はどんな景色を求めているのだろう。その時が今から楽しみ。
