海辺に生きて--- 行手麻礼 断章
海は生きている
毎日ちがう顔をして
こちらの都合など一度も受け取らない
悪も正義も 嘘も祈りも
海には届かない
ただ 波が寄せて返すだけだ
海には形がない
あるのは曖昧な縁だけ
人が勝手に境界と呼んでいる
その線は 海にとっては風と同じ
海は平等だ
男にも 女にも
どちらでもない者にも
富にも 貧しさにも
力のある者にも ない者にも
同じ重さで寄せてくる
だから私は
この海を毎日見ていないと
自分の輪郭が消えてしまいそうになる
怖いのは それだけだ
海のように
強く 優しく 公平で
そして 清々しくありたいと願う
最後は
終の海辺の家で
猫たちとともに
笑って終わりたい
海に愛された者として
海を愛した者として
「今日も海は、
私の知らない顔でそこにいる。
それでも私は、
その変わり続ける気配に救われてきた。
生まれた家も、
終の家も、海の呼吸のそばにある。
だから私は、
明日もまた、この海に自分を確かめに行く。」
「この投稿で
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