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仕事はとるもの?

通常はカウンター8席を2人で回している。わたしとスタッフが一人。最近は新しい人が増えたので教えながらということが多い。できれば早く仕事を覚えてもらった方がいいと思っているので、出来そうな人にはどんどん伝えていく。みんなは真面目にメモを取りながら覚えている。
ただし、これは通常の流れでの話で忙しいときにそんな余裕はない。うちは学校ではないのでお客さんを過度にお待たせしてまで教えたりはしない。当たり前だがあくまでも通ったオーダーをスムーズに作っていくことが優先だ。なのでカウンターの中でわたしだけが余裕なく動き回っているなんてことが起きてしまう。
こちらとしても誰がどこまで仕事を覚えているかがわからなくなってしまうので、大半の仕事はわたしがやって、最低限の補助的な部分を指示してやってもらう。
こういったことを繰り返していると、忙しくて何をしたらいいかわからなくなったときに指示を待つようになってしまう。だが、ごくまれにわたしの方に近づいて作業を代わろうとする人がいる。その動きに応じて「できるんだな」と判断してバトンを渡すようにしている。

仕事を待つ人ととってく人ではその距離が違うんだなぁと改めて感じる。「仕事はとるもの」とか昔はそんなことも言われてたっけ?
取る?摂る?獲る?盗る?

修行時代、ようやくカウンターでコーヒーを淹れさせてもらい始めた時の話。緊張しながらも嬉しかった。ようやく任せてもらえるようになったという誇らしさもあった。しかし、それは落ち着いている時間帯だけでお店が混みはじめると先輩が飛んで来て「交代します」と言って、さっさと補助に回らされてしまう。
ある日、お店が混み始めたタイミングで先輩がカウンターに入ってきた。わたしはそちらには目もくれず通ったオーダーをどんどん仕上げていく。一瞬でも間ができると「交代します」なので、とにかく間を空けずにこの次にこれやってその次はこれやってと動きながら考える。さらには先輩に「これお願いできますか?」と指示までして絶対にカウンターは渡さないつもりで通し切った。そのうち先輩の代わろうとする気配は「もういいや、任せちゃおう」に変わっていった。
あとで怒られたりということもなかったし、それ以降は任されることも増えていった気がするなぁ。



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