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公務員”30代・キャリアの確立期”

こんにちは。
脱公務員キャリアコンサルタントのしーもです。
今回は、30代の公務員の方が多く直面する「キャリアの岐路」についてのお話です。


■ 少しずつ見えてきた、役所の仕組みと限界

30代になると、定期的な異動でいくつかの部署を経験し、仕事への理解も視野も各段に広がってきます。
新人の頃のような「何もわからない」状態ではなくなり、仕事の進め方、組織の動き、後輩や上司との接し方も含め、中堅と呼ぶに相応しい立ち位置になってきます。

そして同時に、

  • 自分の部署だけでなく、役所全体の動きが見えてくる

  • 政策形成や予算編成のプロセスも、ある程度読めるようになる

  • 「こんなことしたいな」と思っても、現実的に通らない理由が先に見えるようになる

慣れも出てくることもあり、役所の面白くない面も色々わかってくる

いくつかの異動を経験したことで、仕事にやりがいを持てるかどうかは、結局は異動ガチャと上司ガチャ次第、というよく言えば達観、悪く言えば諦めのような心境を抱き始める人も多いのではないでしょうか。


■ 係長になった…で??

30代後半になると、係長職に昇任する人も多くなってきます。

それなりに評価され、信頼も得ているはずなのに、ふと立ち止まってしまう瞬間がある。
「このまま、この道を進んでいくとして、自分はどこに向かうんだろうか…?」と。

自分の周りを見たときに、自分のロールモデルとなるような上司は…
いつかは自分もあんな風に…
て思える人は救いがありますが、

そんな人いない。。。
みんなしんどそうな人ばっかり…

え、、このままいって大丈夫かな・・・

視野が広がったが故に、そんな不安もリアルに見え始める時期かもしれません。


■ ライフイベントの確率が高まる30代

一方で、多くの人にとって30代は、人生のイベントも重なってくる時期です。

  • 結婚、出産、育児

  • 住宅購入やローン返済

そうなると、やはり公務員の“安定”のありがたさが大きくなります

  • 育休制度がしっかりしている

  • ローン審査の信用度も高い

などなど…


■ 挑戦か現状維持か?

役所で働くことが段々苦痛になって、もっと自分を活かせる仕事、頑張りがもっと評価される仕事をしたいという想いを抱く人も出てくる一方で、

安定の大きさが決断を鈍らせる要因にも…

本音では——

  • 自分の力をもっと活かしたい

  • アイデアを形にできる仕事がしたい

  • 新しい環境で試してみたい

という挑戦意欲もありつつ、
でも現実は——

  • 特に今の仕事がものすごく嫌なわけじゃない

  • 周りから見れば「順調」で「安定」しているし

  • 子どもも小さいし、今じゃないかな…

と現状維持にもそれなりの理由をつける自分
そうやって、「挑戦」と「現状維持」の間で揺れ動く日々

仮に、公務員という立場から「安定」という最大の価値が失われたら、このように揺れることもなく、今以上に人材の流出は進み、もはや歯止めが効かなくなるかもしれませんね。


■ キャリア理論で見る、30代の悩み

キャリア理論家として有名なドナルド・スーパーのキャリア発達理論では、30代は「確立期」と呼ばれる時期にあたります。
ここでは、自分の職業的な役割や位置づけを定め、
「この仕事の中で、自分はどう在るか?」という問いを抱えやすくなるのが特徴です。

ところが、公務員という環境は、

  • 創意工夫が通りにくい前例踏襲の風土

  • 評価や成果が数値だけで評価しにくい業態

  • 異動や昇進の基準が不透明でわかりにくい

などがあるため、「自分なりの意味づけ」や「職業的自己概念の定着」がしづらい環境でもあります。

要は、自分の意思とは関係なく行われる異動や昇進一つとっても、職場に振り回されがちなキャリア形成のため、自己を確立することが難しい側面があるという感じですね。

そもそもキャリア意識を持ちにくい業界であることが、背景にあるのかもしれません。


■自分の軸が明らかになる時期

また、別のキャリア理論家、エドガー・シャインのキャリアアンカー理論という考え方も参考になります。

キャリアアンカーとは、個人が選択を迫られたときに、その人が最も放棄したがらない欲求、価値観、能力(才能)などのことで、その個人の自己像の中心を示す。
個人のキャリアを船に例えた場合に、それをつなぎ止める錨としての働きをするもので、キャリアの積極的定着促進要因と言える。

キャリアコンサルティング理論と実際 6訂版から

人にはそれぞれ、「この軸だけは手放したくない」というキャリア上の価値観(=アンカー)がある、という理論です。

そしてその軸となるアンカーは、ある程度の職業経験を積み、成功や挫折を蓄積することによって、確立されてきます。

まさにちょうど30代に差し掛かる頃に形成されてくる訳です。

8種類あるキャリアアンカーの中で、

  • 全般管理コンピテンス(特定分野に留まらず、組織全体にわたる様々な経験を求める)

  • 保障・安定(生活の保障、安定を第一とする)

  • 奉仕・社会貢献(人の役に立つ、社会全体への貢献を求める)

  • 生活様式(仕事とその他の生活との調和・バランスを重視)

こういったアンカーを持っている方には、公務員という環境はとてもフィットすると思います。
(もちろん部署によって、仕事と生活のバランス重視ができるとは限らない訳ですが…)

逆に、

  • 特定専門分野/機能別コンピテンス(専門性の追求を目指す)

  • 自律/独立(制限や規則に縛られず、自律的に職務が進められる)

  • 起業家的創造性(新規に自らのアイデアで起業・創業することを望む)

  • 純粋な挑戦(誰もしたことがないことに取り組む)

といったアンカー傾向のある人にとっては、公務員の仕事(というか業態)はあまり相性が良くないでしょう。

例えば、ある特定分野の部署では極めて高い専門性が要求されることもありますが、数年での異動がつきものの公務員ではその専門性をさらに磨き上げる前に別の部署に異動してしまうので、そういったアンカーを持った人にはキャリアが断たれたような感覚をより強く感じることになるでしょう。


■悩みが生じるのは特別なことではない

キャリアに関する理論というのは、世界中でこのような共通の理論を使って説明されています。

30代に限らず、どの年代であっても様々な悩みに直面することは当然のことでもあります。

悩む背景には、人として当然に経験するであろう発達課題に基づくものや、自然と自分の中に形成されていく軸(キャリアアンカー)と環境との乖離によって生じているものなど、理論によって説明がつくものも少なからずあるのです。

  • 自分の価値観やキャリアの軸は何なのか

  • 今の仕事と、それがどれだけ重なっているのか

  • 将来どういう働き方や生活を描きたいのか

そういったことを一度、落ち着いて整理してみる時間があっても良いのではないでしょうか。

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