良い朝を迎える。真宗高田派本山 専修寺にて。
時折、三重県の浄土真宗高田派専修寺の晨朝勤行に参加する。
とある日曜の朝、向かう。蒲郡から車なら下道で2時間程度で行ける。勤行は7時からはじまる。5時前には出なくてはいけない。
23号名豊バイパスで名古屋まで行き、飛島村、四日市を抜けて中勢バイパスにのる。工業地帯や港湾、市街地を抜ける。日中は渋滞する区間だが、早朝は流れが速い。

専修寺前の駐車場にとめて、唐門から入る。駐車場からは唐門が一番近い。境内に入ると西に如来堂、東に御影堂がみえる。2堂とも国宝に指定されている。如来堂の方が小さいが、教義的には本堂にあたる。

晨朝勤行は如来堂での阿弥陀経のお勤めからはじまる。高田派の読経は本願寺派、大谷派より速い。音木が細かく音を刻む。阿弥陀経は、経が説かれた状況、極楽の国の存在、浄土の荘厳、阿弥陀の由来、往生するための方法、そして諸仏の賞賛を伝える六方段で構成される。他のお経と異なり、世尊が舎利弗尊者に一方的に説きかけるのが特徴のお経だ。速い拍子で駆け足で読経される。速さゆえか、一緒に読経する参拝者はいない。

続いて如来堂から通天橋を渡り御影堂に向かう。通天橋から境内、山門を見渡す。周囲がさらに明るくなっている。

御影堂は巨大な御堂で、700畳を超える広大な空間がある。日頃はにぎわう堂内に自分一人。次第に参拝者が如来堂から移ってきた。この御堂には親鸞聖人の木像が中央須弥壇上に安置されている。木像が安置されている宮殿の扉はまだ閉じられている。僧侶が内陣裏から入堂する。すると、一人の僧侶が宮殿の前で深く頭を垂れる。その後、宮殿の扉が開け放たれる。念仏が至る所から聞こえてきた。
鏧の音が聞こえる。正信偈を唱え始める合図だ。調声の僧侶が「帰命無量寿如来」と唱え、他は「南無不可思議光」と続ける。さきほどの阿弥陀経と違い、ほぼ全員が唱えている。各々の音程で聞こえる。暗唱している参拝者もいる。
正信偈、和讃の次は説法。説法は当番の僧侶が自身の日常でのエピソードを交えて、法を説く。昨日の親子ゲンカの話が親鸞聖人の言葉とつながる。起承転結の整った説法は、落語に近い趣がある。後ろからご婦人方の話が漏れ聞こえる。爽やかで気持ちのいい人だったね、と。
お勤めが終わるのは8時前ぐらい。涼しかった早朝の風は、じりじりとした夏の暑さに変わっていた。

親鸞聖人の御遺歯が埋葬された御廟所に向かう。焼香台がある。作法に則って、額におしいただかずに3回焼香する。御廟を背景に、焼香の煙がくゆる。
良い朝になった。そう独り言を言って、帰路につく。
