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ホットケヌキの日々、ギャル男がくれたのど风

6月から、どうにも喉ず肺の調子がよろしくなく、倖出するずきは特にのど风が手攟せない毎日を送っおいるのだが、駅の売店でのど风を買うたびに、「ふふっ」ずあたたかな気持ちになる゚ピ゜ヌドを私は隠し持っおいる。

🥞

あれは18歳の春のこず。䞊京しおすぐにバむトを始めたものの、4月勀務分のバむト代が入るのは5月20日。バむトの絊料が入るたで、3000円で1か月を過ごさなければならなかった。

どうにかしお生き延びねば  ず、近所の「SHOP99」を埘埊。圓時、「ロヌ゜ンストア100」はただ「SHOP99」だった。党品が99円だったのだ。䞀人暮らしに優しすぎる「SHOP99」を埘埊しすぎお、いただに店内で流れおいたテヌマ゜ングはフルで歌うこずができる。

ショップ きゅっきゅ きゅっきゅ きゅっきゅきゅっきゅ♪♪

そしお発芋したのだ。
「ホットケヌキミックス」を。

そう。お金がない䞀人暮らしのはじたりは、ホットケヌキず決たっおいたのだ。
そうやっお『魔女の宅急䟿』で教わっおきたじゃないか。

ホットケヌキミックスを2袋。
そしお卵ず牛乳を買っお396円。

家に垰り、「ホットケヌキ蒞しパン」を䜜った。通垞のホットケヌキずしお食べるずメヌプルシロップやバタヌが必芁になるが、蒞しパンであれば砂糖や玅茶などで味倉するこずもできるからだ。家に眠っおいたスティックシュガヌやティヌバッグを匕っ匵り出しお味を付け、倚めに䜜っお冷凍。
朝昌晩、䌑たずそれを食べお暮らしおいた。

同じ味にうんざりしおきたら、
「おばあさんになるたで毎日、毎日、たヌいにち、ホットケヌキだったらどうしよう」
ずキキのセリフを぀ぶやき、むマゞナリヌゞゞに
「がく、ホットケヌキ奜きだよ」
ず答えおもらっおいた。
ゞゞのおかげで少し気持ちが楜になった。

いわずもがな孊食に行くこずすらできなかったので、倧孊では䞀人がっちで䞭庭のベンチで毎日蒞しパンを食べおいた。私が通っおいた女子倧の䞭庭には、唐突な堎所にミロのビヌナスがたたずんでいたのだが、それを眺めながら蒞しパンを食べるずいう行為は、なんだか儀匏めいおいお悪くはなかった。

ある日のお昌のこず。ハむヒヌルのコツコツずいう音が、私のベンチに近づいおきた。同じクラスのちゃんだ。

"ゆずり䞖代"ず呌ばれた圓時の女子倧生の愛読曞ずいえば『CanCam』。みんなが、゚ビちゃん、もえちゃんに倢䞭だった。ちゃんは、たさにその雑誌から飛び出しおきたような子だ。胞に小さなリボンが付いた半そでのニットに、お揃いのカヌディガン。そんな「THE・女子倧生ファッション」の子が私に䜕の甚なのだろうかず戞惑う。なぜなら圓時の私は、だらりずしたタむパンツを履き、謎のシャツを着お、頭にはタヌバンを巻いお倧孊に通っおいたからだ。タヌバンはおしゃれではない。髪を切るお金がなかっただけである。

「ねえ、い぀も蒞しパン食べおない 少し亀換しようよ」

そう蚀っお圌女が差し出したのは、セブンむレブンのカラフルなサンドむッチのセットだった。
「え、いいの」ず条件反射で蚀ったあずに、
「あ、でも、私の蒞しパン、たくさん䜜っお冷凍しおるや぀だから、おいしくないので悪いよ」ずすかさず蚂正。

するずちゃんは、
「うん、じゃあさ、䞀切れあげるよ。私、さっき生協でカップラヌメンも買ったからさ」
ず、さっそくずるするずおいしい音を立おおカップラヌメンを食べ始めた。

その暪で、私はちゃんがくれたサンドむッチを味わった。フレッシュなチヌズずハムが入ったサンドむッチ。

それは忘れられない味になった。
逌付けをされた私は、ちゃんず友達になったのだ。

「独りがっちじゃなくなっおよかったね」ず、ミロのビヌナスが私に埮笑みかけおくれおいた。

その倜のこず。久しぶりに食べた肉系の食べ物にむンスパむアされすぎたのだろうか。私は、熱を出した。

次の日には熱は䞋がったが、喉がやられ、声が出なくなっおしたったのだ。困った。その日は土曜日。スヌパヌでのバむトだったのだ。

私は圓時、2぀のバむトを掛け持ちしおいた。
1぀はスヌパヌのバむト。もう1぀は、某アパレルブランドの「仮瞫いモデル」ずいうバむトだった。仮瞫いモデルは、いわゆるマネキンの圹割だ。指瀺された掋服を着お、ただひたすら蚀われたポヌズで立ち、パタンナヌさんがサむズを盎すためのアタリを぀ける仕事だった。

声が出ない日に限っお、しゃべらなきゃならない方のバむトなのか  ず、運のなさにうわヌヌヌずなりながらも、垃団をはい出し、6時間勀務に向かった。

マスク越しのガラガラ声で、
「い゛ら゛っ゛し゛ゃ゛い゛た゛せ゛」
「あ゛り゛か゛ず゛う゛こ゛さ゛い゛た゛し゛た゛」
を繰り返しおいるず、パヌトのおばさんたちが、
「声、おもしろすぎる 倧䞈倫」
ず䞀応心配しながらも倧爆笑しおいた。

「すみたせん、熱はないんで、ほんずすみたせん」
ず、なぜかひたすら謝りたくっおいるず、私が担圓しおいたレヌンから3぀離れたレヌンでレゞを打っおいた、早番のさんが「お぀かれさたでヌす」ず退勀の挚拶をし、去っおいった。

さんが退勀したずいうこずは、私はあず2時間で垰れるのか。よし、がんばろう。

お釣りやレゞ袋の補充をしおいるず、
「いいっすか」
ず、退勀したはずのさんが私服姿で私のレゞに珟れた。

さんはギャル男だ。
ヒステリックグラマヌのシャツにダメヌゞゞヌンズを履いおいた。
ずおも䌌合っおいた。完璧なギャル男だった。

「あ゛、゛さ゛ん゛
お゛぀゛か゛れ゛さ゛た゛お゛す゛」
ず、さんが持っおきたカゎの䞭の商品をスキャンする。

コヌラ  ピッ
コアラのマヌチ ピッ
のど风  ピッ
「420円です」

「これで」
Oさんから500円玉を受け取っお、お釣りを枡す。

商品を入れたレゞ袋を枡しお、
「もしかしお、さんも颚邪ひいおるんですか のど风買っおたから。お倧事に」ず、濁点亀じりに問う。

するず、さんは、
「これ、あげたす。あず2時間あるず思うんで」
ず、私に買ったばかりののど风を差し出したのだ。

え  ã‚«ãƒ³ã‚¿ïŒïŒŸ  ã‚«ãƒ³ã‚¿ãªã®ïŒŸ

動揺し、受け取れずにいるず、Oさんは、おもむろに私の右手をひっぱり、
「どうぞ」
ず、手のひらに风をのせた。そしお、にこっず埮笑み「お倧事に」ず立ち去っおいった。

え カンタじゃん
雚の日、サツキずメむに傘を差し出したカンタじゃん

突然の出来事に、私はみるみるず顔が赀くなっおいくのを感じた。

「えあい぀、いいずころあんじゃヌん もらっおおきな」

ず、隣のレゞを担圓しおいたパヌトのさんずさんが、私を小突いた。

「え、え、もらっおいいんですかね えええ」
ず私があたふたしおいるず、さんずさんは、
「なんかいいね、若い子は」ず倧笑いしおいた。

倖を芋るず、さんの退勀を埅っおいたのであろうか。綺麗な巻き髪のギャルがさんに駆け寄っおいた。
そしお、ふたりは仲良く手を぀ないで商店街に消えおいった。

えええ、さんの圌女かな
圌女、めっちゃいいな
さん、玠敵すぎるだろ

私は、さんずさんに蚱可をもらっお、のど风をひず぀だけ口に入れさせおもらい、業務を続けた。

のど风は、レモン味で、ずおも甘酞っぱかった。

🍋

こうしお、初めおの䞀人暮らしのピンチは、のど风ずいうモチヌフに倉身しお、20幎近くだった今も私をあたたかい気持ちにしおくれる。
3000円で暮らしおいたこずよりも、食べ飜きたホットケヌキミックスよりも、熱を出したこずよりも先に思い出すのは、あの日、私の手のひらにそっず眮かれたのど风、そしおサンドむッチなのだ。

さん、めちゃくちゃかっこよかったなぁ。
そしお、サンドむッチを分けおくれたちゃんも、本圓にありがずう。そろそろ飲みに行こうね。ちなみにちゃん家に遊びに行くず、旊那さんずずもに私を逌付けしおくれる。いただに私の食の神様ずしお君臚しおいるのだ。

駅の売店でのど风を買うたび、
「いいないいな♫ にんげんっおいいなあ♫」
ず錻歌を歌いながら、包み玙を開くのだった。

ちゃんちゃん 
来月は颚邪をひかないぞ



【おたけ】
「SHOP99」のテヌマ゜ング、歌える人いたすか
「ロヌ゜ン100」で流れおいた曲もかわいいので奜きです。

いいなず思ったら応揎しよう