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東海・近畿 支線巡礼の旅(前編:近鉄とその仲間たち5)

ども!ゆさっちです。
朝一番に岐阜県のJR東海道本線美濃赤坂支線をスタートした前編もあと2つの支線をご紹介するだけとなりました。
思わぬ長編となりましたが、思えばここまで今日一日の出来事、後編分も含めて1泊2日の旅程なんですよね。
どの支線もキャラが濃くて、ついつい詳しくご紹介してしまっています(笑)

第6鉄目 近鉄道明寺線
歌舞伎と桜餅の名にゆかりのいにしえの路線

さて、前回たどり着いた王寺おうじから大和路やまとじ線で柏原かしわら駅にやってまいりました。

ここは大和路線の「かしわら」駅です。

早速脱線しますが、この柏原という駅、近畿地方に3つあります。
柏原を「かしわばら」と読めば滋賀県米原市にある東海道本線の駅になり、「かいばら」と読めば兵庫県丹波市にある福知山線の駅になります。
普通、同名となる駅名には旧国名や会社名を付けて被らないようにするんですが(例:越後湯沢、JR難波)、3つとも「柏原」という表記を貫いています。
前に待ち合わせ場所で青海あおみ青梅おうめと間違えたという逸話を聞いたことがありますが、3つとも近畿地方なだけにトラブルとかないんですかね?

青梅駅の掲示(青海駅までは2時間弱かかります)

さて、ここの駅で近鉄道明寺どうみょうじ線に乗っていきます。
JR→近鉄の乗り換えは交通系IC使用であれば改札を出ないでホームの端末にタッチでOKです。

ホームにはまだ電車が来ていません。
待つ間に道明寺線のご説明をしておきましょう。
この路線はここJR大和路線と接続する柏原駅と近鉄南大阪線の道明寺駅を結ぶ2.2kmのミニ路線です。
この路線ができたのは1898年(明治31年)でこれは近鉄の路線としては最も古いものです。
もっとも線路を敷いたのは別の会社で、例によって後年近鉄が買収して今の形となっています。

ミニ路線ですが3つの幹線を結ぶ役割を果たしています。

道明寺線の名前は終点の道明寺駅近くにある道明寺天満宮に由来するのですが、歌舞伎がお好きな方は『娘道明寺』という演目でご存知の方も多いかと思います。
また桜餅は東日本と西日本で形態が違うのですが、東日本側では西日本のものを桜餅ではなく「道明寺」と呼ぶことが多いです。
これはお餅の部分が道明寺発祥のほしいであることに由来しているそうです。

桜餅、左側が「道明寺」右は東日本タイプ(画像はフリー素材)

道成寺線はそんな歴史のある街を走るミニ路線です。
列車が入ってきました。早速乗車してまいりましょう。

2両編成の短い列車、土曜の夕方乗客は座席を7割くらい埋める程度。
車体をゆらしながらコトコトと走ります。
車窓には暮れなずむ郊外の町並みが広がります。

唯一の途中駅、柏原南口駅は小さな無人駅ですが近くに近鉄大阪線の安堂あんどう駅があって定期券に限りますが通しで利用でき、幹線間アクセスの役目を果たしています。
終点の道明寺までは僅か4分の旅。
先程の『娘道明寺』は映画『国宝』で演目の一つとして使われていましたが、この界隈でロケもやっていたようです。
いつか時間があれば道明寺を訪れてみたいものです。

道明寺からは南大阪線の列車を乗り継いで、近鉄編最後の支線御所ごせ線の接続駅尺土しゃくどに向かいます。

第7鉄目 近鉄御所線
かつて熊野灘を目指したうたかたの夢の跡

日も西に傾き周囲をオレンジ色に染める中、近鉄南大阪線の尺土にやってまいりました。
ここから近鉄編最後の支線、御所ごせ線に乗っていきます。

路線図、終点の近鉄御所駅の近くにはJR和歌山線の御所駅もあります。

御所線は南大阪線の尺土駅(奈良県葛城かつらぎ市)と近鉄御所駅(同御所ごせ市)を結ぶ5.2kmの路線です。
ホームで待つことしばし、御所方面から4両編成の車両がゆっくりと入線してきます。

土曜日とは言え夕方のラッシュアワー、南大阪線のホームは家路に向かう方で賑わう中、電車から降りてきた方も乗り込む方もその数はぽつぽつといった印象です。
発車時刻になるとこの駅の喧噪からひっそり逃れるようにそろそろと終点の御所に向けて歩みを進めていきます。
車窓にはしばらく葛城市の市街地の光景が流れた後、国道168号線がすっと寄り添ってきます。
沿道には外食チェーン店やドラッグストアが並び、そして家路に向かう車の列、どこにでもある夕刻の郊外の幹線道路沿いの光景が広がります。

そして自分にとっては少しだけ見慣れた風景、この国道168号線はこの先五條ごじょう市を通って、十津川とつかわ村、和歌山県に入って新宮しんぐう市までいくルート、そう前のエピソード『最長路線バスで巡る紀伊半島縦断の旅』で乗った日本最長の路線バス八木新宮線のルートなんです。
御所線に乗るのはこれが2回目なのですが、バスの方は5回程度乗っていていつもバスの車掌から「あぁ、ここが近鉄の果てか」と見ていた風景を今日は電車の窓から見ています。
尺土から8分、列車は静かに終点の近鉄御所駅に入線します。
決して多くはない乗客が改札口から家路に向かうと、夕闇の迫るホームは静寂に包まれます。
以前来た時は駅員さんがいたけど、いまは無人化されてしまったようです。

ここは近鉄の「果て」のひとつ
人気(ひとけ)のない静かな構内
駅正面はこんな感じ

さて、ここでこの御所線のお話をしまましょうか。
まずは御所ごせという難読で印象的な名前ですが、まあ御所市にあるから御所駅なのですけど(笑)
その地名の由来としては諸説あって、5つの川が集まるところ「五瀬」(ごせ)→「御所」になったという節や第5代孝昭こうしょう天皇のみささぎ御所ごしょ)があったという説などがあり、どれもいにしえより歴史を紡いできた地であることを感じさせます。
近くにかつて修験の地であった葛城かつらぎ山に登る近鉄が運営するロープウェイがあり、ここからバスでアクセスすることができます。
元旦には山頂から初日の出を見る方で賑わい、この御所線もその日は午前3時頃まで終夜運転するそうなんです。

そしてひとつ感じることは「ここが終点であることの違和感」なんです。
中途半端なところで唐突に終わってるんですよね。
駅周辺は国道沿いに駅前とあって幾ばくかの商店はあるのですが、市街地ではなく、前述のここを通る八木新宮線のバスもまず五條を目指していますし、国道を挟んだところにあるJR和歌山線の御所駅も五条を経由して和歌山に繋がっています。

多くの終着駅を訪れてきた中でこういう「らしくない」場所にある終着駅は「未成線」であることが多く、果たしてここ近鉄御所線も未成線なのでした。
未成線というのは当初の目的どおり完成できなかった路線のことで、机上の図面だけで終わったものもあれば、終点に達することのできなかったもの、完成したけど列車を通せなかったものなどその形はいろいろです。
「果たせなかった夢」的な哀愁とロマンがあって好きなジャンルで、これまでにもJR名松線やJR越美北線えつみほくせん長良川ながらがわ鉄道などエピソードにしていますので、お時間のある時にご覧ください(CMタイム)

御所線はこの先五条まで伸びて、国鉄が計画した…いえ、途中まで作ったものの列車が走ることのなかった五新線ごしんせんに乗り入れて熊野灘沿岸の新宮しんぐうを目指していたんです。

御所線は五条に達したあと…
奈良から太平洋を目指す壮大な計画でした

そんな五新線自体も途中で計画が挫折し、国鉄と近鉄が目指した奈良から太平洋を目指す計画はうたかたの夢と消えたのでした。
先に『最長路線バスの旅』でお話したこの地域(十津川周辺)の状況を見てもほぼ無理筋の計画だった印象です。
でも紀伊山地の中をひたすら走って熊野の海を目指す列車、個人的には乗ってみたかったなぁ(笑)

静かに帰りの列車が入ってきました

さて、これにて予定していた近鉄の支線巡りは終了。
後編となる南海編に備えて今夜のうちに和歌山市に移動です。
目の前にあるJR御所駅から和歌山線に乗れば乗換なしですが、これがトラベルミステリー(『南紀殺人ルート』西村京太郎著)のトリックに使われるくらい遅い(笑)
てなわけで、ミステリーの犯人よろしく近鉄南大阪線で大阪阿部野橋おおさかあべのばしまで一旦戻ります。
和歌山市内のホテルを目指して移動していきますが、今日のこの旅まだ「夜勤」があるのです。(笑)
その辺りはまた次のお話といたしましょう。
次話もぜひぜひご覧ください。
ゆさっちとのお約束だよ。

大阪阿部野橋駅、ターミナル駅だけあってめっちゃ混んでました

(続きます)

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Sony α7c II
FE 24-105mm F4 G OSS
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