最長路線バスで巡る紀伊半島縦断の旅(第3話)
どもゆさっちです。
京の都を振り出しにふらっと出かけた「最長路線バス」八木新宮線の旅。
前話では奈良県十津川村にある「天空の郷」果無集落を訪れたところまでお話しました。
今回はゴールまで行きます。
はじめてご覧になる方は是非第1話からご覧ください。
今回構成上、ちょっと長文になってます。お時間のあるときにお読みください。
さあ、先に進みましょう。
十津川村役場のバス停から新宮行のバスに乗り込みます。
昨日の午後からの滞在でしたが、すんとした山の霊気、穏やかな人の営み、食、酒、いで湯。
煩雑な日常で疲れた心身を癒やしてくれました。
「ここで降りてよかった。また来たいなぁ」

さあ、バスの中は意外に混んでいて、海外から来られたかたの姿も多く見られました。
ここからラストの新宮までインバウンドの方が非常に多かったのですがどなたも此地の文化をしっかりリスペクトされていて、巷間言われているような懸念は一切ありませんでした。

やがてバスは県境を越えて和歌山県に入り、昨日から車窓に寄り添ってきた十津川は熊野川と名前を変えます。

この辺りから川幅は広がり、最終的に新宮の市内にいたる頃は雄大な大河の面持ちとなります。


十津川村から小一時間、熊野本宮大社のバス停に到着、大社はバス停のすぐ向かいに鎮座しています。

ここに神社を祀ってもう2000年ほど経つそうです。
そして世界遺産で知られる熊野古道も古人が畿内からここに詣でる祈りの道でした。
この地を初めて訪れたのはかれこれ20年前、癒やしと気を求めて全国の神社を巡っていて、ここに来た時に周囲の山河を含めてその神さびた佇まいに触れて「あぁ、太古の人はこの感じに霊的なインスピレーションを得て神様を祀ったんだろうなぁ」と感じました。
実際には目の前にある社は少し離れた川の中州にあった旧社が洪水で流されたため、1891年にこの地に移されたそうなのですが、それでも鬱蒼とした社の杜に入るとき、神域に入ったなぁと確かに感じます。
では入って見ましょう




そして境内のあちこちで見られるのが三本足の八咫烏。
ここ熊野本宮大社のシンボル的存在です。
三本足のカラスなんてブッキーだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、八咫烏くんは古来より「導きの神」であり、三本の足はそれぞれ天地人を表していて、神も自然も人も太陽から産まれたことを表してるらしいです。(諸説あり)
「勝利に導く」という意味で日本サッカー協会のエンブレムになっていることを御存知の方も多いと思います。




おいらも家内も今年は丙午の還暦、笑って暮らせるよう、そして病気がちな母親の健康を祈り、お守りも授かりました。

時間の都合で元の社跡の大斎原は時間の都合で遠くから大鳥居を見るだけでしたが、ここも時間があれば是非。
気がびんびんと伝わるパワースポットです。

さて、陽が山の端に隠れ、防災無線のオルゴールが17時を知らせあれ程溢れていた人並みが消えて辺りを静寂が包みます。
「さてご飯だ」(笑)
今宵の宿は湯の峰温泉に取りました。
この温泉は1800年以上前からあるそうで、熊野詣での禊ぎと旅の疲れを癒やす役割を果たしてきたそうです。
湯の峰温泉へは大社前からバスで20分ほど、ここも八木新宮線のルート上にあります。
お世話になるのは湯の峰温泉の中心地から少し離れた「湯の峯荘」。

今日も歩き回ってポンコツの足腰はガタガタ、早速お湯に飛び込みます。

「お、おう…」今日も…溶けます。
昨日の十津川温泉に比べると硫黄の香りをしっかり感じます。
筋肉痛・関節痛、糖尿病にも効能があるようで、しっかりお湯に浸かっておきましょう。
さあ、待ちに待ったごはんです。
宿泊客の多くはインバウンドの方で、食事スタイルの違いに関係かお部屋食になっています。







写真の他にも食べきれない程のご馳走が出てきました。
ここは山の中ですが、勝浦などの漁港も遠くないところにあって、お魚もとても美味しかったです。
とくにマグロの中トロは最高でした。
お部屋食はのんびり食べられていいのですが、焼肉の香りが翌朝まで籠もっていたのは夜中にお腹が空いてちょっとアレでした。(笑)
さあ、朝です。
今日も宿の心づくしの朝食がうまいっす!
温泉で炊いた茶がゆ最高です。

最終日は基本南紀白浜空港から18:45の羽田便で帰るだけなのですが、もうちょっとだけお付き合いください。
ここからはバスで沿岸部に出るのですが選択肢は2つ、新宮駅か紀伊田辺駅です。

所要時間は紀伊田辺駅に出る方が短く、空港へのアクセスもいいです。
でも急ぐ旅でもなし、のんびり紀勢本線の車窓を楽しみたかったので新宮に出ることにしました。
やっぱ、自分の旅に乗り鉄の要素は欠かせないです。(笑)
宿の方に相談すると、最寄のバス停は湯の峰温泉のバス停のひとつ先で、湯の峰温泉からめちゃめちゃ混むので、車でそこまで送ってくださるとのこと。
到着したバス停は湯の峰温泉の中心地にあり、雰囲気のある宿屋が軒を並べています。
今度はこっちに泊まるのもいいなぁ。



バスは1時間ほどで新宮駅に到着です。

新宮駅は和歌山県の紀勢本線の最東端、東隣の駅はもう三重県でこの新宮駅がJR東海と西日本の境界駅でもあります。
今日はここから空港の最寄駅の白浜駅まで各駅停車でのんびり行こうと思います。
時刻はまだ10時前、次の各駅停車の発車時間まで2時間弱あります。
まあ、ゆっくり待ちましょう。
まだ3月の中旬とはいえ熊野灘から渡ってくる風は心地よく、ベンチにのんびり座って列車を待ちます。
いつの間にかベンチでうとうとしていると、駅構内に元気な声が響いて目を覚まします。
見ると近くのこども園のお友達が先生に連れられて駅に列車を見に来ていました。


こども達は改札口の前から興味津々のまなざしで駅構内を見ています。
惜しむらくは構内に停車している列車がなかったのですが、それでもこども達の目は何かを焼き付けるかのように真剣でした。
地方の鉄道は、過疎化や少子化の影響で衰退の一途を辿っています。
この新宮駅にも来る度に何かがなくなっています。
大阪と名古屋方面に多くの特急が出ている駅ですが、今日訪れた際は前回あったみどりの窓口がなくなり、指定席券売機が代わりの役を果たしていました。
こういう傾向を止めることはできないけど、鉄道という移動手段があることをこども達には知ってほしいなぁ。
そういう意味で、駅にお散歩がてら見学に来るこども達を見たことを頼もしく思いましたし、むかしむかしの自分を思い出しました。
できれば鉄道を好きになってほしい(笑)
てなことを考えつつぶらぶらしていれば2時間はあっという間です。
ホームに紀伊田辺行の列車が入線しています。
これに乗り込みましょう。

列車はJR西日本の新鋭227系の2両編成。
おろしたてのようで、乗り込むと新車の香りがします。
平日お昼前の列車、乗客はその2両編成をも持て余すようにガラガラでした。
新宮駅を出発すると進行方向左側の車窓には、青空と青さを競うような真っ青な熊野灘の光景が広がります。

ここから先はしばらくオーシャンビューの車窓。
北海道の函館本線の内浦湾に沿う眺めもいいけど、ライトブルーにすこんと抜ける南の海の光景も格別です。

お昼を回り、お腹も空いてきました。
串本で途中下車してランチにしましょう。
ここは本州最南端の駅でもあります。


前に来た時、衝撃的にうまかった「萬口」さんのカツオの茶漬けを…あう…臨時休業ですか。
では「サンドリア」さんのイノブタを使ったプレミアムハンバーグ…売り切れですかぁ…
背に腹は代えられません、普通のとんかつ定食を。
旅をしているとこういうことはあります。
自分は「またここにくる理由ができた」と思うことにしています(笑)
ふたたび紀伊田辺行の普通列車に乗って最終目的地の白浜駅までラストスパート。

車窓には引き続き熊野灘の穏やかな海原が広がります。

そして白浜駅…着いちゃった(笑)

ここから空港までは路線バスで移動となります。
空港直行バスはなく、コミュニティーバスのように町内の要所をひととおり回って空港が終点となります。
途中パンダのいなくなった「アドベンチャーワールド」も経由、ここは初見ですが乗り込む人も少なく、寂しげな印象ではありました。
南紀白浜空港は羽田に向けて1日3便のみのフライト
18:45の便を待つ間、搭乗口の横にある大相撲中継を最後まで見ることができました。
これで新幹線経由で福島まで当日中に帰れるのです。
新宮基準で考えれば大阪からも名古屋からも特急で3時間半を要する所ですが、空路だと1時間ジャストのフライト、単純に羽田までは伊丹よりかなり近い位置にあります。
アクセス方法によってだいぶ印象が変わるなと、感じました。
普段ANAを使う自分(青組といいます)にとって久々のJAL。
JALの夜間飛行は着陸時に照明を落とすのが特徴。
羽田着陸を控えムーディーなほの暗い機内で今回の旅を振り返り、「今回はめっちゃのんびりしたけど、紀伊半島に行くときはもっとゆっくりのんびりしたいなぁ」
そんな事を考えていました。

※ご覧いただきありがとうございました。
次回作でまたお会いしましょう。
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