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東海・近畿 支線巡礼の旅(後編:南海とその仲間たち1)

ども、ゆさっちです。
今回のお話を書く前(6月8日〜11日)に鳥取を旅してきました。
いい温泉に浸かって、おいしいお酒やお魚さんたちを堪能してまいりました。
この旅の模様は『支線巡礼の旅』シリーズ終了後に改めてお話したいと思います。
お楽しみにしていただけるとうれしいです。

では、本題に戻りましょう。
脱線はいつものことですが、今回は旅行記要素薄めで途中からVシネマ調になってしまっています。(笑)
でも南海編を読んでいただくときに、知っていると楽しめる事柄ですので、よろしければご覧くださいませ。

第8鉄目 JR紀勢本線(紀和線)
南海と阪和の「仁義なき戦い」の燃え殻
前回は近鉄の支線巡りを終えて大阪市内の近鉄の大阪阿部野橋おおさかあべのばし駅に着くまでのお話でした。
今回は先ずこの駅の向かい側にあるJRの天王寺てんのうじ駅から列車に乗って和歌山に移動していきます。

ところで大阪の鉄道って乗り継ぎ駅なのに名前が違ってたりして初見殺しのところがありますよね。
関西の方は驚かれるかもしれませんが、地元福島県の方で大阪駅と梅田駅が同じ所にあると知っているのは体感5%くらいでしょうか。
天王寺駅と大阪阿部野橋駅が同じところあると知っている方はもっと少ない印象です。

まぁ、こちらは理由らしきものがあって向かい合って立っているふたつの駅の間には区の境があって天王寺駅は天王寺区、大阪阿倍野橋駅は阿倍野区にあるんです。
気持ちはわかるけど、乗客には判りづらいですよね。(笑)
関東だと品川駅が品川区でなく港区にあったり、目黒駅が目黒区でなく品川区にあったり結構ガバガバなんですが…。(笑)

また脱線しちゃった(確信犯)。
今回私たちを和歌山に誘うのはパンダ柄のこやつ…。

特急くろしお27号新宮行です。
和歌山と言えばパンダ…でした

ご存知のとおりきのくに線沿線の南紀白浜にはアドベンチャーワードがあって、パンダちゃんに会うことができたのですが、諸般の事情で今は不在となり、車両のラッピングだけが記憶の欠片のように白浜にパンダちゃんがいたことを物語っています。

土曜の19:30、ホームは家路を目指す方たちで賑わっていて、くろしおの車内も休日を大阪で過ごした方たちでほぼ席が埋まっています。

列車は他の列車のトラブルもあり7分遅れで出発、おいらの降りる和歌山駅までは阪和はんわ線を走ります。
通過駅にも多くの人が列車を待っていて、そんな車窓を眺めながら、和歌山駅までは50分ほどの旅でした。

時刻は9時ちょっと前、ここで軽く晩ごはん。
そういえば今シリーズ、グルメ要素少なめですよね…すみません(笑)
で、和歌山駅の駅ビルにある丸美まるみ商店さんで和歌山ラーメンを。

意外にあっさり

和歌山ラーメンの特徴といえばとんこつと醤油のハイブリッド、麺は細めのストレート。
と聞いてイメージするほどギトギト系ではなく、コクはあるけど意外にサッパリ、大変美味しくいただけました。(このお店は学割があります。アラカンのゆさっちも学生証を提示しておまけしてもらいました)
おっと次の列車の発車時刻が…本数が少ない路線なので急ぎますよ。

先程乗ってきた特急は大阪方面からここまで阪和線を通ってやってきて、ここから先新宮方面はきのくに線(紀勢本線)を走行します。
じゃあ、紀勢本線の起点(終点)は和歌山駅?
それがちょっと違うのです。路線図をご覧ください。

なんか紀勢本線にきのくに線と紀和線のふたつの区間がありますよね。
今いる和歌山駅から南海の和歌山市駅に向けて支線のようなものがちょろっと出ています。
さあ、ホームにあがっていきましょう。

紀勢線の下に小さな文字で「紀和・和歌山市方面」と

あれ?今いるのは紀勢線(きのくに線)のホームなのに、紀勢線は乗り換えとでていますよね。
紀勢本線はここから三重県の亀山駅に向かう路線で、そのうちJR西日本の管轄となる新宮駅までには「きのくに線」の通称が与えられて駅や列車での案内も「きのくに線」で行われます。
でもこの区間は「きのくに線」に入れてもらえませんでした。
前述の「紀和線」は区別のためそう呼ぶ人もいる程度で、公式に使われることはありません。この区間は単に「紀勢線」と呼ばれます。
なんか、みんな「まるちゃん」とか「たまちゃん」とニックネームで呼び合ってるなかでここだけ「野口さん」と本名で呼ばれているよそよそしさがあります(笑)

227系4両編成の短い列車

こんな形になっちゃってる理由は、とりあえず列車に乗ってからお話しましょう。
ちょぼちょぼの乗客をのせた列車は唯一の途中駅紀和駅に停車します。

かつての和歌山駅だった紀和駅、今はひっそりと

先程の地図を地図に書かれているとおり、ここは昔の「和歌山駅」だったんです。(1968年まで)
先程特急から降りた和歌山駅はそれまで東和歌山駅を名乗っていたんですね。
これは国鉄、南海、阪和(今は消滅)の三つ巴の抗争(笑)があったせいなんです。
近鉄がVシネマの『日本統一』なら南海は『仁義なき戦い』、『アウトレイジ』でもいいです。(笑)
この関係は南海編を語るうえで知っておきたい歴史なので、お話します。
付いてきてね(笑)

「南海組」(笑)が旗揚げしたのは1884年(明治17年)、これは純粋な民間企業としては日本最初の鉄道会社でした。
南海はがんがんと勢力を拡大し1903年(明治36年)には難波-和歌山市間、今の南海本線を全通させます。

当時の南海の代紋…もとい社章


これを苦々しく見ていたのは、和歌山進出に出遅れた「親方日の丸会系国鉄組」。
和歌山から紀伊半島方面の紀勢本線に着手しつつ、大阪方面への接続に目途が立たない中「まあええ、こちとら親方日の丸じゃ、南海に傘下に入れいうたらすぐにキャン言うじゃろ。買収して線路ごと使えばええ」と目論みます。
しかしこれが大誤算、南海を支えている関西の経済界、堺の商人時代から相手が信長であっても簡単にシノギを手放す相手ではありません。
関西財界の猛反攻で国鉄組の南海買収作戦は失敗に終わります。

この状況の中、和歌山進出を虎視眈々と狙っていたのが1926年(大正15年)に旗揚げした新興勢力の阪和組(阪和電気鉄道)。
おいしい海岸沿いの「シマ」はすでに南海に押さえられていたので一計を案じ国鉄組にある計画を持ちかけます。
「紀勢線、大阪へのアクセスでお困りでしょう、うちが開通したら東和歌山から天王寺方面へ行っていただいて…」
日の丸会の後押しもあったのか、会社設立から3年で天王寺から和泉府中いずみふちゅう、翌年には東和歌山までとめちゃくちゃなスピードで路線を完成させます。
はい、これが今日天王寺からやってきた現在のJR阪和線なんです。

阪和電気鉄道(当時)の代紋(社章)

ここに南海と阪和の間でガチンコの争いが発生します。
南海はサービス向上で対抗。
車内に喫茶室を設けラジオで音楽を流したり、今でいうグリーン車や当時電車にはなかったトイレが設けられました。
これ全部大正時代の話です。
そして1936年(昭和11年)にはエアコン(冷房)まで導入されています。
南海の急行は約90分で難波-和歌山市間を結んでいました。
この時間を覚えておいてください。

これに対して阪和組はスピードで勝負。
お役所からは最高速度は95km/hで認可を受けていたんですが、当時の構成員…もとい運転士さんの証言だと「あぁ、130km/hは出してたなぁ…」(※音声は変えています)だそうです…。
決してこっそり違反していたわけではなく、宣伝文句は堂々と「時速120キロ、日本一の高速電車。」
これが許されていたのはやっぱりバックに「親方日の丸会」がついていたからですかね?(笑)
てなわけで天王寺-東和歌山(現・和歌山)間の所要時間は普通80分、急行65分。
これに物足りなかったのか私鉄初の「特急」を設定して所要時間は48分ともう無双状態。
国鉄でも特急は「燕」と「富士」しかなかった時代です。
そして1933年、ドイツではナチスが政権を取ったこの年、阪和は「超特急」を新設、所要時間は45分。鉄道界の高速部門で覇権を握ります。
平均速度(表定速度)は81.6km/hでこれは戦後に電車特急のエース「こだま」ができるまで破られませんでした。
今日乗ってきた特急くろしおでも天王寺から50分かかりました。
足が速いことで知られている「スーパーはくと」とほぼ一緒の快速っぷりです。

はくとです、おいらも結構速いよ

南海と阪和の抗争は永遠に続くかと思われたんですが、第二次世界大戦が始まると鉄道は軍事物資の輸送を最優先とするため、国主導で統合が進められます。
関東でも小田急、京急、京王、相鉄が東急に吸収されます。
この抗争も国の命令で強制的に「手打ち」となり、阪和組は南海組に吸収されてしまいます。
その後国鉄組から「やっぱ阪和線はもらっとくわ」となり、ほぼ現在の形になりましたとさ。
とっぴんぱらりのぷう。
まぁ、南海と旧阪和はめっちゃ仲が悪かったということをベースに後編が進んでいきます。

さあ現実世界に戻ってまいりました。
そんなわけで今停まっている紀和駅(旧・和歌山駅)は国鉄の紀勢本線の起点としてできたもののほとんどの列車は手前の東和歌山駅から大阪方面に行ってしまったので、支線のような形になってしまったんです。
そして「和歌山駅」の称号は東和歌山駅に移されることになったんですね。
そして南海の「和歌山市駅」の周辺は無視できないほど発展したので、国鉄さんも南海に頭を下げて和歌山市駅の軒先を借りることになったんです。
紀和から先は線路も南海から借りています。
そう、紀勢本線の起点(終点)は和歌山市駅なんです。
列車はその南海のターミナル駅、和歌山市駅の端っこにひっとりと入線します。

和歌山市駅の端っこにひっそりと
駅名標もJRでなく南海仕様
こぢんまりしたJR専用改札

岐阜県の大垣を振り出しにスタートした支線巡りの旅、ようやく今日の宿のある和歌山市までやってきました。
このまま宿に泊まるはずだったんですが、この旅に出かける直前、あるニュースが飛び込んできて、チェックインする前にもう一路線乗ることになりました。
その模様は次回お話いたしましょう。
また読んでくださいね。
次回からは真面目にやりますから許してください。(笑)
ゆさっちとのお約束だよ。
(続きます)

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