パンとチョコと兄さん

パンが食べたい。
チョコが食べたい。
スーパーに行ったら高くて迷う。
別に買えないわけではない。
安い頃を知りすぎていて、ひるんでいるだけ。
棚の前、立ち止まる。
物色する。
結構佇む。
ジッと、ジーッと、上下左右。
最後に天を仰ぐ。
夕飯の材料買った方がいいよなと足が動く。
魚みる。肉選ぶ。豆腐さがす。野菜手に取る。茄子、カゴに入れる。
まだいる、頭の中に。
パンとチョコ。
向かう。
手に取る。カロリー見る。栄養素見る。値段見る。考える。
なくても生きていける。喜びは一瞬。また欲しくなる。終わらない。
棚に戻す。
そうだよ。チョコと茄子、値段一緒だよ。茄子のほうが使えるよ。間違ってないよ。
茄子の袋、触ってあげる。
でもたまには迷わず買える人になりたい。
「全部買っちゃいなさい。何に遠慮してるの。」
なんて言ってくれるマダム、現れないかな。
「こちらの端からあちらの端まで、すべてお持ちいたします、お嬢様。」なんてカゴに入れてくれる執事、いないかな。
視線を逸らす。
米粉、ココアパウダー、ベーキングパウダー見つける。
カゴに入れてみる。
「オレ、けっこういい仕事するゼ」
米粉の袋が誇らしげに寝転んでいる。
米粉買ってる私、いいんじゃない。
その気になって、米粉蒸しパンチョコ風味作っちゃう。
玉子割る。牛乳入れる。粉混ぜる。タッパーに流す。レンジに入れる。2分待つ。
チン。
ふわっふわ。
あま〜い。
おいし〜い。
これこれ〜。
パン、食べた。
チョコも、食べた。
米粉信じた私、私が褒める。
「なるほど、そうきたのね。いいわね。」
マダムが笑った。
「お見事です。」
執事が頷いた。
「だろ?」
米粉が私を見ている。
みんな、ありがとう、おいしい。
「次は茄子にまぶして揚げてみな。」
‥‥米粉兄さん。


