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302話 オイルマネー・コード 6話 舞台の照明 Stage Lighting LaLaLaさん企画 参加作品 【オイルマネーコード編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~



その日は潮風ホールを借りていた。

学校の関係者、友達、父兄、卒業した先輩たちが来ている。

200席程度の小さいホールではあるが、席はとびとびに埋まっている。





ホールの照明は、海沿いの湿気がレンズに薄い膜を作るようで

光が柔らかく滲んで見える。

健人は、中心近くの男声パートの後列にいる。

その両側をソプラノ、アルトが並び、小さめのホールなので

舞台の合唱団は大きく見える。



指揮者と並んであいさつしたレイが、ピアノを弾き始める。


ホールの空気は一気に静まり返った。

何曲か続けて演奏がある。




曲が移り変わるまえの、演奏が止まっているとき


天井の照明が、

ほんの一瞬だけ、呼吸するように明滅した。


0.13秒。

誰も気づかないほどの短い揺れ。




しかし維吹は、その周期に胸がざわついた。

潮風ホールの照明は古い。


湿気で時々ちらつくことはある。



だが、今の揺れは違う。



まるで、世界の半導体供給網が軋むときの断層周期と同じだ。

ポケットの中でAIONが微かに震える。



維吹はスマホをそっと開いた。

画面には、照明の揺れを解析した波形が表示されている。


「照明の明滅周期が、

 半導体供給網の断層モデルと一致しました。」


音を消したスマホの画面に、AIONのその文字が流れる。



「やはり・・・今のが・・・」


「・・・なんで、こんな小さなホールで?」







「未来の断層は、日常の微細な揺らぎとして現れます。」



照明は何事もなかったように光を放ち続ける。




健人たちの声がホールを満たしている。





この曲が、コンクールの曲なのはわかっている。





観客は誰も異常に気づいていない・・・


しかし維吹は、天井の光の奥に、

世界の未来を支える細い半導体の糸が震えているように見えた。


潮風ホールの照明の揺れは、

ただの湿気によるノイズではなかった。









それは、世界の未来が折れ曲がる瞬間の予兆だった。







終わった後、維吹のところに来た健人が嬉しそうに言った。








「どうだったかな・・・例の曲は?」







「え?・・・あ・・・照明がよかったな!」









「は?」










唖然とする健人の後ろに、困ったように立ち尽くすレイの姿が見えた。











LaLaLaさん企画 オイルマネー・コード 参加作品
【お題】小説原案&プロットを使って小説書いてみて!






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