14万円を惜しむか、21歳を惜しむか。
14万円を惜しむか、21歳を惜しむか。
限定解除。
AT限定からMTも乗れるようにするのとは訳が違う。
この世の全てのナンバー付きのオートバイに公道で乗れるようになる(私に取っては)特別な免許だ。
今時は教習所でできる。
わざわざ、片道1500円と1時間と30分をかけて、周辺の道路が馬鹿みたいに混む免許センターまで行かなくとも、広島県北、具体的に言うと三次の教習所で規定の技能をマスターしたら取得できるのだ。
…そう、規定の技能を習得したら、だ。
立ちゴケで喜んでいるようでは無理だろう。
大型乗り、とは中免ライダーの憧れ…とはいかなくとも、技能的にも所作も手本になる存在でなければならないと私は思っている。
少なくとも、私が公道で出会った、あるいは関わった大型乗りは、250に乗って私から見るとカッコよかった。
高速でスピードを何キロ出した、とか交番のお巡りさんのスクーターやミニパトを振り切った、だとか自慢げに言うような人間にはなりたくない。
もっと言うと、カスタムに何十万円かけた、だのプレミアムモデルに乗ってるだけで自分は特別な存在だと自己認識するような人間にもなりたくない。
私は、企業の商品を商売道具や自己アイデンティティの道具にしたくない。
乗りたいモデルもある。
しかし、生活の都合でいえば、すぐに乗れるわけではない。
現行を選べば、令和にCRMに乗っててできなかった、社外カスタムだってやろうと思えばできるだろう。
…まぁ、自慢のためにパーツを変えるくらいならガソリン代に充てたい、というのが本当のところだが。
しばらくは、大型どころか原付スクーターすら買えそうにない。
しかし、平日に教習所に行く時間はある。
体力だって、うだうだ悩むくらいなら今のほうがあるだろう。
それに、どう考えてもそっちの方が精神衛生にもいい。
それに今なら、教習料金にも若者割り引きが適用されるようだ。
教習費用の月賦払いも、一段と楽になるだろう。
大型のハイパワーなやつに乗りたいか、というとそうでもない。
もとより、フルカウルとセパハンの組み合わせは苦手だ。
ガンダムや昆虫のようなライトのデザインのバイクも、どちらかというと好きではない。
今の国産の大型は並列エンジンが主流だ。
4発だって、令和になって復活した。
大型バイクに拘る合理的な理由はないはず、だった。
Vツインに興味が向かなければ。
SV650の終売のアナウンスが出なければ。
VTRもVFRもVRXもボルトもSCRもディスコンした。
V型で地方で維持できそうなやつ、というのはもう最後かもしれない。
一台目に、一目惚れでCRMに乗った。
次に乗りたい、これなら理屈抜きで乗りたい、というモデルがしばらく見つからなかった。
CRMを手放した傷もまだ癒えてない。
ほいほいとスズキの650に乗るのではCRMからの視線も気になる。
…でも、KeyのAIRに出てきた90度V型、鋼管トレス、という組み合わせに乗れるのは最後かもしれない。
絶版車になって年数が経つと、苦労も増える。
新車も消え、中古車の傷も増えていく。
CRMを手放した時、バイク屋さんは「焦るな、若いんだから時間はある」と言われた。
若いから時間がある。
それは本当だと思う。
でも、若い時間は、若いうちしか使えない。
バイクは、あとからでも買える。
免許だって、理屈の上では何歳でも取れる。
それでも、平日の昼間に教習車へ跨がれる21歳は、たぶん今しかない。
14万円を惜しむか。
21歳を惜しむか。
私はまだ、その答えを出せずにいる。
だから今日も、教習所のホームページと、SV650の中古車情報を行ったり来たりしている。
……10年後の私は、この迷いを笑っているだろうか。
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