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猛暑を乗り切る夏のライフハック|元エアコン職人が教える お金をかけずに家を涼しくする小さな工夫

エアコンを直すのが長年の仕事だったのに、いざ自宅が猛暑になると締め切った部屋で扇風機を自分に向けて「ぬるい風しか来ないぞ」と汗だくで首をかしげていた防災たろうです。

40代・共働きで毎日くたくた。暑さで気力まで溶けかけている……という同志のみなさん、こんにちは。

環境省と気象庁は先日、これから8月にかけてが一年でいちばん暑い時期になると発表しました。早めの暑さ対策をとも呼びかけています。梅雨明けも目の前です。つまり夏本番はこれからなんです。

今日は根性の話でも高い道具の話でもありません。お金をかけずに今日からできる「家を涼しくする小さな工夫」を、元エアコン職人の目線でお届けします。むずかしいことは一つもありません。今日の帰り道に、少しだけ試したくなる工夫ばかりです。読み終えたころには、きっと部屋の空気が少し軽く感じられるはずです。

猛暑は根性で乗り切るものではなく小さな工夫で涼しくできる

まず結論からお伝えします。この夏を乗り切るのに必要なのは我慢の量ではありません。涼しさは「作れる」ものです。そしてそのコツは、ほんの少しの工夫にあります。

涼しさは我慢比べでなく工夫で決まる

暑い夏を「気合いで耐えるもの」だと思っていた頃の僕は、汗をかきながらただじっとしていました。歯を食いしばって夏をやり過ごすのが当たり前だと思っていたんです。

でも涼しさは、空気の動きと熱の出入りを少し変えるだけで生まれます。頑張って耐えるほど体力を削るだけ。じつはいちばん損な過ごし方なんです。

熱中症の一番の現場は炎天下でなく家の中

意外に思われるかもしれません。熱中症で運ばれる人がいちばん多い場所は炎天下の屋外ではないんです。

総務省消防庁によると、昨年に熱中症で救急搬送された人は全国で10万510人。過去いちばん多い数でした。その発生場所は「住居」がいちばん多くなっています。涼しくしているつもりの家の中こそ、じつは油断しやすい場所なのです。

今日渡すのは三つの工夫と停電時の逃げ道

今日お渡しするのはたった三つの工夫です。ひとつ、風を動かす。ふたつ、熱を入れる前に止める。みっつ、体の一点を冷やす。

どれもお金がかからず今日できます。しかもエアコンの効きまで助けてくれます。おまけに停電でエアコンが止まった猛暑日にも、家族を守る逃げ道になってくれるんです。

なぜこの夏ちょっとした工夫が命を守るのか

一年で一番暑い時期がこれからやってくる

さきほども触れたとおり、環境省と気象庁はこれから8月にかけてが一年でもっとも暑い時期になると呼びかけました。熱中症のリスクがぐっと高まる時期です。各地で梅雨明けも近づいています。

こわいのは体がまだ暑さに慣れていないことです。急に真夏日が続くと体がついていけません。だからこの入口の時期こそ猛暑にやられやすいのです。油断は禁物です。

運ばれる人が一番多いのは屋外でなく住まい

さきほどの消防庁の数字をもう一度思い出してください。昨年は全国で10万510人が搬送されて過去最多。その発生場所は住居がいちばん多いという結果でした。

「外は危ないけれど家なら安心」。この思い込みがじつはいちばん危ういのです。窓を閉め切った部屋は思っている以上に熱がこもります。とくに日中に留守にした部屋は、帰るころには小さなサウナになっています。

近ごろは夜も気温が下がりにくくなりました。眠っている間に熱中症になる人も少なくありません。だからこそ日中も夜も、家の中を涼しく保つ工夫が効いてくるのです。

共働きは涼しくする手間を後回しにしがち

共働きで一日働いて帰ると、もうへとへとです。家の中はサウナのよう。それでも「エアコンをつければいいや」と、部屋を涼しくするひと工夫はつい後回しになります。昔の僕がまさにそうでした。

でも締め切った灼熱の部屋にエアコンをつけても、冷えるまでに時間がかかります。電気代もかさみます。じつは先に少し工夫しておくだけで、体も家計もずいぶん楽になるんです。この記事で渡すのはその「先の一手間」です。

元エアコン職人が知っている涼しさの正体

涼しさというのはじつは「熱の出入り」と「空気の動き」でほとんど決まります。むずかしい理屈ではありません。現場で毎日それを相手にしてきた僕が、三つのコツに翻訳してお伝えします。

風は当てるより動かすと涼しくなる

締め切った部屋で扇風機を自分に向けても、じつは熱い空気をかき混ぜているだけのことがあります。これでは涼しくなりません。

涼しくするコツは風の「通り道」を作ることです。窓が一か所だけだと、空気は入ってきても外へ出ていけません。入口と出口の二つがあって、はじめて風は流れます。だから窓を二か所開けて風が抜ける道を作ります。そして扇風機を窓の外へ向けて部屋の熱気を追い出すんです。すると部屋の空気そのものが入れ替わります。環境省も、扇風機やサーキュレーターをエアコンと併用して空気を回すことをすすめています。

打ち水も昔ながらの立派な工夫です。水が蒸発するときに周りの熱を奪う「気化熱」で、地面や外壁の温度が下がります。環境省によると、日中の打ち水でも体感温度は約1.5度下がるそうです。ただし直射日光の下だと水がすぐ蒸発してしまいます。朝や夕方に日陰や外壁へまくのがコツです。

熱は入る前に外で止めるのが一番楽

部屋が暑くなる最大の原因は窓から差し込む日ざしです。夏の日なたに立つと、じりじりと肌が焼けますよね。あの強い熱がまるごと窓から部屋に入ってきます。ここでいちばん大事なのは、日ざしを「窓の外」で止めること。じつはここを勘違いしている人がとても多いんです。

カーテンは部屋の中で日ざしを受け止めます。つまり熱はもう室内に入ってしまっているんです。すだれやよしず、グリーンカーテンのように窓の外側でさえぎるほうがずっと効果的です。熱が家に入る前に玄関先で追い返すイメージですね。

環境省によると、葉の茂ったグリーンカーテンは日ざしの熱の約8割をカットします。昔ながらのすだれでも5〜6割はさえぎってくれます。とくに朝日と西日が強く当たる東と西の窓を優先してください。それだけで部屋の暑さがぐっと変わります。

体は太い血管の一点を冷やすと楽になる

部屋だけでなく、体そのものを効率よく冷やすコツもあります。人の体には皮膚のすぐ下を太い血管が通っている場所があります。首・わきの下・足の付け根の三か所です。ここには太い血管が集まっていて、たくさんの血液が流れています。だから少し冷やすだけで、全身によく効くんです。

ここを冷やすと冷えた血液が全身を巡ります。だから体の芯からすっと涼しくなるんです。環境省の資料でも、この三か所を冷やすのが効果的だとされています。

保冷剤がなくても大丈夫です。冷えたペットボトルをタオルで包んで当てるだけで十分です。冷たいものを手のひらでぎゅっと握るのも、じんわり体を冷やしてくれます。

涼しさを直す側の僕が自宅で汗だくだった話

扇風機を自分に向けてぬるい風に首をかしげた

先日の休日のことです。僕は自宅の部屋で扇風機を自分にまっすぐ向けて座っていました。ところが来るのはぬるい風ばかり。

窓もカーテンも閉め切ったまま、ただ熱い空気をかき混ぜていたんです。エアコンの効きも空気の流れも、仕事では毎日相手にしてきたはずなのに。自分の家ではいちばん基本のことを忘れていました。

お妻様の一言で涼しさは作れると思い出した

汗をかく僕を見て、お妻様がぽつりと言いました。「窓の外、真っ黒に日が当たってるわよ」。続けて「風の出口がないんじゃない」と。

ハッとしました。日ざしは外で止める。風は通り道を作る。現場では当たり前にやってきたことを、自分の家では一つもやっていなかったんです。涼しさは作れるものだと、いつのまにか忘れていました。

すだれ一枚と窓の開け方で数分で空気が変わった

その場で、すだれを一枚だけ窓の外にかけました。反対側の窓も開けて風の道を作ります。扇風機を窓へ向けてこもった熱気を外へ追い出しました。

するとたった数分で部屋の空気がふっと軽くなったんです。足りなかったのは高いエアコンでも根性でもありませんでした。「涼しさは作れる」と思い出すこと。ただそれだけでした。

お妻様には「職人さんが形なしね」と笑われました。僕も笑うしかありませんでした。でもその笑いが、なんだか少し涼しく感じたのを覚えています。それからというもの、休日の朝はまず窓を開けて風の道を作るのが、わが家の小さな習慣になりました。

今日から始めるわが家の涼しくする工夫

ここまでの工夫を、下の早見表に一枚でまとめました。どれも今日から始められるものばかりです。ひとつずつ順番にお伝えします。

風の通り道を作る

まずは空気を動かします。窓を二か所開けて風が抜ける道を作ってください。そして扇風機を窓の外へ向けて部屋の熱気を追い出します。

熱気を出しきってから窓を閉めてエアコンをつけると、冷えるのが早く電気代も抑えられます。サーキュレーターがあれば天井へ向けて空気を回してください。部屋の温度が上下でかたよらなくなります。

日ざしを窓の外で止める

次に熱の入口をふさぎます。すだれやよしず、グリーンカーテンを窓の外側にかけましょう。朝日と西日が強い、東と西の窓から優先してください。

賃貸でも大丈夫です。突っ張り式の日よけや窓に貼るタイプなら跡を残さず使えます。朝夕には外壁やすだれへ打ち水をひとまきしておくと、なお涼しくなります。子どもと一緒に水をまけば、ちょっとした夏の楽しみにもなりますよ。

体を冷やしつつ無理はしない

最後に体そのものです。冷えたペットボトルをタオルで包んで、首・わきの下・足の付け根に当てて涼みます。高齢のご家族がいる家では、この三か所をそっと冷やしてあげてください。小さなお子さんには、冷やしすぎないよう様子を見ながら当ててあげましょう。

それでも暑さがつらいときは我慢せずエアコンをつけてください。我慢こそがいちばん危険です。命を落とすもとにもなります。頭痛や吐き気などいつもと違う不調を感じたら、無理をせず医師や地域の相談窓口に相談しましょう。

最後に今日の3分アクションです。ひとつ、窓を二か所開けて扇風機を外へ向け、部屋の熱気を一度追い出す。ふたつ、東か西の窓にすだれや日よけをかける準備をする。みっつ、冷えたペットボトルを一本タオルと一緒に用意しておく。たったこれだけで、わが家の涼しさは今日から変わります。

防災たろうより一言

ここまで、すだれや打ち水といった、ちょっと古くさく見える工夫に付き合ってくれてありがとうございます。

これらは新しい発明ではありません。エアコンのなかった時代から受け継がれてきた「涼をつくる知恵」です。暑い夏をなんとか涼しく過ごそうと、人から人へ手渡されてきたものなんです。

お金も特別な才能もいりません。誰にでもできて、誰にでも手渡せる。それはもう立派な、暮らしの技術だと僕は思っています。むずかしく考えなくても大丈夫です。今できることを一つだけで構いません。

だからどうか、今日覚えた工夫を一つ、あなたの大切な人に分けてください。子どもにすだれのかけ方を教える。隣のお年寄りに「窓の外に日よけを」と一声かける。涼しさは分けても減りません。むしろ手渡したぶんだけ、静かに広がっていきます。

暑さにやられて余裕をなくす前に、その小さな一手を。あなたのまわりに一人でも涼しい人を増やせたら、それはもう誰かの命を守っているのと同じことです。

防災は優しさの技術。

防災たろう

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